第1回 新進気鋭の若職長 工藤和也さん(21歳)

 鳶職は、建設、建築業界全体で見ても若い職人が多いと言われている。実際に作業中の現場を見てみると、10代後半から20代半ばと思しき若者たちが忙しく動き回っている姿を目にするはずだ。

そんな若者が中心となって活躍する鳶の世界であるが、こういった環境なのはあくまで小方、つまり一現場作業員という立場までの話だ。これが現場の鳶たちを取りまとめる現場の司令官、「職長」となると、大きく事情は変わってくる。
現場監督の指示の下、使いやすく安全な足場を組み上げる。現場全体に絶えず目を光らせ、その時々の状況に応じて職人を正しく配置し動かす。これらを現場の最前線で作業しながら行わなければならないのが職長だ。生半可な技術や経験量で出来ることではない。ましてやそれが大規模な現場ともなれば、職長を任される人間にはかなりの経験、実力、そして信頼が求められることになる。

「職長」、それは多くのワカトビが目指す最初の目標であり、同時に超えるのに最も苦労する壁とも言えるかもしれない。今回インタビューした工藤和也さんは、21歳にしてその壁を越えてみせた鳶の一人だ。

 求めるものはやりがい、そしてお金
親戚の叔父のつてで足場鳶の世界に入ることとなったという工藤さん。その後一度鳶を離れ、型枠大工、鉄筋、解体、倉庫、人材派遣など多くの職務経験を積んできた。様々な現場仕事を経験した工藤さんが、最終的に現場系でも特にキツイと言われる鳶としてやっていくことに決めた理由はなんだったのだろうか。
「その中で、鳶が一番やりがいがあったからっすかね。」
多かれ少なかれ仕事はキツイもの。だったら多少ハードでもやりがいのある仕事で食っていきたい。工藤さんの答えは実にわかりやすく、それでいて職人らしいものだった。

そのまま続けて、鳶という仕事の良いところは何か、と尋ねてみた。返ってきた答えはこれまた実にシンプルなものであった。
「給料が高いところ。」
鳶職人は現場系の仕事の中でも特に日当が高い。更にその日当は本人の実力に応じてどんどん上がっていく。自身の手腕や会社からの評価が日当にすぐさま反映される。出来ることが増えれば増えるほど、そのまま給料も上がっていく。熱意と向上心のある人間にとって、まさに鳶は『やりがいのある仕事』なのだろう。
(色々な事情により具体的な数字は出せないが、現在工藤さんが月当たりに貰う給料は、なんと日本の40代前半男性が稼ぐ平均月収に並ぶ。21歳で既に役職付きのサラリーマンと同じレベルのお金が貰える・・・鳶の給料の高さ、そして工藤さんがどれだけ高い評価を受けているかがわかる。)

ちなみに鳶のいやなところについても聞いてみたところ、「労働時間が長いことっすね。」とのこと。これはその職人が担当する現場や、作業に向かう現場からヤードまでの距離などにも大きく左右されるが、大規模工事の職長を任されることが多い工藤さんの場合、どうしても集合が早く、帰りは遅くなりがちだ。こればかりは責任ある立場にいる以上仕方がないことなのかもしれない。

仕事へのやりがいと、自分の努力、実力に見合った給料を求めて鳶の世界を選んだ工藤さん。次回ではそんな工藤さんの現在の様子、そして仕事に対する考え方に注目してみたいと思う。

友達にも鳶の事を教える。

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