【鳶人インタビュー】速さへの拘りが生んだ「腰道具カスタム」 中村勝文【前編】

1中村さん

同僚と一緒に(右が中村さん)

鳶職人は「叩いてナンボの仕事」スピードが命だから、速くなければ勝負にならない。けれども、速さを生み出す条件は「腕」だけではない。

ここに着目した結果、道具を極めた職人がいる。今、ツイッターでもYoutubeでも注目されている話題の鳶職人、「腰道具名人」の中村勝文さんにお話を伺った。

(前回鳶人で扱った中村さんの記事はこちら!→『鳶職人ならではのこだわり・・・腰道具をカスタムする』)

中村さん2

――定番の質問で、鳶職人に入門したのは、いつ、どんなきっかけだったのでしょう?

中村「僕は16の時です。僕は鳶の息子なんです、父は解体、橋梁、新築までこなす鳶職人で経営者でもありました。人を使って、自分も現場で職人として働いて・・・子ども時代から僕は、そういうお父さんの姿は、本当にカッコよく感じていて、「僕もやりたい!」と思ったのが職人になったキッカケです。」

――そこから、転職をされたんですか?

中村「そうですね、そこから、一人親方として独立して働いてみたり、他の会社に入社したりで、いろいろ・・・かなり動いています。今の会社に移ってからは1年ちょっとですね。」

「年齢が若いのに、キャリアは長いですね。」というと「そうですかぁ?」と不思議そう。鳶職人の平均年齢は若い。中卒入門者も多い業界のためか、30代前半でキャリア10年を超える人は少なくないのかもしれない。それにしても、親子二代で同じ道を歩くからこそ、見えてくるものもあるのかもしれない。

中村さん3

職人のプライドをかけた「速さ」へのこだわり

前回、「腰道具」でTwitterの動画を紹介した際に伺った中村さんの信念「叩いてナンボ」という「スピードへのこだわり」はどこから生まれたのだろう。

――中村さんの、スピードを極めるスタイルが生まれたキッカケについても教えてください

中村「25,6くらいの頃、転職して新しい勤務先に移った時のことです。当時、僕は既にキャリア10年くらいの職人でしたから、自分では、一通りこなせて、腕もそこそこできる方だと思っていました。まあ、イキがってテングになっていたわけですね。その状態で初めての先輩職人さんたちとくまされて現場入りしたら、これがもう、仕事が速すぎて「しんどいなー」とキツイ思いをしました。しばらくの間、すっごく頑張ってくらいついても、周りの先輩方がスゴ過ぎて、全然、ついて行けなかった。初めてでした、そんなことは。」

――それは、ショックですね

中村「もう、とにかくスピードが尋常じゃなくて…なんで、こんなに速いんだろう?って思いましたね(笑)僕も負けず嫌いで、大概がんばったんですけど、ホントに勝てない!って思わされました。で、先輩らの仕事ぶりを見ながら「なんであんなに速いんだろう?」と考えたんです。速さには「理由がある」と気がついた。体格とか、筋力とか、素質?そういうものは生まれつきだから簡単に解決できない。腕も、当時決して悪くはなかったから、これ以上急激に上手くはならないだろう。じゃあ、変えられるところはどこだ?って考えて、できるところを変えていこう。そうすれば速くなる。」

――なるほど、速さの「理由」突き止めようとした?

中村「先輩たちの動きを見ていたら「ムダがない」と思いました。最小限度の動きで必要な作業をこなすから速い、と分かった。じゃあ、自分の場合は、頭を使ってどうにかできるものがあるんじゃないか?そうやって突き詰めていった結果が、僕の場合「道具」だったんです。自分にピッタリ合った使いやすい道具を、人よりも素早く取り出しやすく使うことができれば、そこで何秒かは縮められる。これを繰り返せばいい、と。」

仕事が上手くいかない。そういう時は誰にでも訪れる。職人として悔しさや無力感を痛感させられることもあるかもしれない。
そんな時、「どうせやっても無駄な努力」と諦めてしまうか、「何かできることがあるはず」と考えるか?・・・ちょっとしたとらえ方の違いで、その後の歩みが大きく変わっていく。
中村さんのスピードへのこだわりと、打開策としての道具のカスタマイズは、理にかなっている上に職人としてのプライドも強く感じさせられた。

職人は「ガンコ」とよく評される。けれど、頑固にこだわるからこそ、良い仕事ができる。中村さんの工具に関するこだわりは、ツイッター(https://twitter.com/SyokuninJenny/status/896733634488446983)にかかれたコメント、

“工具の脱着の快適さ
工具の利便性
工具の重量バランス
工具の落下防止、安全面に配慮
そしてビジュアル性…見た目の良さ“

にも、良く表れている。こだわりが多ければ多いほど、より高い場所までたどり着ける。それが職人という生き物なのかもしれない。

中村さん4

 

・・・インタビュー後編に続く

友達にも鳶の事を教える。

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