どんな仕事でも独立して一国一城の主となるのは勇気がいるもの。そんなときに支えとなるのが仲間の存在だ。これから鳶の世界に入ろうと思う人に先輩からメッセージをもらった。
29歳で独立し、自らの会社を立ち上げた川島さん。若くして社長となったわけだが、一番のきっかけはお金を稼ぐことではない。
「この仕事はひとりでできるものではありません。一緒にやろうと慕ってくれる仲間ができたことが会社を作ったきっかけです」
世間から見ると「若すぎる社長」と思われるかもしれないが、足場鳶の世界では20代後半から30代前半で独立することは決して異例ではない。ただ、独立するためには仕事を始めたときから将来を見据えた意識が必要となる。
「将来独立を考えているなら、この世界に入ったときからそれを目指すためにどうすればいいかを考えることが必要だと思います。足場を組む環境は、日々違うもの。同じ現場がない仕事なので、毎日同じ事を繰り返していくのではなく向上心をもって仕事をやっていくべきでしょう」
鳶は「やる気」と「経験」があれば上を目指すことができる。しかし独立まで視野に入れると話は変わってくる。たとえば10代や20代前半の若い鳶たちとのコミュニケーションに苦労していないのだろうか。テレビなどでは「ゆとり世代」とも揶揄される彼らとの付き合いは難しいのではないかと考えてしまうが川島さんは気にしていないと話す。
「若いかどうかを意識せず、楽しく仕事ができるようにすることを心がけています。もちろん叱らないといけないときはありますが、そんなときでもあまり感情的にならないように注意しています。あと『失敗を恐れるな』とはよく言っていますね」
若い鳶たちとは仕事以外でも一緒に食事をすることなどで積極的にコミュニケーションを図るという川島さん。とはいえ、人との距離を取るのが苦手な人だって飛び込める世界だと強調する。
「最初に言いましたが、この仕事はひとりではできない。一緒に作業する仲間たちとは自然に仲良くなるでしょう。社長になった現在でもどういう人がこの仕事に向いているかは正直わかりません(笑)。ただ、若い人に言いたいのは『頑張れば稼げる仕事』だということ。大変な仕事ではありますが、仕事を終えた達成感を仲間と分かち合えるのは最高に楽しいですよ」
友達にも鳶の事を教える。