施工管理になって・・・現場を上がってもまったく楽にはなっていない

鳶職人は現場の華とも呼ばれる仕事である。

大変な激務ではあるが、相応の見返りはある仕事だ。彼らが高所で華麗に働く姿にあこがれ、鳶を目指す若者は現代でも一定数存在する。鳶は、工事現場にとってなくてはならない存在である。
そして、彼らを華形スターとするならば、彼らをまとめる「施工管理」は、さながら舞台監督と言ったところだろうか。
・・・と言っても現場を知らない人たちから見たら、施工管理というポジションは、職人に比べ現場という表舞台に顔を出すことの少ない地味な存在に移るかもしれない。
「現場に出なくなって楽じゃん!早く俺も施工管理に上がりたいわ~」なんてことを言うお調子者のワカトビにも会ったことがある。
・・・しかしながら、現場をある程度経験している者なら皆理解しているはずである。施工管理の仕事がいかに難しく、重要なものであるのかを。

現場とは違った激務・・・施工管理という仕事

「現場を上がってもまったく楽にはなってないですね。」

そう語るのは、今回の鳶人インタビューを受けてくれた株式会社HONSHOの水島昭さんだ。
38歳の彼は足場歴足掛け10年。この職業を選んだ理由を、「友人に声をかけられて、流れでですね」とさらりと語る。
一旦は仕事を離れ、漁師からトラック運転手まで幅広い職業を渡り歩いたものの、最終的に社長に声をかけられ、HONSHOで働くことになったという。社長とは15、6の頃に足場鳶の仕事で知り合って以降、実に20年来の間柄とのことだ。

「2年ほど前から現場管理の仕事をするようになりました。現場を上がったからと言って遅くまで寝ていられる・・・なんてことはありません。朝は6時から夜8時過ぎまで、現場からの声を受けていつでも動けるようにしていないといけませんから。」

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施工管理は現場と、そして何より職人の力量を正確に把握していなければ務まらない。それぞれの現場の内容を理解し、最適な人員配置を行う。少しでも判断を誤ると、その日動いている現場全ての流れが滞りかねない。
一つの現場だけを完ぺきにこなせばいい職人時代と違い、今の水島さんには広い視野と状況に応じた臨機応変な判断が求められる。まさしく、職人たちを本部から指揮する司令官ともいうべきポジションだ。現場とはまた違った方向の激務と言えるだろう。

「一日に10ヵ所近い現場が動いていた時もありますね。(施工管理になってから)ずっと忙しくてまったく気の休まる暇はありませんよ。その分休みの日は家で寝ていますけど(笑)。」

インタビュー中、過去に終了した現場の思い出を訪ねてみたが、施工管理という役職についてからはあまりのハードスケジュールっぷりに、終わってしまった現場のことは全然覚えていないという。
文字通り我を忘れて仕事に没頭する水島さんの原動力はどこにあるのか。インタビューを続けていくうちに見えてきたのは、会社や仲間に対する強い責任感だった。

 

インタビュー後編⇒「会社の為にも、自分の為にも安全無事に一日を終えて欲しい

友達にも鳶の事を教える。

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