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建設業の社会保険加入取組について 前編

皆さんは、「建設業の社会保険加入取組」をご存知でしょうか?

これは平成24年より国土交通省が中心となって建設業界全体で取り組んでいる取組で、
現場入りする作業員に社会保険への加入を徹底するというものです。

この取組の最終期限は平成29年の3月末までとなっています。
期間終了後、すなわち平成29年4月からは、社会保険へ未加入の作業員は現場に入れなくなってしまいます。

この取組で一番問題となってくるのが一人親方たちをどうするのか、という点でしょう。
一人親方は労働者ではなく事業者扱いなので、基本的に労働保険(雇用保険と労災保険)には入れません。
かといって現場で働く以上万一の事故に備え、保険に入らないわけにはいかない・・・と、なんとも厄介な立場です。
「直雇用しないといけない?」「それとも法人化?」等々、今後彼らの保険や立場をどうしていくべきか、お悩みの社長さんも多いのではないでしょうか。

・・・ご安心ください。実は、今回の取り組みに関して、一人親方に新しく何か特別な対策を取る必要はないのです。
それは一体どういうことなのか?という疑問にお答えするのが今回の記事になります。

と、いうことで改めて今回は「社会保険未加入対策」における一人親方の扱いについて、詳しく解説していきます。
社長さんたちはこれを読んで4月からの法令変更に備えましょう。

そもそも社会保険の定義って何?

鋼管足場(単管足場)に関する規定

今回のお話をする前に、恐らく一部に誤解を招いている原因であろう、「社会保険」の定義についてお話しします。
『社会保険とはどんな制度?』(リンク張る)によると、どうやら社会保険には「狭い意味での社会保険」と、「広い意味での社会保険」が存在しており、時と場合によって使い分けされているようなのです。
それでは早速、二つの定義についてそれぞれ見ていきましょう。

①狭義(狭い意味)の社会保険

日常生活の中で「社会保険」という言葉が使われる場合、会社で加入する健康保険と厚生年金のことを指すケースが多いように思われます。
実際には狭義での社会保険とは、「医療保険」、「年金保険」、「介護保険」の3つのことを指します。

(引用:https://hoken.azukichi.net/shaho.html

このうちの「介護保険」は基本的に「医療保険」の中に含まれており、「医療保険」とは会社勤めの人なら健康保険、自営業や無職の人なら国民健康保険のことを指します。「年金保険」はそのまま厚生年金保険、国民年金のことですね。

②広義(広い意味)の社会保険

広義の社会保険とは日本の社会保障制度の一つで、病気やケガ、事故、失業、老後の生活などのリスクに備えて、国民の生活を保障するために設けられた公的な保険制度です。
国や地方公共団体などの公的機関が運営し、加入者(被保険者)が支払う保険料や国庫負担金などによって運営費用がまかなわれます。
(中略)
広義の社会保険に含まれるものは以下の5つです。

1.医療保険
2.年金保険
3.介護保険
4.雇用保険
5.労災保険

(引用:https://hoken.azukichi.net/shaho.html

恐らくこちらが社長さんたちがまずイメージした社会保険の定義ではないでしょうか。
狭義の3種の保険だけでなく雇用保険、労災保険(二つ合わせて「労働保険」ということもあります。)が追加されています。この二つは原則として会社に属している労働者が入れる保険です。会社に属しておらず、独立した「事業主」扱いの一人親方はこれらの保険には基本的に入れないようになっています。

さて、それでは社会保険加入取組に話を戻しましょう。ここで国土交通省が言っている「社会保険」は広義と、狭義、どちらの「社会保険」なのでしょうか。
「そりゃあ当然広義だろう」と思いきや・・・実はこれ、「狭義」が正解なんです。
つまるところ、国土交通省が一人親方に加入を求めている社会保険は「国民年金」と「国民健康保険」、この二つだけだったんです。日本国民であれば当たり前に入っている最低限の保険にさえ入っていれば、問題なく現場入りが出来るのです。
冒頭で「特別なことをする必要はない」と表現したのには、こういった理由があったわけです。

ただし、気を付けなければならないのは、これはあくまで国土交通省が最低限この保険だけは絶対に入っているように定めた基準であり、これらの保険にさえ入っていればどこに行こうが文句は出ない・・・とはならないことです。
具体例を挙げると、「一人親方労災特別加入」は四月以降から様々な現場で加入を必須されるのではと言われている保険です。これは一人親方でも入ることが出来る特殊な労災保険ですね。
(詳細はこちらの記事をどうぞ!→ベテラン鳶職人必見!一人親方労災組合って知ってる?
これ以外にも、元請けが厳しいシバりを設けてくる可能性は高いです。その場合は元請け側の求める環境を用意する必要が出てくるでしょう。
もし不安であれば、今のうちに元請けに何をしておけばよいか確認してみるのもいいかもしれませんね。

さて、今回は「社会保険加入取組」解説記事の基本編ということで、社会保険とは何なのか?どの保険に加入する必要があるのか?といった大本の部分を解説させていただきました。
次回はさらに深く突っ込んだ実践編ということで、今回の解説であまり触れなかった細かい部分まで追求していこうと思います。

参考資料
保険の豆知識『社会保険とはどんな制度?』
国土交通省 下請け企業向けリーフレット『社会保険に加入していますか?』

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