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【鳶人インタビュー】地域の事情を活かした仕事を・・・株式会社ヤマト 手塚暁生2

株式会社ヤマト社長、手塚暁生。第二回となる今回は現場経験0という異色の経歴を持つ彼だからこそ抱える苦労や、だからこそ見えてくる他と違った景色について、話を聞いてみました。

平均年齢は31歳!最年長でも49歳

―現場で見かけた職人さん達もお若いですね。平均年齢はどのくらいですか?

手塚「(その場で奥様が計算してくれる)平均年齢は31歳、20代が一番多く、最年長が49歳ですね。」

―すごく若い会社ですね。

手塚「そうですね、大部分が20代です。」

―職人出身でないことで、職人を使う中で心がけていることや、注意していることはありますか?

手塚「最初は、自分も仕事について知らないと何もできないので、職人さんに教えを乞う感じでした。一緒に現場に連れて行ってもらっていた。会社をする上では、前から知り合いだった職人さんや、職人さんの知っている先輩などに声をかけて人を集めました。
全く知らない人ではなかったので、環境的には恵まれていたと思います。
「ここはどうやってかけるの?」とか「どうして、ここは出っ張っているんだ?」など、その都度尋ねて教えてもらいました。」

―自分より年上の職人さんに対しては?
手塚「見た目はみんな怖いですけど、なんかあるときは言いづらくても言わないと。年上の人ばっかりでも、自分が話しをすれば聞いてくれるからやりやすいです。」

鳶職人は年齢の割にキャリアが長い人が多い。十代半ばから仕事につく人も珍しくなく、25、6歳でキャリア10年という人もいる。そんな中、ゼロから足場会社を始めた手塚社長の場合、職人を使う悩みはないのだろうか?そこにも会社を回す秘訣がありそうだ。

―営業担当として、職人さんに思うことは?
手塚「自分は、「現場では職人さんが仕事で営業をしてくれている」と思っています。営業と職人、壁を作ったほうがいいとは思わない。「ミスすればどっちかが補えばいいじゃん。」と思っている。
基本的に営業が仕事取ってこないと職人さんに仕事渡せない、職人さんが工事を回してくれないとお金は入らない。お互い助け合いです。現場で顧客がちょこっと頼んできたものを、現場の判断で、すぐ対応してくれるなど、フレキシブルに働いてくれていて、助かっています。」

―若い職人さんだと服装などで気になることなどもあるのでは?
手塚「会社的にはお揃いの制服支給の方がいいのかもしれないけど、事業形態等、色々あって、今は自由にしてもらっています。僕自身も現場に出る時、作業ズボンを履いてみてニッカの良さを理解しましたね。あれはいいです、足がびっくりするくらい高く上げられて、楽で。ただ、奇抜な奴は止めてくれとは言ってます(笑)。

仕事の上での壁はない、けれど、若い職人さんばかり、全員一人親方であることが、時に思わぬ悩みを作る場面もあるようだ。

地域の事情を活かした営業力で仕事を切らさない

どんな仕事でも起業してから仕事を切らさず確保することは難しい。営業がうまくいかず、鳶としての仕事を回せない組もある中、株式会社ヤマトのスケジュールはビッシリ。忙しい社長の「忙しさの秘訣」はなんだろうか?業務のついても切り込んでみた。

―社長の現在の業務についてお聞かせください
手塚「社長としては、全体管理と顧客回りなどの仕事も行っています。職人は専属の外注さんをお願いしていますが、手配が足りなければ現場にも出ます。労務管理や事務の仕事と両方をしている感じです。」

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―ホームページに掲載されているログキャビンやボーリング足場、というのは、他県ではあまり見かけない珍しい事例ですね?

手塚「山梨県北部地域は別荘地が多く、関連する業種に営業して依頼を受けることができました。実は山梨の場合、ログキャビンの仕事は多い。年間100棟くらいはあると思います。塗装の塗り直しのための足場設置が多いですね。ログキャビンは塗装する周期が決まっていて、定期的に依頼が来ます。」

―ボーリング足場というのは、山梨に多い温泉掘削ですか?

手塚「あれは、リニア工事のための地質工事をするのに設置したものですね。5か所くらいやりました。実は路線がどこを通るかはまだナイショの段階だったので、「言わないでね」なんていわれました(笑)」

一番印象に残っているシゴトについてお聞かせください
手塚「年始早々からやった東京電力の仕事かなー。年始に仕事が薄くなるのが毎年なので、そこにタイミングを合わせて作業員全員で行って10日くらいかかりました。雪の多い地域の現場で、屋上は積雪していたので雪かきから始まって。全員集合って滅多になかったんで印象に深かった。

ボーリング足場もインパクト強かったですね。
同じ部材を400本も使うので資材の確保だけで大変でした。他の現場に回す分がなくなってしまうので、それ専用に資材を購入しなきゃならない。置き場にも困って専用ラックも購入して。最初の一棟建てるのにえらくてこずって。」

地域ならではの仕事を見つけて、安定的な業務継続を図る。社長の営業手腕が会社の活発さにも繋がっているようだ。

会社の「これから」家庭人として農業との兼業も探っていきたい

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(マスコットにもなっているポスト)

―会社のこれからに思うところをお聞かせください

手塚「会社の中で、どっちが偉いだのなんだのは今後もなし。お互いが自分の仕事を進めてくれることで、対等な感覚で進めていきたい。
足場の現場はキツイ仕事。大変な仕事だから、営業も段取りよく進めていけるといいと思っている。
とはいえ、理想と現実で営業が上手く運ばなくて職人さんに負担をかける場面、反対に職人さんのミスを営業が謝りに行くような場面もある。
そういう時、職人だからやるのが当たり前、営業だからあやまるのが当たり前、ではなく、双方がお互いさまで助け合って進めていきたいです。」

プライベートでは複数のお子さんがいる社長夫妻。自宅のすぐ近くに事務所を構えていることで、「子供も会社やってることは分かっているっぽい」とのこと。
自宅と事務所が近い位置関係のため、「荒っぽい奴ら」と思われがち職人との関わりが意外な効果を呼んでいるという。

手塚「職人さんたちは、子どもやその友達に対しても、礼儀だなんだは厳しい。自分は子ども時代こういう環境じゃなかったから、「大人になったらどうなるのかなー?」とはちょっとワクドキしています(苦笑)
自分たちの目が行き届かない時に、職人さんが子どもと遊んでくれたり、子どもが危ないことをしていると、職人さんたちが本気で叱ってくれる。みんなが自分の子みたいな態度で接してくれるのは、本当にありがたいと思います。」

子育てのサポーターとしても、職人さんたちがさりげなく活躍している様子が見て取れた。会社の縁の下の力持ちで、人生のパートナーでもある奥様の視点から見たお話も伺ってみたい。

インタビューを終えて

会社経営と並行して、実家の後継ぎとして果樹農家の仕事も兼業している社長。梅雨の近づく五月からは「塗装の仕事が増える足場の繁忙期と、農繁期が重なるから大変。もうちょっとずれてくれたらいいのになーとは思う。」との言葉も印象的でした。地方都市では農家の担い手不足も深刻な問題である中、時間をやりくりして両立している働き方も、足場会社の一つの形として非常に興味深く感銘を受けました。若い社長、若い会社のこれからの発展が楽しみです。

友達にも鳶の事を教える。

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