第1回 鳶の仕事は頭を使う。そこがおもしろさ 。

信和 八鍬大輔

ある思いを秘めて東北から上京してきた八鍬(やくわ)さん。こちらでもさまざまな仕事を経験し、現在の会社に勤めることになったというが、東京での仕事はどんな感じだろう。

「もともと東北のほうで5年ほど鳶をしていたのですが、子どもが3人になって東京に出てきました。以前は長いと1年間とか現場に張り付くことになって、家になかなか帰れなかったんです。子どもが3人いると、やはり家が恋しいですからね」

八鍬さんは上京の理由をそう語る。東京に来てからは土木関係の仕事や他の会社で鳶などいろいろやったのち、現在の会社に落ち着いたそうだ。

「この会社では、たまに1〜2週間家に帰れないこともありますが、たいていは毎日家から通っています」

家族との時間を優先するために上京し、会社選びをした八鍬さんだけに、かわいい子どもたちの顔を毎日見られる今の仕事にとても満足しているようだ。

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さらに、戸建を中心に足場を組む現在の会社に入って、仕事自体が楽しくなったようだ

「もちろん給料がよいこともありますが、戸建が中心だと、現場がいつも違う土地だということが個人的に気に入っているところです。いろんなところへ行けるのが、楽しみなんですよ」

とはいえ、現場が変われば足場の組み方も変わる。つまり、毎日のように組み方が異なるのだが、それは苦にならないのだろうか。

「確かに毎回違うカタチの家ですから、組む足場も毎日違います。だからいろいろと考えないといけない。でも、それも楽しいんですよね」

作業期間の長い現場では毎日足場の組み方を考えるようなことはない。楽ではあるが、退屈でもあった。ただ逆に東京に出てきてからは家や土地の制限といった現場の状況ではなく、人足の問題で苦心したこともあったという。

「普通なら6〜7人で組みたい足場なのに、3〜4人しかいないことがありました。そこでどんな機械を使えば補えるかなど、対応策を考えて組みました」

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考えること。工夫すること。体を使って働くイメージの強い鳶だが、頭も同じようにフル回転させなくてはならない。それこそが鳶の醍醐味。上京したことで家族との時間を大切にできるようになっただけでなく、仕事も面白く感じられるようになった八鍬さんだ。

友達にも鳶の事を教える。

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