第3回 新進気鋭の若職長 工藤和也さん(21歳)

 家で待つ大切な家族のために、現場で誰よりも熱心にハンマーを振るう若職長、工藤和也さん。最終回となる今回は、そんな彼が鳶という仕事をどのように捉えて、向き合っているのかを探っていく。

――現場帰りのトラックで行われる濃密なインタビューもいよいよ佳境を迎える。次に筆者は、工藤さんが現場をするうえでどこを重視しているか尋ねてみた。すると工藤さんは短く一言、
「段取りっすね。」
現場がスムーズに進むかどうかは、職人個人の技量ももちろん大切だが、それ以上に、メインで組み立てを行う職人が欲しいと思った時に、欲しいと思った資材をすぐに手にすることが出来る環境を常に作っておくことだと彼は言う。どこで何の資材がどの程度の数量必要になるのかを、頭の中の図面を基に計算し、あらかじめ現場内に間配っておく。如何に作業の流れを止めないか、いかに無駄な時間、無駄な人員を作らないか。これが工藤さんの考える、職長という仕事のキモだ。

次に筆者は、工藤さんの今後の目標や展望について聞いてみた。果たして五年後、自分はどうなっていると思うか・・・工藤さんからはこれまた簡潔な答えが返ってきた。
「どんな現場もこなせるようになってたいっすね。」
彼は言う、「(今の会社から)独立して請けとしてやったりとか、具体的なことも一応考えてはいる。けど、そこはまだ先の話、今は何とも言えない。」と。ただ、ひとつだけはっきりしていることがある。どんな現場であれ、どんな無茶な要求であれ、文句ひとつ言わずスマートにこなしてしまう。将来そんな職人になれば、あとはもう幾らでも選ぶ道はある。だから今は、余計なことは考えずひたすら自分の腕を磨きたい。真っ直ぐで、無駄のない結論。まさに工藤さんらしい回答だと筆者は感じた。

最後に、筆者は工藤さんへインタビューの〆としてこんな質問をした、「あなたにとって、鳶という仕事はいったい何なのか」と。
工藤さんはそれを受け、しばらく考えた後、少しだけ照れくさそうにはにかみながら、こう答えてくれた。
「・・・誇りっすね。」

――仕事へのやりがいを求めて鳶の世界に飛び込み、現状に満足せずより自分を高めようと考え、何よりも、鳶という仕事に誇りをもって臨んでいる。工藤さんはまさしく、「職人肌」と形容すべき方ではないだろうか。

友達にも鳶の事を教える。

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