第2回 小方ではわからなかった、人を使う難しさ。

川西興業 山川和雄

若いうちにしっかり稼いでおけ」。社長から言われがむしゃらに働いてきた山川さん。最近は別の夢が生まれた。親方として人を動かし、いずれは一国一城の主として多くの職人を束ねていこうとしている。

くさび緊結式足場を扱う川西興業に入って4年。山川さんは社長から言われた言葉を今でも覚えている。
「鳶になったら若いうちに稼いでおけ」
年齢を重ねたらだんだん体が動かなくなるのはもちろんだが、そこには若いうちから多くの経験をしろという社長の思いもこもっているはず。

「だから今はなるべく現場に出る機会を作っています。一方、最近は稼げる鳶になるためには息抜きも必要だなと感じるようになってきました」

山川さんの心境の変化。本人は気付いていないようだったが、そこには会社内での立場が変わってきたことが関係していた。これまで、山川さんは小方として親方と一緒に現場に向かい足場を組んできた。今でも社内では小方の立場だが、少しずつ下を動かし現場を仕切る機会が増えてきた。5月24日に開催された鳶-1グランプリでも、足場を仕切ったのは山川さんだ。

「自分が下のときは気付かなかったけれど、人を動かすようになって感じるのは大変な現場が続くとみんな知らないうちに気持ちが落ちちゃっていること。そんなときは仕事終わりでみんなを誘って飲みに行ったりします。すると辛かったことも忘れて翌日から頑張れる。結果的に自分を含め、みんなが稼げる鳶になれるんじゃないかと思って」

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がむしゃらにやるばかりでなく、仕事を忘れる時間も作る。メリハリが人を育てることを経験から学んだ。きっと川西興業の社長も山川さんを含む若い鳶に同じことをやっていたのだろう。目標とする鳶を聞いたところ、山川さんは迷わず「(川西興業の)社長」と答える。

「うちの社長は本当にすごいです。4年前に社長の下についてから、本当にいろんなことを学べたし自分の人生でプラスになることが多かったと感じます。社長は動き、早さ、人の使い方…どれをとっても凄いと感じます。とくに人の使い方は、常にみんなが現場で動いていられるように持っていくのが本当に上手いんです。動かし方が悪いと現場で誰も楽できない。休めないから結果的に効率が悪くなっていくんですよね。社長にはそれがない」

もちろん山川さんはまだ社長のように人を動かすことはできない。でも現場に入るときに「ここは何時くらいまでに仕上げられる」と考え、その通りに終わると達成感がある。現場で“時間”を意識するようになったのはここ2年ほどだ。

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親方になるのはまだ…と謙遜するが、山川さんが現場を任される日は遠くないはず。川西興業の社長もそれを期待していることだろう。最後に山川さんに鳶としての夢を訪ねた。

「やっぱり鳶になった以上、自分が社長になってみたいですね。今は21歳。あと4年かけていろんなことを吸収して、25歳までに実現したいです」

若き鳶の大きな夢に期待したい。

友達にも鳶の事を教える。

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