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ヒヤリハットは大事故のもと!?ハインリッヒの法則で労災を防げ!

 

鳶の皆さん、今日も一日お疲れ様です!

突然ですが、最近皆さんは「ヒヤリハット」に遭遇したことってありますか?
未然に防げはしたものの、危うく事故になりかねなかった、まさにヒヤリ、ハッとさせられる事例、それがヒヤリハットです。

現場作業は体力と集中力を要するきつい仕事。疲れだったり不意のアクシデントなどで、緊張の糸が切れてしまい・・・なんてことはよくある話、とまでは言いませんが、現場経験のある人なら気持ちは十分わかりますよね。
とはいえ、実際にことが起こったわけではありませんし、ひとまずはほっと胸をなでおろし、なんならちょっとした休憩時間の話のネタになったりなんてこともあるでしょう。

・・・だからと言って、ヒヤリハットは決して笑って流していいようなものではありません。何故ならば、積もり積もったヒヤリハットは、いつしか恐ろしい大事故を引き起こすといわれているからです!
えっ?なんで事故が「起こらなかった」のに、大事故につながるの?と思うかもしれませんが、これは世界中の労働現場で活用されている、とある経験則から導き出された関係性なのです。今回の特集記事は、この経験則、その名も「ハインリッヒの法則」について紹介する記事です。

 

重大災害の陰には無数の小さなミスがあった!?1:29:300の法則の謎に迫る!

 

ハインリッヒ

http://www.d-produce.net/archives/cat_50048850.htmlより)

 

ハインリッヒの法則とは、「不注意によるヒヤリとしたミスの積み重ねが 軽微な事故の原因となっており、軽微な事故の積み重ねが 重大事故の原因になっている」というもの。

このハインリッヒの法則は、アメリカの損害保険会社にて技術・調査部の副部長を務めていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ(Herbert William Heinrich)という人物が、1929年に初めて発表した内容です。

具体的には、
•1件の重大な事故・災害(=重傷者が出る程)が発生した場合、
•29件の軽微な事故・災害(=軽傷者が出る程)が既に発生しており、
•300件のヒヤリ・ハット(=怪我人は出ないものの、ヒヤリとした出来事)が既に発生している。

表立ってマスコミを賑わせるような重大事故が1件発生した場合、実はその裏では 29件の軽微な事故が発生しており、さらにその裏では 300件もの些細なミスが発生している。

(引用:HOT NEWS『ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)を知って、労働災害・大事故を防止せよ!』)

 

上記の通り、ハインリッヒの法則は小さなミスが積もりに積もることで致命的な大災害を引き起こしてしまう、という法則です。
それぞれのミスの発生頻度から別名1:29:300の法則とも言われています。
小さなミスと重大事故に何の関係があるのかと思うかもしれませんが、これはハインリッヒ氏が約5000にも及ぶ労働災害の内容を調査した結果、発見した比率なのだそうです。気のゆるみからくるヒヤリハットが頻発するような環境では、いつ大きな事故が起こってもおかしくはないということでしょう。
この法則の精度をわかりやすく証明した事例が、2005年に発生した有名な電車の脱線事故でしょう。

 

例えば、2005年に発生したJR福知山線の脱線事故。
多くの死傷者を出しマスコミを賑わせた大事故でしたが、その後の調査によれば、停止線にきっちりと止まれなかったオーバーラン・減速するはずのカーブでのスピード超過が、脱線事故前に300件以上も発生していたそうです。

これらオーバーラン&スピード超過は「電車の運転手がヒヤリ」とする程度の些細なミス(=ヒヤリ・ハット)でしかなく、後々の事故調査によって初めて明らかになったもの。

報告さえもされておらず、脱線事故が発生しない限りは「運転手のみが把握していたミス」だったそうですが、そういったヒヤリ・ハットを積み重ねていった結果、脱線事故という大事故に繋がってしまったというわけです。

(引用:HOT NEWS『ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)を知って、労働災害・大事故を防止せよ!』)

 

まさに300以上のちょっとしたヒヤリハットを放置していたことで、悲劇的な大事故が起こってしまったというわけです。

これはそのまま足場工事にも当てはめることができるでしょう。
焦りすぎたあまり手を滑らせ資材を落としかける。資材の運搬中にうっかり歩行者とぶつかりそうになる。アンカーの打ち込みが甘く気が付いたら壁つなぎが抜けかけていた・・・。

どれも、単体であれば報告しなくても問題ないと考えてしまうようなちょっとしたミスですが、これが何度も起こるような現場環境を長らく放置していると、いずれ資材の落下事故や足場の倒壊事故など、大変な労働災害が起こってしまうだろうというのはすぐに想像がつきますよね?
そうならないために、細かなミスこそ注意を払い、同じようなミスを連続で起こさせないようにするのが、効果的な労災予防につながるのです。

 

まとめ

 

ヒヤリハットをやらかした直後は、誰しも「よし、もう二度としないぞ!」と気合を入れると思います。ですが、こういう気合はあまり長続きしないものです。そうやって気が抜けてきたころにまた同様のミスをして、親方に怒られてしまう・・・なんて経験をしたことがある職人は一人や二人ではないはずです。

確かに、ヒヤリハットを単体でみれば「危なかった」だけで実際に何かが起こったわけではありません。が、それはただ単に運が良かっただけであることを忘れてはなりません。
幸運はいつまでも続きません。たとえそのくじが100回に1回しか外れを引かない確率だとしても、100回、200回、300回と引き続けていれば、「はずれ」を掴まない方がおかしいわけです。
繰り返すことで事故の確率は上がる=同じミスを繰り返さないことが大事故防止につながるということを意識して日々の作業を行いましょう!

友達にも鳶の事を教える。

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