「安全第一」の精神を中国に。

平尾化建 沈保興

中国から鳶の技能実習生として来日した沈さん。足場自体は中国と大きく違うと言うが、建設現場で一番大切なものを日本で学んでいる。

2013年、外国人技能実習制度を利用して中国から来日した平尾化建の沈さん。

外国人技能実習制度とは、法務省入国管理局が実施する制度で、日本の企業が外国人を受け入れ、最長3年の期間において技能実習生が実習により修得した技術・技能・知識を、雇用関係の下、より実践的かつ実務的に習熟することを目的としている。
受け入れ業種は建設関係だけで21種31作業があり、鳶もそのひとつだ。

「ちょっと怖いイメージがありましたが、お金を稼げそうだったことが鳶を選んだ理由です」

中国でも建設現場で働いていた沈さんだが、日本の足場と中国の足場は組み方を含め大きく違った。とくに中国の足場は危険が伴うため「鳶=怖い」との思いが強かったのだ。

しかし、いざ日本で働き始めると作業時の安全管理や足場資材など、気を抜かない限り怖くはないことがわかった。

「でも思っていた以上に疲れましたし、なにより夏の暑さがこれほどツラいとは予想していませんでした(苦笑)」

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仕事のペースがつかめたため、以前に比べて体力を温存できるようになった。しかし月に20日以上現場に出るため、腰痛に悩まされている。
それでも高いモチベーションを保ちながら働き続けられるのは、異国の地で真面目にしっかり働くことが母国に戻ってからの自分の将来に繋がると考えているからだ。

「将来は中国に戻ると思いますが、いまの経験は役立つと考えています。ただ足場の組み方は日本と中国ではまったく違うので経験を活かせないですけどね(笑)」

沈さんは笑顔でこのように語ったが、先を見据えているからだろうか。「一人前の鳶とは?」との問いに迷いなくこう答えた。

「安全に事故なく作業できる鳶だと思います」

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事故の発生が相当数あるとも言われている中国は、行政主導で事故に繋がる要因を調査し、改善に力を入れているそう。ただ残念ながら現在は発注側、そして労働者ともに安全の意識がまだ低いという。
日本で学んだ「安全第一」の精神を、沈さんが中国で浸透させていけるのか。国と国との架け橋とはこういうところから繋がっていくのかもしれない。

友達にも鳶の事を教える。

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