Posted in 足場・鳶用語集

火打ち【知って得する!鳶用語辞典】

【道具名】 火打ち ひうち 【解説】 時代劇で女将さんが「あんた、行っといで!」と縁起担ぎのために火打ち石を打つ。 ただしこの「火打ち」は足場補強のために最上部のコーナーを単管などで固定することを言う。 また木造建築で梁のひずみを防ぐため斜めに取り付ける補強材を「火打ち梁」「火打ち土台」と呼ぶ。 『建築語源考(技術はコトバなり)』(飯塚五郎蔵)によると「マッチのない昔は石片を打ち合わせて火花を出し、これを火口(ほくち)と称する黄麻(おうま)にアルコールをしみ込ませたものに移す。この火打石は鋭角をしていたので三角形を火打ということになった」とある。

Posted in アートビルダー 下國真英, 職人インタビュー

美しい足場、良い足場とは?

現場の環境や状況により組み上げられる足場。同じ現場でも組む職人により、大きな違いがでるが、職人の実力の差となるのが足場を美しく組めるかどうかだという。   前編はこちら→『いまも心に残る先輩鳶に言われた台詞』   「足場ってアートなんだ!」 ──これは、いままでじっくり足場を見たことがなかった筆者が今回の取材で組み上がった足場を最初に見たときの感想である。 支柱、踏板、手摺り、階段などを組み合わせて作られる足場だが、職人によって組み方はそれぞれ。多種多様な足場ではあるが、そのなかでも美しく組み上げられた足場はまさに芸術品。 「自分以外の人が組んだ足場は気になりますよ。シートが張られた足場でも、つい気になって見てしまいます(笑)」 建設中の建物外周部に組まれた足場には必ずシートが張られるが、職業病なのか、下國さんは職人や会社によって組み方が違う足場を確認せずにはいられないそうだ。しかし、我々のように専門的でない立場ではなく、実際作業している職人が考える美しい足場とはどういうものなのか。 「材料は少なく、細かくなく綺麗に組んでいる足場が、良い足場なのではないでしょうか」 足場の役割とは、建設現場で作業する塗装屋さんなどの職人が安全に仕事ができる環境となること。美しい足場は、見た目だけでなく足場を使う職人の仕事をイメージできないと生まれないのかもしれない。 「やはり他の職人から頼られる鳶になりたいですよね。その結果が稼げる鳶にもなると思いますし」 下國さんはこう語ってくれたが、鳶の世界は実力の差がハッキリと出る世界。早く、美しく、そして安全な足場を組むことで信頼されるようになり、また仕事が回ってくるようになる。仕事を確実にこなしながら信頼を得ていくことが重要だと語る下國さんに、美しく組めた足場を解体するのは惜しくないかと聞いてみた。 「ペンキ職人さんなどから『良い足場だったよ』と褒められると確かに嬉しいですが、解体することを惜しいとは思いませんよ。だってまた良い足場を組めばいいじゃないですか(笑)」 下國さんは信頼を得るために、鳶としていかに美しく足場を組めるかという技量を磨きながら、今日も建設現場で働いている。

Posted in TOP鳶人, アートビルダー 下國真英, 職人インタビュー

いまも心に残る先輩鳶に言われた台詞

格好良さやお金を稼ぎたいという思いから鳶の世界に入りながらも、仕事の厳しさから離職する人も少なくない。鳶としてのキャリアを積むきっかけが人それぞれにあるようだ。 足場とは建設現場において絶対に欠かせないものである。現場の状況により組み立てに必要な資材の数をよみ、足場を組むだけでなく解体・撤収をも考えながら作業を行うのだ。当然、作業の手順を考えるには、それなりの経験が必要となる。鳶という仕事を続けていくのは簡単ではない。 「鳶を始めたころはがむしゃらに作業を行っていたぶん体力的なキツさや、暑さ寒さの辛さをとくに感じていました」 今年で鳶歴8年となった下國さんはこの仕事に就いた当時のことをこう振り返る。鳶は体力的な負担が大きい仕事だが、仕事をこなしていけば必要な身体は自然と作られていくもの。なによりこの仕事を続けるために必要なのは我慢強さだろう。 実際、下國さんも「最初はついていくのが大変で帰ったらすぐ寝ないと体が持ちませんでした。でも半年くらい経つと自然に慣れましたね」と、語っている。 しかし、仕事の段取りを理解しないまま作業したり、先輩鳶の要求にすぐ対応できないと怒られ続けることは間違いない。 必要なのは、毎日作業現場で怒られたとしても、それに耐える精神力。そして教えられたことだけでなく自らが考える姿勢、親方や先輩鳶の仕事や技を盗みながら作業を憶えてく気持ちがないと成長しないのだ。逆に、淡々と仕事をこなすだけではなぜ自分が怒られたかを理解できずに、この世界から去っていく可能性が高い。 いまやベテランの域に入ろうとしている下國さんも若い頃、ある先輩鳶に注意されたひと言が、一人前の鳶になるきっかけになったという。 「鳶になって最初の頃、言われたことをやりつつ一日が終わればいいとダラダラ作業をやっていました。そこで『(ちゃんと作業を)やんなきゃあ(仕事が)終わらないぞ!』と言われたことをいまだに憶えています。単純な一言なのですが、言葉以上の重みがありました」 その後、どうせやるならと積極的に仕事を憶え、数多くの仕事をこなしていった下國さんは、将来独立することを念頭におきながらいまでは後輩鳶の指導にも精を出す。 相手の性格を見極めつつ注意の仕方を変えているという下國さんが、ダラダラ働く新人鳶にまずいう言葉はもちろん『やんなきゃあ終わらないぞ!』だ。 インタビュー後編へ続く・・・

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玉掛け【知って得する!鳶用語辞典】

【用語名】 玉掛け たまかけ 【解説】 クレーンにワイヤーロープで荷を吊るしたり降ろしたりする作業が玉掛け。 荷を吊るすだけなら簡単と思うかもしれないが、バランスよく吊るには技術と知識が必要。玉掛け作業を行うためには「玉掛け技能講習」を受け資格を取得しなければならない。個の資格は鳶をはじめ建設現場で働くあらゆる職人が最初に目指す資格だ。 玉掛けはクレーンで吊る荷をかける作業。クレーンを動かすには別途クレーン免許が必要。 荷にワイヤーロープをとめる方法は「半掛け」「目通し掛け」などが、荷をとめたワイヤーをクレーンのフックに掛ける方法は「半掛け」「肩掛け」「巻き掛け」などがある。

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足場の組立て等作業主任者技能講習【建築の資格】

【資格名】 足場の組立て等作業主任者技能講習 あしばのくみたてとうさぎょうしゅにんしゃぎのうこうしゅう 【資格の概要】 つり足場、張出し足場、または高さが5メートル以上の構造の足場の組み立て、解体又は変更の作業を行うには、技能講習を終了した者を作業主任者として選任しなければならないと労働安全衛生規則で定められている。作業主任者になるための技能講習だ。 【受講資格】 足場の組立て、解体又は変更に関する作業の経験が3年以上で、21歳以上 ※学歴等により変わってくる 【講習内容】 足場の組立、解体、変更等に関する知識 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 作業者に対する教育等に関する知識 関係法令 修了試験 【資格取得でできる仕事】 建設現場における足場の組み立て作業において責任者として従事可能

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第2回 わかるまで教えることが重要

キャリアを積み重ねることは、自分だけでなく後輩にも気をつかわないといけない立場になることでもある。10代の鳶が珍しくないこの世界で伊藤さんは後輩鳶の育成に試行錯誤している。 ぼんやりとではあるが、将来独立を考えている伊藤さん。今後どういう鳶になりたいと考えているのだろう。 「誰が見ても文句のない職人になりたいですね」 一人前の鳶とは、仕事をスムーズにこなすことはもちろん、周りから職人として認められることが重要だと考えている。具体的なイメージは先輩親方なのだそうだ。 「飴と鞭を上手く使いわけたりはしませんでしたが、仕事中焦ったりせずどっしり構えている人でした。自分のなかではその先輩親方が目標ですね」 伊藤さん以外の鳶さんからは「あの人は無理」と言われることも多かったその先輩だが、性格的にあったのだろうか。その先輩親方に言われたことで今でも心に残っていることがあるという。 「経験を重ねて一人で現場に行き始めたころ、先輩親方に『自分のことだけを考えるな!』と注意されました。自分では気がつきませんでしたが、仕事ぶりがおおざっぱになっていたみたいです。後輩ができはじめたばかりで周りに目がいっていなかったのでしょうね」 そんな伊藤さんだが、いまや親方として後輩の面倒をみる立場になった。後輩に接することで気をつけていることはあるのだろうか。 「自分はどちからというと怒られるより放っておかれてここまできたので、感情的に怒らないことを心がけています。でも人に教えることは難しいですね…。一人前の鳶とは、人に仕事を教えられるようになることだと考えているのですが、言葉で伝えることは難しいですし、自分が実践して憶えさせるのも難しい」 ただ、教えることが難しいからこそ若い鳶への面倒をみることを諦めないそうだ。 「とにかく心がけているのは、相手が憶えられないのなら、わかるまで教えること」 足場を組むことがやりづらい現場で作業が終わった瞬間の開放感がこの仕事でとくにやりがいを感じるとき。親方として今後も後身の育成に悩みながらも、多くの鳶を育てていくことだろう。

Posted in アートビルダー 伊藤隆樹, 職人インタビュー

第1回 高所が苦手ながらも鳶の世界に! アートビルダー 伊藤隆樹さん(26歳)

鳶のキャリアが10年に達しベテランの域になりつつある。まだ26歳ながらも、すでに“職人”としての風格を感じさせる伊藤さんの鳶人生を振り返ろう。 足場の組立て等作業主任者の資格を取得し、現在は親方として活躍する伊藤さん。16歳のときから足場鳶に就いている彼がこの世界に入ったきかっけは給与条件の良さだった。 「学校を辞め、友達とともに『とりあえず働こう』と求人広告を見たとき、一番給与の条件が良かったのがこの仕事だったんです」 10代の男性(女性もだろうが)からすると、当然のような理由で鳶の世界に飛び込んだ伊藤さんだったが、高いところで作業する仕事に格好良さを感じていたことも理由のひとつであったようだ。 入った当初はやはり辛いことが多かったという。 「夏場の暑さはもちろん、入ったころは体力的に辛かったことを憶えています」 しかし、伊藤さんは体力的な辛さを1週間で克服する。それは一緒にこの仕事を始めた友人の存在が大きかった。 「友達に負けたくないと、意地になって仕事に取り組みました。当時は仕事がキツかったのであっという間に時間が経っていましたね。その甲斐があったのか体力的には1週間で慣れました」 とはいえ、多くの鳶と同じように夏場の暑さだけはいまでも慣れないと話す。 「一度、夏場の暑さからなのか身体が激しくつったことがありました。その経験から暑い時期は1~2時間作業し、そして休みを入れることを繰り返しながら足場を組み上げています」 夏の暑さに比べたら、動かないとき体力を奪われる冬場や雨天時の作業も苦にならないと話す伊藤さんだが、実は鳶という仕事において大きくマイナスになることをいまだに克服できてないそうだ。 「昔から高いところが苦手なんですよ(苦笑)。どれだけ足場を組んでも慣れません…」 苦手とはいえ、高いところでの作業が当たり前の仕事である。今まで30m以上ある足場を組んだこともあったが、苦手かどうかは仕事中には考えないようにしていると話す。 「とにかく下を見ないで仕事に集中するしかないですね。高いところが苦手でも手を動かさないと仕事が終わりませんから…」

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職長・小方【知って得する! 鳶用語辞典】

【用語名】 職長/小方 しょくちょう/こがた  【解説】 現場で働く鳶たちを束ね、指示を出していくのが職長。そして職長の指示に従って作業する鳶たちを小方と呼ぶ。職長は鳶のほかにも鉄筋工や型枠大工など、分野ごとに配置され、職長には安全衛生教育(職長教育)を受けたものがなれる。 職長は現場監督など現場統括者からの指示を聞き、それを自分の下につく鳶たちに伝え、かれらが指示通りに動けているか、安全に配慮しながら効率よく作業で来ているか、体調などに変化はないかなどを自ら作業しながら目を配らせている。

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建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習【建築の資格】

【資格の概要】 ビルやマンションなどの建造物で鉄骨など金属製の骨組みの組み立てでは、高さ5m以上の場合、技能講習を終了した者を作業主任者として選任しなければならないと労働安全衛生法で定められている。作業主任者になるための技能講習だ。   【受講資格】 鉄骨の組み立て作業の実務経験が3年以上 21歳以上 ※学歴等により変わってくる   【講習内容】 作業の方法に関する知識 工事用設備、機械、器具などの関する知識 作業環境などに関する知識 作業者に対する教育などに関する知識 関係法令 修了試験   【資格取得でできる仕事】 鉄骨の組み立てにおいて責任者として従事可能

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小運搬【知って得する! 鳶用語辞典】

【道具名】 小運搬(こうんぱん) 【解説】 トラックに積んできた資材を現場まで運んだり、現場内で資材を移動したりすることを小運搬と言う。 小運搬は主に人力で行うものを指すが、小さなフォークリフトなどを使うものまで含めることもある。 とくに戸建て建設の場合、現場に面した道路が狭くトラックを現場前まで乗り付けられず、かなり遠くにクルマをとめなければならないこともある。そうなると小運搬にかなりの時間と労力を割くことに。ときには小運搬のための人員を確保することもある。

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防水工【現場に関わる職人たち】

【仕事内容】 屋根、屋上、ベランダ、窓まわりなどの防水工事を行う。工事内容は多岐に渡り、それぞれの部位で適切な処置を行わなくてはならない。窓枠などはシーリング材を流し込んでゆくが、これを専門に行う職人もいる。新築のほか、修繕の現場も多い。   【現場に入るタイミング】 仕上げ工事の前段階から

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型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習【建築の資格】

【資格名】 型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習 かたわくしほこうのくみたてとうさぎょうしゅにんしゃぎのうこうしゅう    【資格の概要】 コンクリートの打設に使う型枠を支持する「型わく支保工」の組み立てや解体を行う際、技能講習を終了した者を作業主任者として選任しなければならないと労働安全衛生法で定められている。作業主任者になるための技能講習だ。   【受講資格】 型枠支保工の実務経験が3年以上 21歳以上 ※学歴等により変わってくる   【講習内容】 作業の方法に関する知識 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 作業者に対する教育等に関する知識 関係法令 終了試験   【資格取得でできる仕事】 コンクリート型枠の取り付け作業などにおいて責任者として従事可能

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朝顔【知って得する! 鳶用語辞典】

【解説】 仮設足場の上で作業する職人が万が一道具や資材を落としてしまうと、小さなものでも下を歩く歩行者などに大きな怪我を負わせてしまう可能性がある。 このような事故を防ぐため、仮設足場には落下物を受け止めるヒサシを逆にしたような形の防護棚を設置する。朝顔は花の種類だが、建設業界ではこの防護棚を「朝顔」と呼ぶのだ。 道路に面した場所に仮設足場を組む場合、朝顔は道路にはみ出してしまう。そのため朝顔設置には道路占有許可を出さなくてはならない。朝顔の高さは歩道のない道路の場合は最下部が路面から5m以上、歩道に面している場合は最下部が路面から4m以上と決められている。

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鉄筋工【現場に関わる職人たち】

【仕事内容】 ビルなどのコンクリート建造物で、コンクリートの強度を増すために鉄製の骨組みをが入っている。鉄筋を加工し、現場で鉄筋を配置・つなぎ合わせていくのが鉄筋工だ。建設現場のほか、道路、橋梁、トンネルなどの土木工事現場でも仕事を行う。   【現場に入るタイミング】 基礎工事

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第二回平尾杯争奪鳶-1グランプリin関東レポート

「日本に鳶はたくさんいるが、一番はうちの鳶だ」 鳶職を束ねる社長たちはみな誇らしげに言う。 だったら一番の鳶を決めようじゃないか-- 鳶-1グランプリはこのような経緯でスタートした大会だ。 3月に行われた九州大会に続く今回の関東大会には埼玉、神奈川、千葉から6社が参加した。 平成24年設立の若い会社ながら場数を踏んだ鳶を揃える 『株式会社アップステップ(埼玉)』 ●昭和64年、そして平成元年生まれと歳が近い20代メンバーで参戦する 『合同会社アートビルダー(埼玉)』 ●10代~20代前半という若いチーム構成で立ち向かう 『株式会社川西興業(神奈川)』 ●新築、一般住宅、大規模修繕工事を含めて年間3000棟もの現場をこなす 『株式会社相模テック(神奈川)』 ●くさび緊結式足場メーカーとしての威信をかけて今大会に挑む 『信和株式会社(埼玉)』 ●鳶-1グランプリ主催者で前回九州大会では佐世保営業所の鳶が優勝を勝ち取った 『平尾化建株式会社プロジェクト部(千葉)』   早くから会場入りしていた参加者は家族の応援もあり和気あいあいとしたムード。しかし開会式が終わり競技開始の時間が近づくにつれ、緊張感が会場を包む。9時の合図と同時にトラックのロープが解かれ鳶-1グランプリがスタートした。 開始直後、相模テックチームが“奇襲”ともいえる作戦に出る。他のチームが資材の間配り、そしてジャッキベースの設置から始めたのに対し、相模テックチームはトラックから直接資材を渡しながら足場を組み上げてゆく。 「今回はトラックを3面横付けできるから1面ずつ組むのが早いと考えたんです」(小倉さん) 現場の状況に合わせもっとも効率のいいやり方を見つけるのも鳶の実力。他のチームと違う判断をした彼らの動きに審査員も注目する。開始1時間後には多くのチームが根がらみをつなぎ終え、支柱をつなげ始めた。 鳶-1グランプリでは事前に参加チームの元に一戸建ての図面が送られた。それを見て親方がどのようなやり方でどんな足場を組むか決める。足場に高さが出てくるにつれ、各チームの違いが見えてきた。 先行手摺りを多く使い足場の強度を高めてゆく信和チームと平尾化建チーム。1層ずつ階段を組むアートビルダーチームに対し、川西興業チームは1層目から3層目をつなげる用に階段を設置。アップステップチームは2層目から4層目をつなげるように階段を設置した。足場に各社の、そして親方の個性が見える。 午前中の天候は曇りで気温も低かったが、午後になると太陽が顔を出す。参加者は暑さとの戦いになった。しかし高く組み上がった足場の上で鳶たちは軽やかに動き回る。 「手摺りは…全部で4でOK!」 「いいから! 早く材料!」 あちこちから親方の指示が聞こえ、ハンマーの音が会場に響く。 「パパ、頑張って!」 普段父親の働く姿を見たことがない小さな子供たちの応援も自然と大きな声に。自分たちが一番に組み終える!という気迫からだろうか。終盤に差し掛かると各チームの動きが一層機敏に。 そして13時50分。大会終了時刻より1時間以上も早く相模テックチームが終了。ついでアートビルダーチーム、平尾化建チーム、アップステップチーム、信和チームが終了。最後に川西興業チームが作業を終え、全チームが予定時間内に足場を組み終えた。九州大会では同じ図面で足場を完成させたのが1チームだったことを考えると驚異的なスピードだ。 鳶-1グランプリでは作業スピード以外に足場の施工方法や作業内容、完成した足場の使いやすさや安全面などが審査対象に。中でも安全面は作業中、完成した足場ともに大きなウェイトを占める。審査員たちが足場に上り隅々までチェックするのを参加者は体を休めながら見守る。 第2回鳶-1グランプリin関東。優勝はアートビルダーチームに決まった。準優勝は信和チーム、3位はアップステップチーム。 優勝カップと賞金を受け取ったアートビルダーチームの伊藤さんは「優勝できてよかった。同じ図面でもこれだけやり方が違う。みなさんのやり方も真似させてもらいながら、もっといい足場を組めるようになっていきたい」とコメント。 審査委員長の高橋氏は「前半こそスピードに差が出ている気もしたが、時間に大差がなかったことに驚きました。安全面もどこもしっかりしていました。点数は僅差でした」と語った。 鳶たちが威信をかけて挑んだ鳶-1グランプリ。同じ図面でも完成した足場はまったく違うものに。しかしどの足場にも「すべての職人たちの仕事がはかどり、安全に作業できるように」という思いが詰まっている。この気持ちこそが、鳶の誇りなのだ。 第1回鳶−1GPin九州のレポートはこちらから!

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滑車【知って得する!鳶用語辞典】

【使用用途など】 足場設営に必要な資材や解体した後の足場などをロープにより上下、水平移動する際に使用する溝車付き工具の総称を「滑車」と呼ぶ。 滑車頭部のワイヤロープと吊り荷をつなぐ結合金具はシャックル式、フック式、スナッチ式など商品によって違っている(写真の滑車はフック式)。 戸建て建築の低い足場はもちろん、ビル建築でも滑車は使われる。歴史が古い鳶と言う仕事では、クレーンが開発される前から滑車を使いこなしてさまざまな足場を組んできた。   【市場価格】 2000~4500円(滑車のみ)

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【熱中症対策特集2】熱中症になりにくい体を作る、誰もが知っているあの飲み物

熱中症対策というとどうしても現場で何を飲むか、というところに意識を奪われがちです。でも普段からアレを飲むだけで熱中症になりにくい体を作ることができるって、ご存知でした?   ・体温調節機能を高める、あの飲み物とは?   それはズバリ「牛乳」です。     意外でしたか? 簡単に仕組みを紹介しますね。   牛乳にはアルブミンという成分が含まれているのですが、このアルブミン、血液を増やしてくれる作用があります。 血液が増えると末梢まで血流がいきわたり、汗をかきやすくなり、熱を放散しやすくなる・・ 熱を放散しやすくなるということは・・つまり体温調節機能が高まるのです!   熱中症は体内の熱をうまく放出できなくなって起こるものですから、 牛乳を飲むことで血液を増やし、体温調節機能を高めることが熱中症対策になるというのはお分かりいただけたでしょうか。   ・飲むタイミングは?   これは運動後が効果的だそうです。   ・牛乳が苦手なんだけど?   アルブミンは乳製品に多く含まれるのでチーズやヨーグルトなどでも代用可能です。 また、現場作業で疲れきったところに牛乳はなんともヘビーですが、カフェオレなんかだと飲みやすかったりもしますよね。 いつものコンビニコーヒーを牛乳で割ってお手製カフェオレなんかも素敵です。   これから迎える夏本番を前に、毎日牛乳を飲んで熱中症になりにくい体を作りましょう!

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熱中症対策特集1「実は危険な意外なあの飲み物!」

  皆さん、水分補給してますか?   今年は5月に台風が上陸したり不思議な天候ですが、夏の暑さを予感させるには十分な気温が全国各地で記録されています。 こうなるとあちこちの現場で聞こえてくるのが「熱中症に気をつけろ」ですね。 今回の記事では「え、それってダメなの?」という、よく聞くけど実は間違っている、コワ~イ熱中症対策をお伝えします。   ・「ミネラルと塩分補給にスポーツドリンク」   よく聞きますよね、熱中症対策にスポーツドリンク。 でも実はこれ、摂取の仕方を間違えるとすごく危険なんです。 スポーツドリンクにはミネラル、塩分と共に糖分が大量に入っています。 その分量はスポーツドリンク100mlに約6グラム前後とも言われています。 ということは500mlのペットボトルには角砂糖10個分前後の砂糖が入っているわけです。   では、それだけの糖分が入ったスポーツドリンクを何本も一気に飲んじゃうと人間の体はどうなるか、みなさんご存知ですか?   ・スポーツドリンクの過剰摂取は○○を引き起こす!   みなさんはペットボトル症候群という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 これはソフトドリンクやスポーツドリンクの急激な大量摂取により引き起こされるものです。(皆さんも休憩時間に1リットルぐらい一気にスポーツドリンクを飲んじゃったりしてませんか?) このペットボトル症候群、もっとわかりやすく言うと「急性糖尿病」なんです。 詳しくはwikiを見て頂きたいのですが Wikipedia:急性糖尿病 症状としてはまずは喉の渇き、倦怠感です。 汗をかいたから喉が渇いていると思ってスポーツドリンクを飲み続けたら、実は急性糖尿病のせいだったとしたら恐ろしいですよね。 もし気付かずに飲み続けるといずれは吐き気、腹痛、昏倒、そして最悪は死亡することすらあり得ます。   ではスポーツドリンクはダメなの?   そんなことはありません。   失われた水分を効率よく吸収するためにはスポーツドリンクが優れた飲料であることに変わりはありません。 大事なのはその量とタイミングです。   一度に過剰摂取するのではなく、1回の休憩時にスポーツドリンクは1本までとし、それでも喉が渇く場合は麦茶などのミネラル豊富な飲料を選ぶようにしましょう。 また、熱中症の初期症状(めまい、手足が冷たくなってくる、筋肉が痙攣する、など)のタイミングでは麦茶より吸収の良いスポーツドリンクを何回にも分けて(一気飲みせずに)飲むことが回復を早めてくれます。   【まとめ】 ・短時間にスポーツドリンクを過剰摂取するのは危険です。 ・1回の休憩ではせいぜい1本まで。 …

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地盤改良職人【現場に関わる職人たち】

【仕事内容】 地面の状態は現場によりさまざま。戸建てやビルを新築する際に安定して建てられるか調査し、必要なら人工的に地盤を改良する。これらを手掛けるのが地盤改良職人だ。工法は多岐に渡り、それぞれに専門家もいる。   【現場に入るタイミング】 基礎工事時

Posted in THE 鳶~鳶のすべて

関東1の鳶職人決定戦が開催!【鳶-1GP in関東】

彼らがいないと建物が建たない、直らない!   そんな日本経済の要、「鳶職人」   彼らの技と意識のぶつかり合いを間近で見られる 日本唯一のイベント「平尾杯争奪 鳶-1GP in関東」 5月24日(日)に千葉県八千代市で開催されます。   第2回である今回は関東各地より6社が参加! 時間制限内で安全面、正確さ、速さ、完成度が審査されグランプリが決定します。   同じ一枚の図面を元に各社がそれぞれのやり方で一斉にくみ上げていく姿が一望出来るそ大変貴重な機会です!鳶職の方もそうでない方も是非みなさまお誘い合わせの上、観覧にいらしてください!   ============= 平尾杯争奪 鳶-1GP in 関東 5月24日(日曜日) 千葉県八千代市島田台1276(平尾化建八千代営業所 隣地) 開会 9時 閉会 16時 その他の詳細情報はこちらでチェック! ============= 第1回の様子

Posted in 足場・鳶用語集

くさび緊結式足場【知って得する!鳶用語辞典】

【解説】 ユニット化された足場についたコの字型の部位をつなげる足場のポケットに差し込み組み上げる。このようにして組んでいける足場をくさび緊結式足場という。 かつて鳶職は丸太を使い足場を組んでいたが、丸太を番線で締め上げるのに手間がかかる、足場の長さ調整などに時間がかかるなどのデメリットもあった。 くさび緊結式足場はハンマーを使って組み上げることができ、建造物の形に応じて仮設足場を柔軟に組み上げることができる。またコストを抑え素早くくみ上げることができるため、多くの建設現場で使用されている。

Posted in 足場・鳶用語集

KY活動【知って得する!鳶用語辞典】

【解説】 KYとは少し前に女子高生の間で流行した「空気が読めない」ではなく、「危険予知」の略。 多くの機械が行きかい作業も危険な場所で行う建設現場では、事故を未然に防ぐためのさまざまな取り組みが行われている。それらを総称してKY活動と呼ぶのだ。 KY活動の基本は現場にどのような危険が潜んでいるかを予測し、その対策を行うこと。朝礼での作業内容や各自の体調などの伝達、安全対策の確認、危険予知活動表への記載と行動目標の設定など、KY活動は多岐に渡る。

Posted in コラム, 鳶職人アンケート&大調査

第1回鳶職人アンケート調査結果!

『よく使っている使っているスマホアプリを教えてください!』 今回から始まりました、鳶職人アンケート調査。 第一回の今回は鳶職人が良く使うスマホアプリの調査結果を発表します! まずは3位から!     3位 Facebook 6票(回答75人)     鳶仲間とはもちろん地元の仲間達との近況をチェックしたりコミュニケーションツールとして使っている方が多いようです。メッセンジャー機能も便利ですよね。 気になる2位は!!?       2位 モンスターストライク(モンスト) 36票(回答75人)     モンストは気軽に始められながらも進むに従って戦略も必要だったり、近くにいる鳶仲間同士で一緒にプレイ出来るのもポイントが高かったようです。気分転換にオススメのゲームですね。 そして堂々たる1位に輝いたのは!!!!?         1位 LINE 43票(回答75人)   ラインはプライベートでも、仕事でも活用している方が多かったようです。 鳶人で作ったLINEスタンプも是非使ってみてくださいね。鳶職人ならでは「あるある」ネタ満載のスタンプです!   今回のアンケートでは仲間との繋がりを大事にするアプリが上位を独占しました。現場でのコミュニケーションが重要な鳶職人ならではの結果と言えそうです。 ※鳶人ではアンケートに答えて頂ける鳶職の皆様を募集しています! こちらより連絡先情報をご入力ください! アンケート情報をお送りさせて頂きます。(アンケート結果は今回の様にまとめ記事として発表していきます)   ▼調査概要 ・実施時期 : 2015年4月中旬調査 ・対象者 : 10代~40代の「現役鳶職人」 75名

Posted in 工事現場の基礎知識, 職人

左官【現場に関わる職人たち】

【仕事内容】 戸建てからビルまで、建物の壁をコテ一丁で塗り付けていく職人。材料は多岐に渡り、しっくいやモルタルのほか、土やコンクリートなども扱う。歴史は古く、東大寺(奈良)の再建大仏殿の棟上(1190年)で大工などとともに官位を受領しているという記録もある。現在では床仕上げを専門に行う左官もいる。 【現場に入るタイミング】 仕上げ工事時

Posted in 工事現場の基礎知識, 資格

とび技能士【建築の資格】

【資格の概要】 鳶職の国家資格で3級から1級まである。鳶作業の段取り、仮設足場の組み立てや解体、掘削、土止めや地業など、とびに関するさまざまな仕事の能力を認定するもの。 【受講資格】 <3級> 不問 <2級> 実務経験2年以上、または3級合格者 <1級> 実務経験7年以上、または2級合格後2年以上の実務経験、または3級合格後4年以上の実務経験 【試験科目】 <3級、2級、1級> 学科:施工法、材料、建築構造、関係法規、安全衛生 実技:とび作業 ※級により難易度が異なる <基礎2級> 学科:主なとび施工の方法、とび工事用材料の種類、安全衛生に関する基礎的な知識 実技:仮設の建設物の組立て <基礎1級> 学科:とび施工の方法、とび工事用材料の種類および用途、安全衛生に関する基礎的な知識 実技:仮設の建設物の組立ておよび解体 【資格取得後は】 1級には厚生労働大臣名の、2級および3級には各都道府県知事名の合格証書が交付される。これによりとび技能士を名乗ることが可能に。

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足場養生カバー【知って得する! 鳶用語辞典】

【使用用途など】 足場の支柱にはコマ(クサビ受け)がついており出入口付近などを養生しないといけない。そのとき使用するのが足場養生カバー、もしくはマルチカバーと呼ばれる養生材だ。 以前は塩ビ製が一般的だったが、いまは軽くて丈夫なポリエチレン素材で作られているため柔軟性が高く、落としても床を傷つけたり、商品自体が割れたりすることがない。また形や長さはカッターなどで簡単に調整できるのが特徴だ。 製品の色が黄色なのは、彩度が高く鳶や通行人への注意喚起の効果があるためだ。 【市場価格】 6000円~(幅や本数により変動)

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コーキング(ガン)【知って得する! 鳶用語辞典】

【使用用途など】 建物の気密性や防水性のために隙間を目地材などでふさぐことをコーキングという。その材料となるパテを充填材・コーキング材・コーキング剤と呼ぶ。 写真は右がコーキング剤、左がコーキングガンとなる。 現場で使用される填材料には、シリコーン系、変性シリコーン系、ポリウレタン系などの樹脂が使われており、用途によって使いわける。建物の外壁の目地(縦と横のライン)に詰めている防水性の詰め物もコーキング剤で建物にはとても重要な材料だ。 【市場価格】 500円~(コーキング剤) 800円~(コーキングガン)

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知っ得!足場の法改正!

数年に一度行われる足場に関する法改正。 とび職に関する情報提供サイト、「鳶人」としては見過ごせません。 そこで本日の記事は今回の法改正に関するホットトピックをまとめてお知らせします。 一番変わるのは・・・ やはり皆さんが気になるのはどこが変わる?何をすれば良い?という点だと思います。 で、結論から書くと、今回の法改正、足場の施工方法についてはあまり変化はありません。 もちろん細部は変更があるのですが、今までは努力義務だった点が義務化されているという変更が目立つように感じます。 イラスト化できる部分を記事の最後に簡易に表示しているのでよければお読みください。 それよりも、明らかに変わるのがずばり「高所作業者全員への特別教育の義務化」です。 特別教育ってなんだ? 従来は足場を組み立てる際には足場の作業主任責任者が1現場に一人いればOKでしたが、これからはそうはいきません。 高所で作業を行う人は全て「特別教育」を受講しなければなりません。 鳶はやはり危険な作業、全員が高所作業に対する教育を受けないといけないという国の強い意思の表れですね。 では、特別教育の対象者は誰になるのでしょう? 誰が対象者? 今回の特別教育、経験等によって受講の対象者が変わってきます。 受ける必要なし→足場の組立等作業主任者技能講習を終了した人、とび1級、2級所持者、とび科の職業訓練指導員免許所持者、その他 短縮講習でOK→7月1日までに現場で足場作業に従事している人 フルに受ける人→7月1日以降に足場作業に従事する人 ざっくり言えば 資格がある人は受けなくてOK、現場で作業はしているけど資格が無い人は短縮講習、7月1日以降に始める人はフルに受けましょう。 ということです。 どこで受けられる? まだ先ということもあって、講習日時までを明示している組織は執筆時点ではあまり見つかりません。 ただ、今まで特別教育を行ってきた各機関はやらないことはないはずなので、 随時鳶人でも日程を集めて表記させていただきます。 ずいぶん簡略化してお伝えしましたが原本である厚生労働省の当該ページでも併せてご確認ください。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000069009.html

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コンクリート造の工作物の解体等作業主任者技能講習【建築の資格】

【資格の概要】 5m以上のコンクリート造の工作物の解体や破壊などの作業を行う際、技能講習を終了した者を作業主任者として選任しなければならないと労働安全衛生法で定められている。作業主任者になるための技能講習だ。 【受講資格】 コンクリート造の工作物の組み立てなどの実務経験が3年以上 21歳以上 ※学歴等により変わってくる 【講習内容】 コンクリート造の工作物の解体又は破壊に関する知識 工事用設備、機械、器具、作業環境に関する知識 作業者に対する教育等に関する知識 関係法令 修了試験 【資格取得でできる仕事】 コンクリート製建造物の解体において責任者として従事可能

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鉄骨鳶【現場に関わる職人たち】

【仕事内容】 “現場の華”とも呼ばれる仕事で、大規模な鉄筋/鉄骨建築の現場で働く鳶。 タワークレーンなどを使い上空に上げられた鉄骨をボルトで締め上げ固定してゆく。作業場所が地上数百mという高所になることも多い。鉄骨を組み立てる作業は、建て方(たてかた)とも呼ばれる。 作業は「下まわり」(クレーンで上にあげる鉄骨にワイヤーを賭けてゆく作業)と「取り付け」(上空に運ばれた鉄骨をボルトで固定してゆく作業)に分かれて行われる。 下まわりはクレーンで吊り荷をバランスよく吊り上げるための“玉掛け”という資格の取得が必須。取り付けははるか上空で強風と戦いながら梁の上などを歩き、素早く鉄骨を固定してゆく。 クレーンを遊ばせないためにも、下回りと取り付けの連携が不可欠。 【現場に入るタイミング】 躯体現場