鳶になり今年で17年になるという城さん。10代でこの仕事に就き、現在は工事長という肩書きを持つ彼にとって、鳶の魅力はどんなところにあると考えているのだろうか。
10代の頃は、とにかく一番給料の良い仕事に就きたかったという城さん。先輩から「稼げるぞ」と誘われて鳶になった。確かに給料は良かったが、同時に「このまま続けられるのか?」と不安にもなったという。
「こんな重いモノをポンポンと持ち上げていく先輩たちを見ていて、バケモノに思えました(笑)。それほど最初は肉体的にキツかったですね」
しかし、やがて体力的にも慣れ、初めての給料は誘ってくれた先輩の言う通り良かったことが鳶を続ける理由の一つになった。
「それと、最初は周りの先輩がみんなヤンチャな、悪そうな人たちに見えたんですが(笑)、意外とやさしい人ばかりで。仕事を覚えると褒めてくれたり。そういった周りに恵まれたことも、頑張ろうと思えるモチベーションになりました」
同社はビルやマンション、工場、ショッピングセンターなどの大きな建物での仕事が多い。長い現場だと1年間通うこともあるという。
場所によっては朝早く出かけて夜遅く帰る日が続くことになる。12歳の娘と0歳の息子がいる城さんにとって、休日は家族とゆっくり過ごせる大切な時間となっている。
「休日は家族とショッピングセンターへ出かけて、買い物や食事を過ごすことが多いです。家族のために頑張って給料をもらうというのも、大きなモチベーションになっています」
さらに「仕事が終わってお客さんに『またお願いね』と言われると、やはりうれしいですね」
「職人である以上、きちんと安全な足場を仕上げるのは当たり前」と城さん。その上でいかに早く組み立てるか。そのためにはどんな段取りをすればよいのか。どう行動すればスムーズに無駄なく動けるのかなどを日々考え、行動している。その仕事ぶりがお客様の目に止まれば、次の仕事に繋がっていく。
「しかも、ただ黙々と仕事をすればいいんじゃないんです。お客様とのコミュニケーションも大切。それがまた次の仕事に広がったりしますから」
(tobione-0299)
最初は、周りの先輩たちがバケモノに思えるほど、ただ肉体的にツラかっただけのこの仕事。しかし今や城さんにとって、お客様から喜ばれ「次もよろしく」と言ってもらえるような、創意工夫のしがいがある仕事になっているようだ。
友達にも鳶の事を教える。