第2回 親方に必要な人間性とは。

アップステップ 田中仕

技術・経験がものをいう鳶の世界。しかし、親方というポジションは腕の良さだけでなく、組織を引っ張る人間力が必要となってくる。

職人たちを束ね現場を仕切る「親方」になるためには、経験・技術はもちろん統率力や若い鳶から慕われる人間性が求められる。

「玉掛け」「足場(足場の組み立て等作業主任者)」の資格を取得し、アップステップの親方に就いた田中さんも重視しているのはその人間性。しかし、現場ではジレンマも多い。

「若い鳶はすぐに辞めてしまうため、感情的になるのを我慢してあまり怒らないようにしています」

高所での作業では命を落とす危険を伴う鳶の世界。それでも頭ごなしに怒ることなく根気よく若手を指導する理由について、トラウマになっている自らの経験が大きいと田中さんは続けた。

「鳶になったばかりのころ、よく怒られていたんです。仕事で失敗したときはしょうがないのですが、その日の気分で親方にあたられたりしたときの辛さがいまでも忘れられないんですよ…」

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新人に対する手荒い薫陶ともいえるが、“理不尽”なことには変わらない。田中さんが「怒りすぎない」のは当時の親方や辛い経験を反面教師にして、自らが考える親方像を構築しているからである。

そんな田中さんにとって一人前の鳶とは仕事をスムーズにこなすことだと語る。
足場を架設する上でスムーズとは、現場に必要な人の配しかたや、作業の手順を円滑に進めることなどが思い浮かぶ。
いずれにしろ、技術だけでなくコミュニケーションが上手くないと勤まらない。

「将来について独立などは考えていませんが、若い子に慕われる鳶になるのが目標ですね」

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ひとりではできない鳶の仕事は、とくに人の上に立つためには人間性が重要視される。
ただ怒るだけではなく、若い鳶の話を聞く度量と存在感が求められるのだ。

建設現場で足場は縁の下の力持ちといえる存在だが、その足場を架設する現場は職人たちを統率し作業を仕切る田中さんのような親方たちが支えていることを忘れてはならない。

友達にも鳶の事を教える。

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