第1回 鳶だった兄に憧れ、この世界に

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中学を卒業しすぐにこの世界に飛び込んだ若い鳶。建設現場での荒波にもまれながら必死に仕事をこなす中で、少しずつ一人前に近づいてゆく姿を3回に渡りお届けしよう

中学卒業後の進路を考えるとき、中村さんは高校には進学せず自分で稼ぐ道を選んだ。どんな仕事に就くか。悩んだときふと頭に浮かんだのが鳶職だった。

「中学のときとかに建設現場の前を通ると怖そうな人が働いているなって感じで見ていたんですけれどね(笑)。でも兄ちゃんが鳶をやっていて、カッコいいなとも思っていて。俺も鳶になれば兄ちゃんと一緒に仕事ができるかな。そう考えてこの世界に入りました」

動機なんて案外そんなものかもしれない。しかしいざ働いてみると待っていたのは過酷な世界。仕事に慣れておらず力もなかったから、ひたすら資材を運ぶ作業は容赦なく身体を痛めつける。しばらくは筋肉痛が引かず、ベッドから起き上がる力すらなかったという。

「冗談抜きで死ぬかと思いましたよ。しかもこの世界は朝が早いじゃないですか。学校に行っていた頃は早いといっても今ほどじゃないし、遅刻しても軽く怒られるくらい。でも仕事で寝坊したら現場が動かないから容赦なく怒られます。勉強が嫌いだったし中学時代は働いたほうがましって思っていたけれど、仕事を初めてすぐに働くって大変なことだと思ったのを覚えています」

中村さんが鳶になりたての頃、兄から忠告されたことがある。「気候や天候の影響を受けながら一日中外で働くこの仕事。夏をなめるな」。しかし中村さんは軽く聞き流していた。

「今まで夏だって仲間と外で遊んでいたし、熱中症なんてなったことがなかったから平気だよって思っていたんですよね。でも夏に現場で働いてみると本当にきつくて…。熱中症まではいかなかったけれど、鼻血が出てきたこともありました。そのときに思ったのは、上の人が言うことは、やっぱり何かあるからなんだなってことでした」

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今でも現場で怒られることはしょっちゅうある。上下関係が厳しい世界なのではむかうことはないが、自分が悪いわけじゃないのに怒られているときは正直腹が立つ。でも後から考えると、前に怒られた理由がわかることが多い。そんなとき、やっぱり先輩たちには敵わないと感じるそうだ。

「怒られてばかりと言っても、いつも嫌な思いをしているわけじゃないですよ。大変な仕事だけれど俺たちが作った足場の上で他の職人さんが仕事をしているのを見ると、俺の仕事も役に立っているのかなって嬉しくなります」

_37Q0310現在、中村さんは親元を離れ友人と2人で暮らしている。自分が働くことで金を稼ぎいでみると、実家にいたときは甘えていたんだなと感じるそうだ。本人に自覚があるかはわからないが、中村さんは金を稼ぐことの大変さを感じながら少しずつ大人になっているのだろう。

 

友達にも鳶の事を教える。

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