人を雇うって難しいですよね
一人親方からはじめて人を雇うようになり、だんだんと組を大きくしていく過程の中では。
「こいつは向いていないかもしれないなー」とか
「どうしても、俺とは会わねえなあ」
という職人さんが入ってくることもあると思います。
鳶職人の世界は、一歩間違えれば命のやり取りになりかねない、危険な時があるもの。ヒヤリハット事件に腹を立てた拍子、
「お前なんかやめちまえ!」
と、つい口を突いて、乱暴な言葉が出てくることは珍しくはないかもしれません。
でも、世の中はだんだん様変わりして「昭和頑固オヤジ風の職人教育」は、もはや通用しなくなってきているようです。
法律も変わり、同時に厳しさも増して、知らずにウッカリ首切りしたばっかりに、面倒なことになるケースもあります。
職人に穏やかに退職してもらうにはどうしたらいいのか?
合法的な離職をキープするためにやってはいけない退職勧奨の鈴を覚えておきましょう。
雇用契約が「有期契約」ならば雇止めを行う
どうも、辞めてもらうしかなさそうだ・・・そう思うような職人がいたとしてもまずは、「他の仕事」に配置転換をさせることができないかを検討しなくてはならない、という法律のルールをまもらなければなりません。
とはいえ現場が中心の鳶職人の仕事、配置できる所属は限られていることでしょう。
どうしてもこれ以上無理!となったら、該当する職人の雇用契約の内容を確認しなければいけません。
もし、有期契約で働いている期間が5年未満であれば、「雇止め」をすることで、割と穏便に辞めてもらうことが可能です。
この場合でも、解雇と同じく30日前に雇止めの予告はしなければなりません。
有期契約雇用は、2018年から新ルールができて、「5年以上働いている人は自動的に無期契約に切り替わること」と変わりました。ですから5年以上働いている人については、
・自己都合退職をしてもらう
・会社都合の解雇にする
のどちらかを使うことになります。
退職勧奨は合法でも「やりすぎ」はご法度!
申し訳ないけどやめてくれないかとお願いするのが退職勧奨。
勘違いしている人もいますが、これそのものは労働基準法に照らして違法でも何でもありません。
ところが一歩間違えてやりすぎると「退職強要」となり法律違反になってしまうので注意が必要です。
・短期間にしつこく何度も辞めるように迫る
・別室に軟禁するような状態で退職届を書くように強要する
・罵詈雑言や人格を傷つける言葉など言葉の暴力で退職を迫る
こうした方法は法律違反になり損害賠償請求の対象になる場合や退職を取り消されることもあります。
こじれてしまったら社会保険労務士や職安にも相談してみる
退職勧奨を受けた相手側が感情的になってこじれてしまった場合は、一旦話を止めて、社会保険労務士や職業などでアドバイスを受けるのも良いでしょう。
働いている方にしてみたら、生計を立てる方法がなくなるわけですから、必死になるのも無理はありません。
退職勧奨が円満に進まない時は、会社都合の解雇にする代わり、退職金を少し多めにするなど金銭で解決する方法もあります。
働いている側が退職後の生活に不安を感じないですむ状況を用意すれば、交渉に乗ってくれる可能性はUPします。
この場合も社会保険労務士を交渉人にして、話を進めていくとスムーズに片付くこともあるようです。
こういう時だけは荒っぽい言葉は控えめに、落ち着いた交渉を心掛けることが円満解決のコツになります。
友達にも鳶の事を教える。