一昔前まで、鳶と言えば足袋が当たり前でした。しかし、現代の鳶が作業靴と言えば?と聞かれたとき、「鳶足袋!」と「安全靴!」で答えが別れることになるでしょう。
昭和の鳶の足元といえば「鳶足袋」これ一本でした。東京タワー建設で活躍した当時のスーパー鳶たちも足元はしっかり全員鳶足袋です。しかし、時を経て平成のスカイツリー建設の段階になると、安全靴が主流になってきます。
今でもどちらを使うかでプチ論争が起こる鳶の足元をキメる2つのアイテム、それぞれの特徴を見ていきましょう。
バランスのとりやすさが絶妙!とにかく鳶足袋の作業性は◎!
鳶足袋は、高所作業専用に開発された足袋です。鳶だけでなく、造園工でも愛用されています。薄い木綿で靴下並に軽いです。
土工や田植えで活躍する「地下足袋」と違って、接地面である底に特徴があります。足袋の「また」になっている親指の付け根が少し厚く盛り上げてあって、足を下した時に、親指の付け根が支点になるように作られています。土踏まずも厚くなっていて、足のカーブに沿わせながら底はフラットに接地します。
底の材質は柔らかいゴム系が主流。滑り止めの模様(横縞)が細くて高く、とても柔らかいので、そのまま地面を歩くと小石を踏んでも分かるほどです。この柔らかさと軽さ、足袋特有のフィット感が、鳶の身体能力を最大限に発揮してくれます。
足場や屋根の上のような、風の強い場所では、足裏の感触と、バランス感覚が安全確保にとても重要となります。鳶足袋は、滑りにくく、ちょっとした体重移動でもダイレクトに足先に伝わります。指が分かれていて柔らかいので、足指の動きまで伝わりやすく「つかみ」が利くのも良い点です。
つま先ガードが最強!怪我から職人を守る安全靴
安全靴は、靴のつま先部分から足の甲にかけて、鉄板などでガードを入れた靴です。
最近は強化プラスチック製ガードの軽いものも作られています。高所に限らず重量物を扱う仕事向けで広く使われていて、大手建設会社の作業員の服装としては一般的な靴になっています。
デザインは編み上げ靴のような足首の上までをガードするタイプのショートブーツ丈が主流です。鉄板は底側全面と上部に入っているタイプもあります。
安全靴は鳶の作業現場でお馴染みのスパナ、ハンマー、鋼管、ソケットなどの重量物が、誤って足の上に落ちてきた時に足のケガを予防する効果があります。
思わぬ転倒でつま先を強くぶつけてしまったときも威力を発揮します。
最近の高所作業では、鳶足袋よりも安全靴着用が主流になってきています。
鳶足袋と比べると、底もつま先も硬く、靴下感覚の足袋とフィット感もはるかに比べると低くなります。半面、温度差の影響は少ないのは良い点です。
まとめ
時代の流れで平成の鳶たちは安全靴が主流となってきているようです。特に大手の建設会社では、早い時期から安全靴着用に切り替わってきています。
足袋は布製なので、足の上に重いものが落ちてきたときや、滑って足を強くぶつけてしまった時は防御力ゼロ、冷えにも弱くて冷たいものを踏むとストレートに冷えが伝わってしまうという難点があります。時代がより安全を意識する傾向になってきたことで、パフォーマンスよりも安全対策に優れる安全靴が選ばれるようになったということでしょう。
身体機能を最大限にすることで安全を高める鳶足袋、予防を徹底する安全靴は、考え方は違っても鳶の安全を守ってくれるアイテムには変わりありません。
友達にも鳶の事を教える。