熊本地震で甚大な被害を受けた熊本城。大量に瓦が落下した天守閣、石垣の角だけが崩れ残って、本体を奇跡的に支えた「奇跡の一本石垣」と呼ばれる飯田丸五階廊など、難しい修復工事が待ち受けています。
そんな熊本城の修復にも鳶たちが活躍しています。公開された工事の様子を追ってみました。
天守閣を覆う巨大な足場を歩く鳶たち
昨年夏から継続している熊本城の修復工事では、天守閣全体を巨大な足場とネットで覆い、大型クレーン2台を使って行われています。修復工事全体の概要を見ることができる動画が公開されています。
巨大な鉄骨の上に、ビル顔負けのボリュームでくみ上げられた足場の上を作業員が歩き回っている様子を見ることができます。
最初の再建工事を担当した大林組
ところで、現在復旧工事が行われている熊本城は、実は、1960年に再建されたものです。最初に建てられた天守閣は西南戦争の時に焼失しているんですね。この再建工事を施行したのが大林組で、今回の復旧工事も、当時の実績を買われての抜擢だったようです。
こちらの動画では、昭和の再建工事の時の、当時の画像やエピソードなども紹介されています。まだ、丸太足場が主流だった時代だったのか、天守閣を囲む足場も丸太です。
鳶職人のルーツは山城の建設を請け負う専門集団だったそうですから、まさに鳶活躍の大舞台だったことでしょう。
「奇跡の一本石垣」を復旧へ鳶職大活躍の飯田丸五階廊修復工事
石垣の角が崩れ落ちなかったことで、柱のように建物を支えて崩壊を防いだ「奇跡の一本石垣」で有名になった飯田丸五階廊の復旧工事では、どのような工法で復旧をしたらいいのか?大林組の中でも大変な苦労があったようです。
絶妙なバランスで、かろうじて崩れ残った飯田丸五階廊は、一部が壊れてしまって、下手に触ると全体が壊れる恐れがあります。床下にはなんの支えもない状態で、人が中に入りでもしたら、床が抜けて壊れてしまいそうです。
建物が崩れれば、一本だけ柱のように残った石垣も崩れてしまう…非常にきわどいバランスで残っている状況でした。
最終的に、鉄骨で巨大な「腕」を作り、崩れ残った建物を下から支える工法を編み出しました。
前代未聞、世界初の修復工法は熊本日日新聞社提供の3分割の動画で見ることができます。
城下でもボランティア鳶職人たちの活躍が
熊本地震に限らず、被災地には多くの建設業職人が結集して、復興支援に当たっています。屋根の修理が始まるまでの仮養生でブルーシートを屋根にかぶせるボランティアで多くの鳶職人が活躍していました。
スレート葺き屋根にブルーシートを張るつもりで登ったところ、劣化していたために屋根を踏み抜いて怪我をした鳶もいたそうです。復興支援に出かける時には、怪我に注意するとともに、ぜひ、ボランティア保険の加入をしておくと安心ですね!
友達にも鳶の事を教える。