平成21年、法律改正で足場の安全対策が厳しくなって鳶職人の転落や墜落事故は減ったのか?というと、思ったほど効果が上がっていません。
そのため、国は一層の安全対策強化を求めて平成27年7月に、落下防止に関するさらに厳しい規則を設けることになりました。この改正の要となるのが「朝顔養生」です。
転落事故や落下物での事故を防ぐのに有効な手段として設置される朝顔。効果的な方法である一方、意外と設置に苦労があると言われています。
今回は朝顔設置の注意点をまとめてみました。
鳶職人が現場で扱う朝顔は「キット化済」がほとんど
最初に、「朝顔養生なって、フツーの足場にくっつけられんの?」と心配しているワカトビは、ご安心を。最近の朝顔養生は、キット化されたものを組み立てるだけになっているので、特に目新しい技術を身につける必要はなさそうです。部材もアルミなどの軽量金属を使って作られていて、高所で組み立てやすい工夫もされています。
そうはいっても初めてだと戸惑いはあるもの。組み立て手順を予習しておくと安心ですね。いくつか動画を発見しました。参考にしてください。
基本は、足場本体の支柱に、受け金具を取り付けてそこに板を挟みこむ方式です。一度経験すれば、そんなに面喰うことなく組立方法は覚えられそうです。
■「せり出し幅2m」を厳守して設置するのがお約束!
工事する場所によっては、電線や電柱などとの取り合いで、キットで上手く収まらない場合があり得ます。こういう時は、単管を始めとする、足場の一般材料を利用して、コンパネ等を使った朝顔養生を行う必要があります。
こういう場合でも、法律で決まった設置基準は守らなければなりません。上手にまとめられている記事を発見しましたのでご紹介しましょう。
“①-朝顔は、工事場所が地上から10m以上の場合は一段以上、20m以上の場合は二段以上の箇所に取り付ける。一般には、地上からの高さ4~5mの箇所に一段目を設け、二段目以降は下段の防護棚から10mより低い間隔のところに設けることが望ましい。
②-朝顔のはね出し長さは、足場から水平距離で2mとし、また、水平面となす角度は20度以上とする。
③-落下物を受け止める鋼板は、暑さ1.6mm以上のバンノー鋼板を用いることが望まれる。
④-朝顔の取り付け付近の足場部分には、壁繋ぎを通常よりも間隔を狭めて取り付ける。
⑤-コーナー部にも朝顔を取り付ける。コーナー用ユニット朝顔がある。
参照:建災防 足場の組み立て等作業の安全
この中で良く見かけるのが、足場から水平距離で2m という、せり出し幅が守られていない現場です。特に改修の現場では、良く見かけます。上にあるように「地上からの高さ4~5mの箇所に一段目を設け」 とあります。改修現場などでは、丁度この高さに電線やなどがあり、取り付けられない場合もあるかと思います。
しかし、この場合は4~5mより低い場所に取り付ける努力をしなければいけません。”
反注意!発覚すると労働基準監督署から工事停止命令が出ることも!
朝顔養生は労働安全衛生法に基づく施行規則で設置するように義務付けられているものです。もしも設置基準に適合していないことがバレてしまったら、監督署は必ずその現場を確認しにくる義務が生じます。特に危ないのが「せり出し幅の不足」で、道路占有との関わりで水平面で2mの基準に満たないケースが多いんだとか。角度を本来よりきつくしてしまうと、簡単に不足することになってしまいます。
ちょっと施工に明るい、建築士や監督職の人が見たら、一目で見分けがついてしまうもの。どこから通報されるかわかりません。悪くすれば工事停止命令が出てしまうことだって考えられます。設置基準は厳密に守るように肝に銘じて施工しましょう。
(参考ページ:http://kensetu-kiken.saloon.jp/category9/entry170.html)
友達にも鳶の事を教える。