一人前とは周りに目を配れる鳶のこと

たくさん給料をもらうということは、それだけキツい仕事だという覚悟を持って仕事に取り組んでいる及川さん。親方になって4年が経つが、そんな彼が「一人前の鳶」をどんな風に考えているのだろう。

 

(インタビュー前半はこちら→『仲間がいれば忙しい現場も乗りきれる』)

 

同社の平均年齢は25〜26歳。みな若く、昔からの友だちも多いとあって、苦しいことも楽しいことも共にしている。それがキツい仕事を気持ち的に和らげてくれていると及川さんは言う。

だからと言って、ただ仲良しグループなのではない。一つの仕事に向かって、互いを気遣いながらそれぞれが責任感を持って仕事をこなすことが、及川さんたちの強みになっているようだ。

それをうかがわせるのが、及川さんのこんな言葉だ。

「一人前の鳶になると、周囲の人のことを考えながら仕事をするのだと思います」

例えば、あいつはちょっと疲れた顔をしているからそろそろ休憩を入れたほうがいいな、こいつは汗がひどいから水を補給させよう、等々。それは単なる仲間に対する優しさだけではない。

「休憩を適切に入れることで、かえって体の動きがよくなります。そのタイミングを上手く見計らうことは、とても大切なのだと、先輩たちを見て学びました」

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実際、及川さんが初めての仕事で、がむしゃらに仕事をこなしていると、ふいに親方から「お前、少し水を飲め」と言われたという。肉体的なキツさとうだるような暑さの中、そういわれて初めて自分が少しふらついていることに気がついたそうだ。

言われた通りペットボトルで水を飲むと、少しシャキッとした。軽く柔軟をしてから再び仕事に取り組むと、ついさっきまでと比べて体が軽いことに驚いた。

それ以降何人もの親方と仕事をしたが、よく見ていると、よくできる親方ほど休憩の入れ方が絶妙だとわかってきた。

「そういった先輩たちが何人もいます。彼らを見て、そのタイミングを参考にしています」

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絶妙な休憩の入れ方のタイミングとは、それだけ仲間の動きをきめ細かく見ていること。全体の進行具合からそうした一人ひとりの動きまで、心配りができてこそ、一人前の鳶なのだと及川さんは感じている。

「そのためには仕事の数をこなすことも重要です。だからキツいとか言ってられません。それに、この仕事はやればやるだけお金になるのだし(笑)」

一人前の鳶になるためだけに、数をこなすだけの日々は、時としてキツくなる。しかし苦楽を共にできる仲間がいて、仕事をしただけ給料がもらえる今は、とても充実しているのだと、及川さんの笑顔が教えてくれているようだ。

友達にも鳶の事を教える。

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