これまで辞めたいと思ったことは何度もあるとう大森さん。しかし12年も続けてきたのは、やっぱり鳶の仕事が好きだから。どんな人が鳶に向いているか、親方としての意見を伺った
友達からの紹介で足場鳶になり、キャリア12年を誇る大森さんだが、ここまで足場鳶を続けてきたことで辛い経験は数多くあった。
「入った当初は人が少なかったためか、現場が終わってからの作業が長いことに驚きました。資材の積みおろしが終わると夜10時くらいになっていたことも珍しくなかったです」
仕事がスタートするのはだいたい8時半なので、資材とともに現場へ向かうには事務所に6時半には集合する。夜10時の解散は若かったとはいえ辛さを感じるのは当然だ。しかも現場はその日によって違い、時には作業を行うのが大変な箇所もある。
「以前、千葉県にある石油タンクで足場を組んだのですが、あまりに施設のスケールが大きくて仕事の終わりが見えなかったことがありました(苦笑)」
ただ、辛いだけの仕事だと10年以上も続くはずはない。この仕事ならではの楽しさややりがいも当然ある。
「完成した足場を見て、綺麗に組み上がったときこの仕事のやりがいを感じますよ。足場を綺麗に組み上げることは決して難しいことではないのですが、そんなように感じるのはこの仕事が自分に合っているからなのかもしれませんね」
そんな大森さんに、これから足場鳶を目指す人にこの仕事のメリットを語ってもらった。
「そうですねえ、若くても稼げるということがひとつ。それとふざけているわけではないのですが、筋トレ好きな人にはお勧めできますね(笑)。とにかく体を使う仕事なので経験を積めば自分の身体が変わっていくことがわかります。25歳くらいがピークですけどね」
「あと、若い職人が多いので友達が作りやすいと思いますよ。コミュニケーションをとれない人でも安心して入ってこれる仕事であることは間違いありません」
「それと高所恐怖症でこの仕事をあきらめる必要はありません。私もどちらかといえばそうですし(苦笑)。毎日、足場に乗るようになるとなれますし、なにより足場は一段づつ組んでいくので、一気に高いところへ登ることはないため問題ないはずです」
友達にも鳶の事を教える。