殆どの鳶職人が選ぶ一人親方(個人事業主)という働き方。
自分の才覚一つで大きく儲けられる反面、厳しい自己責任という壁があります。
では怪我したら何にも保障がないの?
そんなことはありません。一人親方のための強いセーフティネットが国の制度としてきちんとあります。それが「特別加入」です。
今回はこの特別加入を解説します。
●日当制だけど怪我して働けなくなった、どうしよう
労働者が労災で休業を余儀なくされたときは労働保険から休業補償が支給されます。
企業は人を雇用するときに労働保険に加入することが義務付けられており、給与からも保険料を控除されているのでいざというとき安心できるわけです。
では個人事業主である鳶職の方が業務災害で怪我をして働けなくなった時、何か保険で守られているのでしょうか。
何もしていなければ当然保険はありません。
ここら辺が自己責任の個人事業主のツラいところですよね。
でも安心ください。国が用意している「特別加入制度」が存在しています。
●特別加入=休業補償保険
この特別加入、初めて聞くと変な感じがしませんか?
特別に加入?しかも何に加入するのかもわからないし。
これは労災に加入できるのは労働者というのが普通ですが、個人事業主のような働き方の人が「特別に加入できる」制度という意味合いと考えられます。
ではこの特別加入、何ができるかといいますとズバリ怪我の治療費補償と休業補償です。
●特別加入 利用の流れとその費用
年会費と年間保険料を支払って加入する→怪我をしたら請求する→治療費、休業補償を受け取る
という流れです。
年間保険料の目安ですが、最安25,000円程度です。これに年会費約20,000円を合わせて45,000円程度から特別加入を利用できます。※年会費は団体によって月割りのパターンもあります
基本的に治療費は全額支給、怪我のせいで働けなかった日数分、支払保険料に応じた補償日額をもらえます。※補償日額は3500円~25,000円まで自分で選択します。
補償を手厚くしたい場合に支払保険料が増えるのは一般の保険と同じです。
●特別加入に加入するには?
加入するには全国の特別加入を行っている団体にお問い合わせいただければよいのですが、鳶として働き出したらお世話になる会社でお付き合いのある団体があるはずなのでそこから加入するのが手っ取り早いです。このとき会社の人が「特別加入?なんだそれ?」といっているようならちょっと怖いです。他の会社を探したほうがいいかもしれません。
ちなみに「建設業 一人親方 特別加入」などで検索すれば特別加入を扱っている団体がたくさん出てきます。
●特別加入は必須?
イマドキの現場では元請さんから安全書類の提出が義務付けられています。
この安全書類には現場で働く職人さんの氏名生年月日などと共に特別加入の加入番号の記入欄もあったりします。
ここが空欄だと働けない現場も出てきますので、特別加入は必須といえるでしょう。
また、当たり前ですが危険な高所作業、いつ怪我をして働けなくなるかわからないのでいざというときのための備えとして特別加入はしておいた方がよいでしょう。
●まとめ
・特別加入は治療費補償と休業補償
・年間支払総額は45,000円ぐらい~(探せばもっと安いところもあるかも?)
・先輩に聞いてわからなければ自分で探して加入しよう
・いざというときの備えなので必ず入ろう!
友達にも鳶の事を教える。