鳶の世界へと飛び込んだなら、上を目指すのが男としての生き様。しかし親方には誰でも慣れるものではない。親方になるためにはどのような素質が必要なのか?
足場鳶の収入はキャリアや立場によって違ってくる。この仕事は“上”を目指すことで、収入も上がっていく世界なのだ。
しかし、親方や独立するには“ただ”仕事をこなしていけばなれるものではない。親方になるためにはどうすればいいのだろうか。
「私が親方になったのは24歳のときでした。親方になるためには先輩から指名されるケースがあるようですが、私の場合はトラックを購入し自らが鳶を手配して現場に行くようになったことがきっかけでした」
親方とは読んで字のごとく、子(若い職人)を見るだけでなく、現場での段取りを自らが行う立場である。当然、足場現場での責任を負う立場であるためプレッシャーがかかるのは当然だが、一番苦労しているのは鳶の確保だと大森さんは話す。
「若い職人を確保することに苦労しています。せっかく入っても続かない子が多いし…」
若いと遊びに夢中になり、寝坊したため集合現場に来ることができず、またそのことをきっかけに翌日以降も顔を出せなくなる、という悪循環に陥る若手が多いのだ。
しかし、そんななかでも“上”を目指す若手はいるという。
「基本的に根性さえあればできる仕事ですが、そんななかでも、こいつは伸びると思う子はいます。例えば現場で周りを見る目や視点が違うとか。わかりやすく言うと、作業工程をちゃんとイメージできていて、足場をどう組むかが頭でちゃんと理解できているということでしょうか」
親方を目指すためには、現場で自分になにが求められるかを正しく理解し、作業をするにあたっての段取りをイメージすることが重要となるようだ。
「また、この仕事で“上”を目指すなら先輩や後輩とはもちろん、施工主などとうまくコミュニケーションを築くことが重要になります。もちろん仕事を始めてからでも憶えることができますので、仕事を通してコミュニケーション能力を磨いていくなど、親方になるにはどうすればいいかを考えながら仕事をしていくことが重要です」
友達にも鳶の事を教える。