新築・リフォームに大活躍!「町の足場屋」さんのエースはワカトビ! 後編

一人親方のための強いセーフティネット

町鳶だから!の「こだわりポイント」

派遣時代に知り合った社長のもと、町鳶として活躍している龍太さん。
鳶というと「てっぺんを極める!」のような、高さや建築物の規模を誇りに感じる職人も多くいる。
ところが、「町の足場屋さんの仕事への「こだわり」はそこじゃない」と龍太さん。語ってくれた「こだわり」は意外なポイントだった。

―お仕事をする上で、「ここがこだわり」というポイントについてヒトコト。

僕ねー、髪を染めてないんですよ。鳶職人に限らず、建設業ってガラが悪いってイメージがあるじゃないですか。

うちの会社はリフォームもやるので、施主さんと対応するのにボロボロの服、金髪は絶対NGです。ガラ悪く思われかねないから。

 一般の方だと、作業服来てる人は職人、って感じで鳶か、大工か、左官か、塗装か?なんて区別はつかないですよね。
一緒に現場に入っていると、ウチの仕事じゃないのに、他の職人がやったヘマのクレームを持ってこられるときもある。
そういうとき、心の中では「ウチじゃないんだけどなー」と思ってても、絶対、怒鳴るとかマナーのない態度はダメ、って言われてます。

職人にとって、信頼はとても大切なことだ。顧客との信頼関係を壊してしまうことは、そのまま、仕事を失うキッカケになりかねない。
しかし、高層建築に代表される、大企業では、クライアント側の担当者と顔をつき合わせることはあっても、「顧客自身」が職人とダイレクトに顔を合わせることはほとんどない。

中低層を扱う町鳶だからこそ、背筋を正して望まなければならない「身だしなみ」への心がけ。
ファッショントレンドに目を奪われやすい、20代の職人としては、大変しっかりとした、強い規範意識を感じさせた。全てのワカトビに共通して、知っておいてほしいことだと思う。

若者VSワカトビ!?年齢が近いからこそ感じる「教える難しさ」

デジタル世代の龍太さんはSNSもお得意で、Twitterなどでも鳶の仕事ぶりや、日常のあれこれを発信している。
これには、はっきりした目的意識があって「世間様からの目 職人=いかつい、わるい、のイメージがある。
臭い、汚い、とかバカしかできない仕事、と言われている世間に文句がいいたくて、今の職人の実際をTwitterで発信しています。」という。

鳶職人についてのネガティブなイメージを変えたい、という龍太さん。
建設不況の影響で人材教育が危ぶまれる鳶の世界で、年齢的に近い彼は、ワカトビ育成についてはどんな印象をもっているのかも聞いてみた。

「正直、「はき違えてないか?」という気がすることが多いですよ。入門したては、「職人」じゃなくて「見習い」です。「見習いでも職人だ」と思っている若い子には一言いいたいですね。

周りに認められて、初めて職人と名乗れるようになると思う。努力もしないで「簡単にできるだろう」と思って入ってきて、壁にぶち当たると諦めてしまう人が多すぎる。
自分が教育を受けた時期は、殴る親方もいたし、厳しく叱られたりもしたけど、今のコは、なんて言うか「折れやすい」感じがします。

休日は「デートかバス釣り。社長の勧めでサーフィンも始めました!車いじりも好きです。」と、イマドキの若者らしい過ごし方をしているという。
年齢が近い分、指導もしやすいのではないか?と思ったが、意外な答えが返ってきた。

「19歳の後輩を指導する時、人を使うのは難しいと思いました。自分は入門時代、厳しく叱られたり、居眠りしてたとき叩かれたりしていた。同じことをやったら、辞めてしまったと思う。今のコたちは、折れやすいから小さいことで辞めちゃう。我慢強さが少ないと感じます。

足場鳶はバカではできないですよ。計算もできないといけない、効率よくどう動くか?現場をを回す時間の読みも必要です。初心者だと、部材の名前を教えたり、分かりやすく教えるのに、どういえばいいのか、自分が思いつけない。」

経験はあっても、まだまだ人生の上では若く、応用が難しい面もあるのかもしれない。人を育てながら自分も一緒に成長している、伸び伸びと職人道を歩いている様子が伺われた。

鳶職人に向いている人、ってどんな人?と尋ねたら、「率先して何でもしようとする。率先してやれる、積極的な人。適応力があって、レベルアップを忍耐強くする、精神力がある人。」と考え考え答えてくれた。

エースのプライドは安全で使いやすい足場を組むこと!

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―鳶職人として得意な分野や、仕事で特にこだわっている点なども教えてください。

「得意って言うほどじゃないけど、気をつけていることは、使う人にとって使いやすい足場を、いかにどうやって組めるか?ですね。
足場って何のために必要なの?っていったら、塗装や大工のため。使う人の視点を心がけています。

それから、やっぱり安全!

ここ最近、ニュースで足場の崩落事故を見るたび、気をつけよう!と思います。割やアンチが重なってブラケットが入らないところは、番線でやるしかない。
けど、アンチの上に人が落ちないように、作業には十分気をつけて。大きい現場では通行人が多いですから、落下物で通行人に被害が出ないように注意を徹底しています。」

―今後の展望や、将来の目標は?

「まだ考えたことない(笑)社長とか、下のコから信頼される上司になりたい、かな?安心、安全な足場、片岡興業の中で職長クラスの職人として、社長の右腕になりたい!ですね」

―足場業界について何か思うことありますか?

「やっぱりー。どうなんですかねー・・・建築業界、全体で元請けさん、マージン抜きすぎ!もちょっと配慮して欲しい、無理な工期でやらせようとするところが多い。足場やってる側からしたら、無理な工期、無理なったん可でやらされると、足場の施工に手を抜いて人工を削らざるを得ない。それって事故の元ですよ。悪循環だから、正規な単価を希望している。のびのびできるような風通しのいい建築業界になるといいな。」

―最後に、社長、上司に一言!

「右腕になれるように頑張ります!」

職人には技術を引き継ぎ、後代へつないでくれる人がいなければ絶えてしまう。
まだ20代になったばかり、元気一杯だが、「人の役に立つような仕事がしたい」と鳶職人としてのプライドも垣間見られた。
ノビノビと活躍してくれることを期待したい!龍太さん、インタビューお疲れ様でした!

友達にも鳶の事を教える。

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