春は天候不順の季節、天気予報では晴れだったのに、雨が降ってきて雷まで・・・なんてことさえちらほら
そんな春に鳶が気をつけたいのは、急な雷雲の発生で起こる「落雷事故」です。雷はどこに落ちるかわかりません。金属だらけで高い場所に立つ鳶職人は、特に注意しておく方が良さそうです。
3月から5月は雷が起こりやすい
春雷(しゅんらい)とは、寒冷前線の通過で起こる雷のことです。春先から夏に向かって、段々と暖かくなっていく月から5月に、急な冷たい空気が日本の上空を通過することがあります。この温度差で大量の雷雲が生まれるのです。この雲は、急激に発達して、時には雹(ひょう)も一緒に降らせることがあります。
落雷と言われると、なんとなく夏のゲリラ豪雨など、夕立と一緒に起こりそうなイメージがあると思います。春先でも、天候不順が起こりやすい山の近くでは、雷雲が起こりやすいようです。年間で見ると、日本国内で毎年落雷事故で20人くらいの人が亡くなっています。
クレーン作業中に落雷!?ピカッとしてからゴロゴロまで●秒はアテにならない
建設現場で特に気をつけたいのが、クレーン作業中の落雷事故でしょう。
東京都内ではビル建設現場で、足場の上で玉掛けした資材を下ろそうと作業していた際にクレーンに落雷して、作業員が感電する事故も発生しています。この案件では直撃ではなかったことや、アンカーなどがアースの役割を果たしたおかげで死亡事故にはなりませんでした。
昔はよく、「ピカッとしてから、ゴロゴロまで何秒かで、雷の距離が分かる」と言われていました。しかし、最近の研究によると、この計測方法はあまり頼りにならず、遠いと思っていたのに落雷したという例が少なくないようです。
2012年5月29日には、兵庫県で神戸三田プレミアム・アウトレットの増床工事中に、落雷で作業員一人が重傷を負っています。この事故では、天候の急変を見て作業員が撤収し始めていたところ、金属製の通路に落雷してその場にいた作業員が事故に遭いました。
都会に多いビル建設現場や、山の上のリゾートホテル等高標高+高所の現場では、現場そのものが雷雲に包まれる可能性も高くなります。雷雲は強い雨も一緒に運んでくるので、急激な天候の変化や、濃い灰色の雲が急激にわいてくるような時は危ないと思っておいたほうがよいでしょう。
落雷事故の応急処置は「すぐに行う」べし!
落雷事故で被害に遭った場合、前述のようにラッキーな例ばかりとは限りません。電柱などに落雷すると、周辺一帯が帯電するため、周りの金属間でスパークが飛んだ例もあるそうです。直撃を食らうと、高圧電流で感電同様のヤケドや心臓麻痺などの重篤な症状が起こる可能性がとても高いのです。
落雷の場合は、電流は一瞬で被害者の体を通過します。そのあと、被害者の体が帯電することはありませんから、すぐさま被害状況を確認して、応急処置を行いましょう。心拍が停止しているような場合は、AED等の処置が必要になる場合も考えられます。
幸運にも症状がさほどでもない時でも、念のために受診して健康状態をチェックしておくようにしましょう。
友達にも鳶の事を教える。