現場や用途により使い分けられる足場。日々、環境が違う現場で足場を架設するのが仕事だが、ときには変わった環境で作業を行うことがある。
工事現場に絶対欠かせないもののひとつが足場である。
足場の存在なくしては、外装、内装、塗装作業の工事は始まらず、もちろん建物が完成することはない。
足場は工事が完成すると撤去される仮設物ではあるものの、オリンピックを前に建設ラッシュが続く日本の建築現場を支える陰の主役なのである。
そんな足場の役割は、外装工、塗装工、配管工などの職人が人の手が届かない高所で安全に働くことができる環境となることはもちろん、高所からの落下物防止など多岐にわたるため、工事施設のニーズに合わせ架設しなければならない。
鳶にとって2階建ての住宅から高層マンション、ショッピングモール、各種スタジアムなどありとあらゆる現場で足場を組み上げないといけないものなのだ。
だが意外なことに、日々、違う現場に出ているためか自ら足場を組み上げたにもかかわらず過去の現場を憶えていないと話す鳶は多い。
「思い出に残っている現場といえば、ラブホテルの看板を設置するために組んだときですね(笑)」
そんな鳶のなかでは珍しく、笑顔でこう話してくれたのはアップステップの親方を務める浜本さん。思い出に残った現場について、さらに話を続けてくれた。
「あと、印象に残っているのはお寺の本堂。いつも足場を架設するマンションなどとは違いお寺は軒が出ているなど形状が大きく違っています。当然、組み方も変わりますし資材も多く使う必要があったため、時間もかかりましたね」
足場を架設するためには、現場の状況から必要な材料の必要数をその場で考えることが必要となる。
浜本さんは段取りを考え、資材の手配をこなさないといけない親方だからこそ、苦労した現場がいまだに記憶に残っているのだろう。
一見、体を動かすだけが足場を作る作業のすべてであるように思えるが、鳶は臨機応変な対応ができる判断力とビジョンが重要視される仕事なのだ。
友達にも鳶の事を教える。