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鳶職人の永遠のテーマ!社員or一人親方論争!

社員と一人親方…これは鳶職人(もちろんそれ以外の業界でもありますが)にとっての永遠のテーマとも言われます。
最近はキャッチーなテーマも続いておりましたので、数回に分けてこの永遠のテーマを論じて行こうと思っております!

みなさんこんにちは!鳶人を観ていただいている鳶職人さんの中には、足場会社の社員さんもいらっしゃると思いますし、一人親方の方もいらっしゃると思います。
もっと踏み込んで言うと、「社員としてがんばっているけど、個人の能力を試すために一人親方としての道にも憧れている」という方や「一人親方になったものの、やはり先行きが不安ではある…」と考えている方もいらっしゃいますよね。
今回はイントロダクションですが、今一度今回は社員さんと一人親方の違いについてを考察していきましょう!ではまいります!
まずは

社員さんの場合

基本的に【使用者の指揮命令を受けながら労務を提供する】
という考え方です。使用者からは大幅な裁量権が与えられていません。  
作業手順や遂行方法など細部に渡り使用者の指示に従わなければなりません。もちろん始業・終業時刻、休憩時間、労働日は使用者の指示もくわえて従わなければなりません。(原則として業務命令については拒否できません。よほどの命令ではない限りです。)また、労働者の自由意志で勝手に他社の仕事は行えません。サラッというと副業禁止!ということですね。もちろん例外の会社も中にはあると思います。(同じジャンルの仕事を請け負うのは時間的に厳しいとは思いますが…)

支払われる給与は【使用者の指揮監督下にある労働時間】による
仮に作業実績がゼロであっても実際に使用者の指揮監督下で労務提供した場合、最低賃金額以上の支払義務が生じます。極端な話、全然仕事をしていなくても拘束していたことで最低賃金以上は給与として支払わなければならないということです。
基本的に作業で使用する工具や資材等は使用者(会社)が用意し、購入費用は使用者(会社)負担になります。
言い方が悪いけど社員さんは【会社の所有物】となる
使用者(建設業の場合は元請業者)は、労働者が仕事中に怪我をした場合には労働基準法上の補償の責めを負います。
社会保険等への加入させる義務もありますし、一言で言えば社員さんを雇うかわりにきっちり保証で守ってあげなければいけません。使用者には労働者名簿、出勤簿、賃金台帳の作成および毎月1回以上の賃金支払や労働者に対する健康診断の受診が義務付けられています。
労働者への賃金支払は給与所得となり、使用者には所得税等の源泉徴収が義務付けられています。これがあるので年末や年度末に税務処理なんかでバタバタする必要はないんですね。

一人親方の場合

社員と違って【注文者の指揮命令を受けずに業務を遂行できる】
注文者からは大幅な裁量権が与えられています。ここは一人親方の仕事の大きな醍醐味の一つつもいえますね。
個別具体的な作業手順や遂行方法等の指示は受けません。自分のスタイルで自分で考えて仕事ができます。
【稼動時間や稼働日等は本人の裁量で決めることができる】
いつ働いて休んでもOKということですね。仕事の依頼に関する諾否については本人の自由で、嫌な仕事や都合が悪い仕事は断ることができます。また、他社の様々な仕事を掛け持ちで行うのもOKです。様々なプロジェクトをパラレルで動かしていけるというのも大きな利点の一つでしょう。
【請負契約に基づいた仕事の完成をもって報酬が支払われる】
何時間業務を遂行していても注文した仕事が完成していなければ、報酬支払いの義務は生じません。逆に、短期間で仕事を終らせることができれば短い時間で大きな報酬を得ることも可能。完全に成果主義ということです。
作業で使用する工具類等は本人が用意。購入費用は本人負担となる
コレに関しては例外もありますが、多くの場合は工具類等は自分自身で用意しなければなりません。その代わり、自分の趣向で道具を選ぶことも出来ますし、当然自分自身の持ち物となります。
本人が仕事中に怪我をしても労働基準法上の補償の責めを元請けは負わない
これは一人親方の大きなデメリットです。万一の怪我や損害に対しての保証はありませんので、任意で一人親方自分自身で用意することとなります。
社会保険等には加入できない
注文者は注文の都度、本人と契約を結ばなくてはなりません。なので、毎回毎回良い仕事をしないと契約を結べなくなることも余裕でありうるということです。そして、健康診断を受診させる必要もありません。自分自身で健康診断にいきましょう。
本人への報酬支払は外注費扱い(事業所得)となり、注文者は所得税等の源泉徴収を行ないません。年度末に自分自身で確定申告を行いましょう。

やっぱり収入は不安定になりがち
先ほど上記にも述べましたが、社員ならたとえ仕事が無い時でも会社から最低限の給料を受け取ることができます。しかし、一人親方はそれがありません。これも大きなデメリットです。
そういった部分もあるので企業から良いように使われてしまいがち…というところがあります。自分自身に強力な武器がない限り、企業側に優位な立場を握られて振り回されてしまいかねません。

偽装請負
これは許すまじことなのですが、「働き方は従業員と変わらないのに業務請負として一人親方にされている」という場合も多く、社会問題のひとつにもなっています。「無知は罪なり」ではありませんが、自分で自分の身を守らないと搾取され続けてしまうわけです…こういう状況は現在でも様々な業界で多いのが現状です。

(今回高井労務経営事務所様のHPを参考にさせていただきました!)

一長一短に見えるけどどちらがいいの?

パッと見、社員さんの方が安定していて一人親方はハイリスク・ハイリターンという感じですよね。
本当にそうなのですが、一人親方になる場合はよほどの覚悟と自分自身の強力なスキルが必要となります。
そして、法律はやはり社員を守るためというのがコンセプトのために、一人親方(個人)はあまり法律に守られていないという違いも大きいのです。
また、偽装請負についても問題になることがあります。とはいっても社員と請負の境界線ってなんなのよ?とお思いの社長様もいらっしゃると思います。非常に難しい問題なのです。
今回はイントロダクションとしてサラッと解説してみました。
今後はもう少し踏み込んで、実例等も交えながら解説していきます!今後をお楽しみに!

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