安全帯の全てを解説しようというこの企画。
第三回となる今回は安全帯の点検方法についてご紹介します。
自分の命を守る大切な存在だからこそ、その状態には常に気を配ってなければなりませんよ!
要チェック!安全帯点検項目完全版!
安全帯の点検を行う上でチェックしなければならない場所は大きく分けて5つ。
①フックと安全帯を繋ぐロープ(命綱)
②躯体や足場、親綱に引っ掛けるフック類
③命綱を安全帯に取り付けるD環
④バックル
⑤ベルト
となります。それでは早速、これらについてそれぞれ詳しく触れていきましょう。
①ロープ
(http://www.dcm-ekurashi.com/goods/43089より)
・さつま編み込み部のほつれ、ゆるみ、抜けているもの・・・強度が低下しています。
・焼き傷、切り傷のあるもの・・・強度が低下しています。
・キンク(よじれてコブ状になったもの)や形くずれしているもの・・・強度が低下しています。
・塗料、油などが著しく付着しているもの・・・強度が低下しています。
・著しく摩耗があるもの・・・強度が低下しています。
・著しく太くなったり縮んだりしているもの・・・強度が低下しています。
・シンブル(D環とロープを繋ぐ輪の内側に入っている金具)がないもの・・・摩耗を促進させ強度が低下してしまいます。
まとめるとロープで一番気を付けることは強度が低下しているかどうかという部分です。緊急時にロープが劣化しており、私たちの体を支えきれず千切れてしまった・・・なんてことにはならないようにしなければなりませんね。
②フック類
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/forest-world/tsu-fs90.htmlより)
・フックのかぎ部の内側に傷があるもの・・・強度が低下しています。
・外れ止め装置の動きが悪いもの・・・引っ掛けたフックが外れやすく、操作に誤りが生じます。
・赤さびが激しいもの・・・ばねに悪影響を与える。
・変形したもの。・・・外れ止め装置の動きが悪くなり引っ掛けたフックが外れやすく、操作に誤りが生じます。
・フックの外傷に深さ一ミリ以上の傷のあるもの・・・強度が低下しています。
・ばねが折損しているもの、及び弱くなっているもの・・・外れ止め装置の動きが悪くなり引っ掛けたフックが外れやすく、操作に誤りが生じます。
いくらロープがしっかりしていても、そのロープを構造物に取り付けるフックが機能してなくては意味がありません。特に目立った損傷はないか、外れ止め装置の動きは悪くないかはしっかりチェックしましょう。
③D環
(http://store.ponparemall.com/hanwa-ex/goods/4956133019340/より)
・深さ一ミリ以上の傷のあるもの・・・強度が低下しています。
・変形の大きいもの・・・強度が低下しています。
・D環止めが損傷、又はないもの。・・・D環の位置が固定されず、不安定になってしまいます。
D環はシンプルに傷んでいないか気を配るようにしましょう。意識から漏れやすい部分ですが、万一不備があると大惨事に直結する部分ですので注意しましょう。
④バックル
(http://store.ponparemall.com/hanwa-ex/goods/4956133019340/より)
・バックル取り付け部の縫い糸が摩耗などにより切損しているもの・・・縫い付け部が徐々にゆるんできて、強度が低下しています。
・バックルが変形しているもの・・・ベルトのゆるみを生じ、ベルトを締め付けなくなってしまいます。
・バックルがさび、そのほかにより作動しにくくなっているもの・・・ベルトのゆるみを生じ、ベルトを締め付けません。また、ばねに悪影響を与えます。
⑤ベルト
・ベルトの耳、又は中に3ミリ以上の損傷、焼け傷などがあるもの・・・強度が低下しています。
・ベルトの両耳のすりきれが激しいもの・・・強度が低下しています。
・薬品、塗料等が付着していて、著しい変色、溶触箇所があるもの・・・強度が低下しています。
・先端止め金具のないもの・・・バックルに挿入し難くなってしまいます。
・バックル締め付け部のベルトが傷んでいるもの・・・ベルトが滑りやすくなり、強度が低下しています。
バックル、ベルトの重要性は言うまでもないでしょう。強い衝撃を受けた際にどちらか一方がダメになっていた場合、安全帯そのものが壊れて意味がないものになってしまいます。特にベルトがボロボロになっていないか、バックルにベルトがスムーズに出し入れできるか(それでいてちゃんと固定されるか)という部分は日ごろの付け外しの時に必ず気づく部分のはずです。大きな違和感を感じたら、すぐに安全帯を取り換えることをお勧めします。
まとめ
ここまで安全帯の点検個所をそれぞれ確認してきましたが、全体を通してみると、墜落時に発生する強い衝撃に耐えられる状態かどうか、というところを一番重視しているようですね。(当たり前といえば当たり前なのですが・・・笑)
これは足場に限った話ではないですが。「どうせ墜落なんてしない」、「どうせ壊れたりなんてしない」・・・といった「どうせ~」の油断こそが事故を招く大きな要因です。
「どうせ~だろう」ではなく、「もしかしたら~かもしれない」と、常に一歩先の危険を考えて作業をするようにしましょう。それこそが、事故を防ぐ一番の特効薬なのです。
参考資料:建設業労働災害防止協会『足場の組み立て等工事の作業指針』
友達にも鳶の事を教える。