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工事現場の火災!!足場は緊急の避難経路

東京多摩市でのビル工事現場火災

7月26日、東京多摩市唐木田で完成間近のビル工事現場で大規模火災が発生し、5名の死者、およそ40名が怪我をしたとの報道がありました。

火災発生は、地下で鉄筋をガスバーナーで切断する作業中、近くにあったウレタンに引火して燃え広がったもの。

出火当時、321人が作業しており、この秋の完成を間近に控えて、内装作業が進められており、外では足場の解体作業なども行われている最中だったそうです。

有毒ガスを含んだ黄色い煙や、前が見えなくなるほどの大量の黒鉛が上がり、隣接する幹線道路が封鎖されるほどでした。
消火には9時間かかり、逃げ遅れてクレーンや上層に取り残された人もいたようです。

動画で見ると、足場に取り付けられた防火繊維のシートが解け落ちて破れており、発生した火災の重大さがよくわかります。

足場を避難経路に逃げ延びた人も

今回の火災では次のような悪条件が重なっていた、とニュースは伝えています。

・建設中のビルだったため、スプリンクラーなどの消火設備がなかった

・出火したのが地下で、燃えやすいウレタンに引火したため、煙が一気に燃え広がった

・燃え広がる際に電気配線を焼き切って切断、停電で避難経路が真っ暗になった

石油化学製品であるウレタンは、燃える時猛烈な勢いで煙を吹き出します。
有毒、高温の煙で重症を負ったと見られ、40名の負傷者のうち、25名は症状が重いとの報道もありました。

そんな中、窓など外装の作業をしていた作業員らの何名かは、足場を伝って無事に避難できている例も。
携帯電話で同僚から火災発生の連絡を受けた作業員らは、上司らとともに一旦は建物内の階段を利用して避難しようとしたそうです。
ところが、煙の勢いが強く、たちまち喉の痛み、と呼吸困難を感じて、足場を伝っての避難したとの報道も。
死と隣り合わせの火災現場、とっさの判断が避難成功へと導いたようですね。

「太陽デパート火災」でも足場が避難経路に

工事中のビル火災では古くから足場が避難経路となって、難を逃れた例が見られます。防火施設に関する認識が浅かった昔、昭和7年に熊本市で発生した太陽デパート火災。
放火により103名もの死者がでたこの火災では、工事のため外階段が取り外され火災報知器も停止中、窓は工事のためにふさがれている、非常時の避難経路にも使えるはずだった裏階段が倉庫代わりに利用されていて通ることができないという悪条件でした。
煙と炎に巻かれた客が殺到した結果、階段周辺の死者が最も多い、という悲惨な結果になりました。

この時、太陽デパート工事に携わっていた工事人の誘導に従い、外部の足場を伝って85名が難を逃れました。
工事人がふさがれた窓を破る決死の行動が避難経路を開くことにつながったのです。
煙が充満して逃げ道がない建物内部よりも、緊急の場合は足場が避難経路として有効な事例があることを職人は頭の隅にメモっておくといいかもしれませんね。

友達にも鳶の事を教える。

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