第1回 稼ぐためにはどんなきつさにも耐えられる

相模テック 五十嵐文哉

五十嵐さんが初めてこの仕事を経験したのは16歳の時。その後親の仕事を手伝うために一度離れたが、しばらくして再びこの仕事に就いた。そんな五十嵐さんに、この仕事の魅力について聞いた。

親方になって5〜6年になるという五十嵐さん。今でも「鳶はきつい仕事」だという。

「雨の日や冬の日は、体が動きにくいからきつく感じますね。また現場までクルマが入れないことがあると部材を担いで運ぶのですが、途中に階段があったりすると、これもきつい(笑)」

また肉体的なつらさだけでなく、親方としての責任感ゆえのつらさもあるようだ。

「きついなと感じている時は、どうも寝言で、仕事仲間の名前や部材の名前を言っているようなんです。とくに1日に2現場こなす必要があったり、初めての現場だったりすると、よく言うらしいです(笑)。親方になって6年ほどになりますが、やはり今でも現場に行く度にプレッシャーを感じているんでしょうね」

そう言いながらも、このインタビュー中の五十嵐さんは、終始日焼けした顔にまぶしいほどの白い歯を見せ、笑顔で質問に答えてくれていた。それはまるで「きついのは当たり前、それがどうした!」と言わんばかりの笑顔だ。

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「きつい仕事ということは、その分給料の数字にも反映されるということなんだと思っています。私と同じくらいの歳のサラリーマンをやっている人よりは、間違いなく稼いでいると思いますよ」

それを裏付けるかのように、メルセデス・ベンツのSクラスを同社の専門チューニング部門であるAMGがハイパフォーマンスカーに仕上げたS63というクルマに乗っている。

「このクルマを手に入れるために、つい頑張っちゃっいました(笑)」

また、その前はキャデラックの高級SUV、エスカレードだ。20代ではそうは持てないクルマを稼いだお金で次々と手に入れている。きついからこそ、高い給料がもらえる。それがこの仕事のやりがいの大きな要因になっているようだ。

さらに、3歳になる息子さんの存在も、仕事のきつさを笑い飛ばせる理由の一つになっているようだ。鳶-1グランプリが開かれたこの日も、息子さんは五十嵐さんの応援に駆けつけてくれていた。

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親の仕事を手伝うために一度は鳶の仕事から離れたこともあったが、他の仕事を経験してもやはりこの仕事に戻った。肉体的に、また親方としての責任感にこれからも「きつい仕事だ」と感じることはありそうだが、好きなクルマに、そして大切な家族のために、今後も自らを奮い立たせて前に進んでいくようだ。

友達にも鳶の事を教える。

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