鳶道具名人の鳶職人、中村勝文名人が教えてくれる、鳶道具を大事に使うコツ!
今回は、鳶職人の魂ともいうべき「シノ(ラチェット)」を長く大切に使う方法について、教えていただきました!
シノは普段の使い方から気をつけるべし!
ラチェットを長持ちさせるには、メンテナンスが大事ですよね?どんなことに気をつければいいですか?と質問したら、中村名人のお答え。
「シノを長持ちさせるポイントは、まず「使い方」なんですよ」
むむっ!?「使い方」とは?いきなり予想外のお返事で、鳶人ライター戸惑いを隠せません。
「足場の仕事をしていると、シノはメインで使う道具ですよね。けど、実際の足場の作業は、シノ1本で全部済む、ってわけじゃないです。ハンマー使う時もあれば、シノ使うときもある。」
なるほど、それはそうですね。
「でも、頻繁に持ち変えて作業すると、ついつい、面倒になって、ハンマー使うべきところでシノでうっかり叩いてしまった!ってこと、ないですか?これは絶対やったらダメなことです。」
叩いちゃダメ?
「うっかりシノのヘッドを打ち付けてしまうと、確実に具合が悪くなる。見た目はどうもない、ちょっとだけ、って思っても、目で見て分からないくらいの「狂い」が出てくるんです。使っていくうちに、段々「狂い」が悪化して、ダメになってしまいます。」
そうか!ラチェットは絶対「ぶつけたらダメ」なんですね!
使った後は?特に雨でぬれた時のメンテはていねいに!
普段使った後のお手入れについても聞いてみました!
「基本は、「拭き掃除」と「磨き」ですね。機械用のオイルで稼働するところはていねいに磨いて、ホコリなどはキレイに拭き上げておくようにしてあんまりギトギトにし過ぎないように。毎日やってるうちに慣れて加減が分かるようになると思います。」
大事な鳶道具、愛情もってメンテ、ですかね。
「そうですね。特に雨の日の作業の後は重要です。しっかり拭いて油を薄く塗っておいてやらないと、確実に錆びてしまう。せっかく高いシノを買っても、錆びだらけでは残念すぎます。」
ピッカピカに磨き上げた道具をビシッとキメる!腰袋の美学も健在です!
錆びてしまったら?さび落としで復活!
手入れ不足で錆びてしまったり、しばらく使わない間の保管で失敗して錆びてしまうなんて場合は、どうしたらいいですか?
「さび落としで復活できますよ。実際はこんな感じですね。」
「グラインダーで錆びた部分を丁寧に磨いてやります。元通りピカピカになります。グライダーの扱いにも十分気をつけてくださいね。」
自分で完璧に手入れが難しい場合は、工具メンテを請け負ってくれる農機具店で頼んでもいいかもしれないですね!(有料だけど)。
中村名人の工具メンテ教室は、今後も不定期でお話を伺っていきたいと思います!
友達にも鳶の事を教える。