鳶職人の仕事というと、「建築物」をイメージしやすいもの。実際「足場」と言われると、大工さんとのコラボが多くなることは事実ですね。
でも、仮設足場の利用って本当は、たくさんの仕事とコラボしているものなんです。そんな「意外な足場の仕事」シリーズは、この時期ならではの「植木屋さんとのコラボ」をご紹介します。
秋・冬に多い?造園と足場のコラボ
木枯らしの季節になると忙しくなるお仕事が、植木屋さんなど造園業の人たちです。年末が近づいて、木の葉が散る時期になると、街路樹や駅前広場などで、樹木の選定作業をしている植木屋さん(造園工)を見かけるチャンスが多くなります。
これには、ちゃんと理由があって、実は樹木の剪定には種類によって適したシーズンがあるせい。
落葉樹(秋になると葉っぱが散る木)は、紅葉が終わって木の葉が散っている時期に切る方が、ダメージを押さえられ、樹が枯れてしまうのを防ぐことができるんだそうです。庭の松の剪定、生垣や柘植の木の刈りこみなど、年末に向けて忙しい作業が続きます。
そんな造園工の仕事にも、足場が活躍する場面があります。
軽くて移動が楽な脚立から安全重視の足場へ
一昔前、造園工は樹に直接登ったり、竹や杉丸太で作った軽い脚立などで樹木の管理をしてきました。これらは軽くて扱いやすい代わりに、安全面ではかなり問題が残っていました。脚立が届かないような場所では、造園工が安全ロープで体を樹に縛り付けて、身一つで木登りをすることも当たり前だったので、転落から骨折事故が起きる危険といつも背中合わせでした。
造園工は高齢化が目立つ職種でもあるため、職人が年を取って足腰が弱くなっていくことも怪我を招く原因の一つなのかもしれません。
最近になって、土建業界でも高所作業の安全認識が強くなり、そんな流れからか、最近は道路沿いの街路樹管理には高所作業車が使われるようになり、かなり様子が変化しています。
高所作業車が入れないような、個人の庭の大きな松の木や、刈込みをする柘植の木などでは、足場鳶に頼んで、樹の周囲を仮設足場で囲って選定作業をする方式が、段々と広まっているようです。
高速道路・鉄道での緑化工事を支える足場
高速道路や鉄道の工事で斜面を掘削したり、新しく法面を作った後、土をそのままにしておくと雨・風によって崩落しやすくなったり、雑草がはびこって美観を損ねる原因となってしまいます。そこで、主に崩落予防の目的で新しく樹をを植えたり、芝を張る工事が行われます。高速道路では、緑が適当に配置されていると、ドライバーの目を休めて心理的な安定をもたらす効果がある、と言われていることもあって、パーキングエリアなどは意識して緑を保つ工夫がされているのだそうです。
こうした造園工事、工期や場所によって、安全な作業がしづらい条件の現場では、足場をかけて作業者が道路(鉄路)に転落しないような安全確保策がとられることも良く行われています。
普段、何気なく通過してしまっている道路沿いの、あの緑。実はどこかの足場鳶が、足場を組んでくれたことで維持管理されているのかもしれませんね。
友達にも鳶の事を教える。