鳶職人の有名人「多胡弘明さん」ってどんな人?
鉄骨鳶の世界には、有名な建物を立てたことで、世間に広く名前を知られている鳶職人さんがいます。
例えば東京タワーを建てた鳶軍団の総領親方を務めた○○○○さん。NHKの番組プロジェクトXでも東京タワー建設の回にご本人が登場されて、昭和の「スーパー鳶」の呼び名を広めるきっかけになりました。
時は平成、東京タワーもスカイツリーに代替わりしました。643m、世界一高い塔の建設に関わった鳶職人、といえば・・・?
多胡弘明さんは、「スカイツリー建築に関わった鳶職人の一人」です。
「鳶」を世界に発信するホームページも開設
多胡弘明さんは、鳶職人を紹介するホームページを開設し、「鳶の見ている世界」を世界中に発信していることでも有名です。多胡さんの運営しているホームページ鳶職人 tobishoku.netでは、多胡さん自身が現場で働く合間に撮影した写真がたくさん載せられていて、鉄骨建方が見ている風景をリアルに伝えてくれます。
多胡さんが勤務中に撮影した「天空の風景」の写真多数とともに、鳶職人という仕事の魅力や、仕事の概要が紹介されています。
鳶職人ではありますが、同時に建築の資格も所持しています。優秀な職人さんであることが分かるエピソードの一つです。
「鳶職人・多胡弘明」はこんな人物
鳶職人には個性的で、一風変わった経歴を持つ人が多いものです。職人の人生がそのまま、仕事へのこだわりにも反映されているのかもしれません。
ホームページのトップに紹介されている多胡弘明さんの経歴も、ちょっと異色です。
多胡さんは大阪西成区生まれ。労働者の町と言われる西成で少年時代を過ごします。小学生時代から家出を繰り返すなど、独立心が盛んな子ども時代だったようです。18歳の春、多胡さんを過酷な交通事故に見舞われ、下半身不随を宣告されます。このままで終わりたくない!と一念発起したことが、鳶職人への道へ進むきっかけの一つとなりました。
高校卒業後、海外の建築技術を学ぶため、とヨーロッパ、アジアを「ニッカボッカと鳶足袋」で歩き回り「日本の鳶職人の姿を世界中に知らしめた」とか!?
鳶職人としての多胡さんの仕事は「鉄骨建方」でも、一番の花形である「無線持ち」です。搬入された鉄骨をクレーンを止めることなく、スムーズに、スピーディーに建てあげるのが無線持ちの腕の見せ所で、クレーンオペレーターが「レバーを扱う手が腱鞘炎になる」と言わせるレベルなのだとか。
言葉の端々にも、多胡さんの職人としてのプライドも感じさせられますね。
鉄骨鳶の日常を伝えてくれる本『鳶ー上空数百メートルをかける職人のひみつ』
多胡弘明さんは鳶職人の仕事っぷりを詳しく伝えてくれる本も書いています。こちらもホームページと同じく、現場で撮影された画像がふんだんに盛り込まれていて、職人以外ではなかなか目にするチャンスの少ない、現場の雰囲気を伝えてくれます。
建設中の高層ビルに設置される休憩所や現場事務所での休憩時間の様子、現場で職人の家族も招いて行われるイベントなど、ちょっと珍しい情報も載せられています。
ワカトビは一度見てみると、職人の仕事っぷりが身近に感じられそうです。
友達にも鳶の事を教える。