一戸建ての建築現場のほか、工場やマンションなども手がけている同社で働く石関さん。玉掛けに始まり、フォークリフトや足場主任の資格などを取得し、10年前に親方になった。石関さんにとって鳶とはどんな仕事なのか。
鳶の前は土木関係の仕事をしていた石関さん。
「鳶はきついというイメージがありましたが、同時に給料がいいという印象もありました」
地元の友だちにこの仕事に誘われた時、そう思ったという。それでも給料の魅力に惹かれ、考えるよりもまず行動とばかりに、この世界に飛び込んだ。
「実際、それまでの仕事より給料はよかったですよ。ただやはりきつかった。とくに時間の都合で1日に戸建を2棟かけなければならないとなると、夜遅くまでかかってしまうこともあったので」
重い資材を持ち上げることの多い鳶。それを長時間続ければ体も悲鳴をあげたくなるだろう。というのは昔の話。最近は時間どおりに終わるそうで、とくに工場やマンションの現場などは、必ず17時までに業務を終わらせることが義務づけられているという。
親方になって10年。仕事のダンドリやコツも十分わかってきた石関さんにはどんな現場でも仕事の流れが見えている。それが時間どおりに仕事が終わる理由の一つになっているのは間違いない。
きついけれど、それに見合う給料をもらえていると思うからこそ、石関さんは鳶を続けている。そんな石関さんに、一人前の鳶になるためには何が必要かと聞いてみた。
「図面を見て、一人で部材の数を出して組み立てられるようになれば一人前じゃないですかね。もちろん実際は危険だから一人で組んではいけませんが、頭の中でね、こうやってこうすると…という具合に組めるようになるというか」
そのためには、場数を踏むことが必要だ。それぞれの部材がどんな役割をするのか、実際に組み立てる作業の中で覚えていくことが大切で、やはり実践が一番勉強になるという。
「教えてくれる人にもよりますが、1年もあればできると思います」
その1年間も、ただがむしゃらに働くのではなく、先のようなことを念頭に置きながら仕事をすることで、早く一人前になれる。先輩たちがどんな風に図面を見て部材を決めているのか、そんなことを横で見ながら、あるいは直接聞きながらやるといいかもしれない。
他の仕事と比べて給料がいい分、きついのは確かだが、仕事の目的意識を持って取り組むことで、少なくとも仕事の効率は上がる。効率化すれば受けられる仕事が増やせるわけだから、「仕事をした分だけ給料がもらえる」この仕事にとって、効率を上げることはとても重要なことなのだ。
友達にも鳶の事を教える。