高所作業員の命綱、安全帯を徹底解説するこの特集
第二回となる今回は安全帯の使用時の注意点を紹介していきます!
つけているだけじゃ意味がないぞ!これで完璧、安全帯使用マニュアル!
安全帯を装着していても、危険場所で使用しなければ何の役にも立ちません。
また、安全帯を使用する場合でも、その取り付ける物が不完全であったり、取り付けられる箇所がなければ全く効果を発揮できないままです。安全帯を取り付ける設備又は構造体としては、次のようなものがあります。
①水平親綱、垂直親綱
②専用の取り付け金具(鉄骨の柱、梁等の安全帯のつり元となるループ状等の金物を溶接することが多い。)
③足場やその他建造中の構造体
この中で、私たち足場鳶が活用するものとしては①と③が多くなるでしょう。特に①の親綱は、取り付けたまま広範囲に移動が可能なので、活用機会は多いと思われます。
足場の組み立て、解体作業中は、開口部などの墜落の危険箇所が多くなりやすいです。親綱の配置、安全帯の使用が安全作業を行う上で何よりも留意すべき点として挙げられるほどに重要になります。
足場の層が一つ上がったら、何よりもまずは親綱を頭の位置にピンと張る!この一工程があるだけで一気に作業の安全度が変わります。
(http://tobisyoku.net/testu.htmlより)
続いて、実際に安全帯を使用する際の注意点を挙げていきましょう。
①装着状態
まず最初に気を付けるのはベルトです。ベルトの位置は必ず腰骨の位置でしっかりと固定しなければなりません。もしこれが緩んでいたり、低い位置で固定してしまうと、落下時の衝撃で足の方から抜けてしまう危険があるからです。
もうひとつの注意点としては安全帯のフック、ロープです。これらを中途半端に垂らしたままにしてしまうと、足場や部材に引っ掛かって躓いたり、平井落下災害の原因となってしまいます。
フック、ロープは肩から首へ回してタスキ掛けの状態にしてからフック掛けにかけるようにするか、ベルトに備え付けてある収納袋にしまっておくようにしましょう。
②腰道具の配置
続いて気を付けなければならないのが胴ベルトにつけているであろう腰道具の配置です。
ロープの根元部分、或いはフック掛けの役割を持つD環の位置は体の真横よりも前に来ないようにしなければなりません。これは落下時に仰向け態勢で吊られてしまうと、衝撃が背骨にかかってしまう危険性があるからです。
また、しのやスパナ等の先端が尖った工具は、ベルトに刀差しにせず、これもまた腰の真横前後でケースにきちんと収納するようにしましょう。これもまた落下時に自身の身体が屈折した拍子に太ももなどに刺さってしまう可能性があり危険です。
③ロープ、フックの取り付け位置の高さ。
最後に注意するべきなのがロープ、フックの高さです。フックの位置は必ず腰よりも上に取り付けるようにしなければなりません。これが腰より下だったり、足元だったりしてしまうと、万一墜落した際の落下時間が長くなり、落下が止まった時に発生する衝撃が大きくなってしまうからです。また、フックの位置が低いとたるんだロープが足元に来てしまうため、転倒災害を引き起こしやすい、というのもあります。
足場上で安全帯を取り付けるのにベストな箇所は、上でも書いたようにまずは親綱。それがないならば腰手すりか柱の胸、頭位置に来るポケットが良いでしょう。
まとめ
安全帯は万一墜落してしまった際に私たちの命を救ってくれる命綱です。ただし、正しく使用しなければその効果は激減してしまいます。使用時はただ適当に装着し、手当たり次第にフックをかけるのではなく、「この状態でもし落ちてしまった場合、自分はどうなるのか?」ということを意識しながら使用することで、間違った使用法を防ぐだけでなく、作業中の危機意識も高まり、より安全で確実な作業が行えるようになるのではないでしょうか。
さて、次回はいよいよ最終回!知っているようで意外と知らない、安全帯の点検方法をご紹介します!こうご期待!
参考資料:建設業労働災害防止協会『足場の組み立て等工事の作業指針』
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