第2回 昔とは違う、鳶の上下関係。

相模テック 小倉直登

趣味のビッグスクーターや家族と過ごす時間などが、この仕事に対する小倉さんのモチベーションになっている。さらに、一緒に仕事をする仲間たちの存在も、ツラい仕事を乗り切るには欠かせないもののようだ。

同社の平均年齢は25〜26歳。そこから考えると親方になって8年が経ち、32歳という年齢の小倉さんは先輩として彼らを見守る立場になる。若い後輩たちをどんな風に見つめているのだろうか。

「普段のやりとりとかは、そうですね、何かのクラブ活動という感じでしょうか。人間関係でギスギスすることもないし、和気あいあい、という言葉がピッタリです」

もちろん、慣れ合うだけの仲良しクラブではない。「昔ほどではないにせよ、きちんとした上下関係はあります」という。その上で、仕事上で後輩に伝える言葉も選びながら仕事をしているそうだ。

「例えば『何やってんだバカヤロー!』ではなく、なぜこうしたほうがいいのかなど、わかりやすく説明するとか、そういうことです」

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そんな先輩としての立ち振る舞いを、小倉さんが自然とやれるようになったのは、やはり職歴11年の経験からのようだ。

「図面を見てどんな足場にするのか、当時は先輩のやり方を『見て覚える』というのが当たり前でした。自分も頑張って覚えましたが、今の若い人を見ていると、それがなかなか難しいようで。じゃあどうするかと考えたら、やはり教えられることは教えようと思ったのです」

また自身が若いときに先輩に可愛がってもらった経験も、今の彼の姿勢に影響を与えているようだ。

「仕事はキツかったんですけど、とにかく一生懸命頑張っていました。すると先輩である親方がちゃんと見ていてくれて『こいつは頑張っているから』と会社に給料を上げてやってくれと、言ってくれたことがあったんです」

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頑張ればその姿を誰かが見ていてくれて、認めてくれる。そんな体験が小倉さんの、後輩を見つめる目に宿っている。若くて和気あいあい。でも上下関係にはメリハリをきちんとつけ、上に立つものは下のものをよく見てあげなければならない。若い集団の中で先輩として働く小倉さんは、そんな役割も仕事のモチベーションになっているように感じられた。

友達にも鳶の事を教える。

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