Posted in THE 鳶~鳶のすべて

鳶-1グランプリin九州

鳶職の技を競う大会「鳶−1グランプリ」が2015年3月15日に佐賀県みやき街で開催されました。 今回は九州全土より4社が参加。1社3人のチームで日頃の技を披露しました。大会は同じ設計図を元に時間内で足場を組み上げるというもの。作業の安全面、正確さ、速さなどを点数化し複数人の審査員により審査が行われました。 栄えある第一回グランプリに輝いたのは!? 結果発表はこちらのページです!

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シートひも【知って得する!鳶用語辞典】

【使用用途など】 足場の設営現場で飛来落下物が建築工事現場の外側へ飛び出すことを防止するために設ける足場シート(メッシュシートとも呼ぶ)を支柱や手摺りなどに結束するひも。 シートと足場を結束するのは簡単なようだが慣れていないと結束に時間がかかってしまう。またシートひもがほどけてしまったり、シートとシートの間に隙間ができてしまうことを避けないといけないため、新人の鳶にとって難しい作業となる。 冬期や風の強い時は、手を損傷する危険があるので注意しないといけない。 【市場価格】 一本あたり2円前後

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サッシ取り付け職人【現場に関わる職人たち】

【仕事内容】 建設現場でサッシやドアを取りつける職人。サッシ工とも言う。現場によってはクレーンの玉掛けやアーク溶接が必要になることも。取りつけ時にゆがみが出ると引き渡し後に不具合が出る。そのためミリ単位での精度が求められる。 【現場に入るタイミング】 外装の仕上げ時

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測量士・測量士補【建築の資格】

【資格の概要】 土木・建築工事に必要な測量を行う上で必要な国家資格。試験は年一回開催 【受験資格】 年令、性別、学歴、実務経歴等に関係なく受験可能。所定の学歴や実務経験があれば、申請のみで資格が与えられる 【試験】 <測量士> (1)測量に関する法規及びこれに関連する国際条約 (2)多角測量 (3)汎地球測位システム測量 (4)水準測量 (5)地形測量 (6)写真測量 (7)地図編集 (8)応用測量 (9)地理情報システム <測量士補> (1)測量に関する法規 (2)多角測量 (3)汎地球測位システム測量 (4)水準測量 (5)地形測量 (6)写真測量 (7)地図編集 (8)応用測量 【資格取得でできる仕事】 測量士、測量士補として、土木・建築工事の測量業務に従事できる。

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足場鳶【現場に関わる職人たち】

【仕事内容】 まっさきに建築現場に乗り込み、作業用の足場を設置する職人。個人宅から大規模なビル建設まで、現場は多岐に渡る。大規模工事では数十mの高さまで足場を組むことも。 足場は仮設のため、工事完了後に足場を解体する。これも足場鳶の仕事になる。 足場の幅は数十cm。そこを頼りにあらゆる職人が自分の仕事をこなすため、多くの職人から一目置かれる仕事だ。しかし足場の出来によって作業効率などが変わってくるため、足場の良し悪しで建物の出来が変わると言っても過言ではない。下手な足場を組むことができないとても難しい仕事でもある。 足場設置のほか、必要な資材を見極め現場に運搬するのも重要な仕事だ。 【現場に入るタイミング】 工事初期から

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ラッシング【知って得する!鳶用語辞典】

【使用用途など】 トラック荷台での荷崩れを防止するための固定・締め付け用ベルトをラッシング、またはラッシングベルトという。トラック輸送全般で幅広く使用されている器具で、足場を積んで現場へ向かうトラックでは資材を固定するために使用される。 最近ではトラック輸送だけでなく、水上オートバイやモトクロスバイクをトレーラーで牽引する際など、一般個人向けの用途が広がってきた。 商品によって形状がいくつかあり、資材を固定しやすいラチェット(歯車タイプ)バックル式の人気が高い。 ラッシングレール(トラックに付いているベルトを固定するためのレール)の形状により固定部分がレール式とフック式の2通りある。 【市場価格】 800円~(使用荷重により異なる)

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ヘルメット【知って得する!鳶用語辞典】

【使用用途など】 工事現場での転倒時や落下物から頭部を守る防護帽。足場の組立て作業など、建設・土木現場に入るとき、作業員はヘルメットの着用が義務づけられている。 作業中に着用するヘルメットは国の規定試験を通過した物でなくてはならず、足場鳶は国家検定上で区分された「墜落時保護用」を装着する(その他、飛来・落下物用、電気用の計三種類に区分される)。 ヘルメット内部には国家検定試験に合格した証として“労・検ラベル”が付けられており、そこには型式・検定取得年月・合格番号・製造業者名・製造年月・検定区分が表示される。ヘルメットにも使用期限があることは意外と知られていない。 【市場価格】 2500円~(墜落時保護用)

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建具師【現場に関わる職人たち】

【職種】 建具師 【仕事内容】 建具とは扉、窓、ふすま、障子など、開閉機能をもった仕切りのこと。建具師は建具を製作し、現場に取り付ける仕事だ。組子建具(釘を一切使わず木を組み付け装飾を施した建具)など伝統工芸として評価されるものも多い。鑿(のみ)や鉋(かんな)などいくつもの道具を駆使し、設置後に建具がゆがむことがないよう熟練の技が求められる。 【現場に入るタイミング】 仕上げ工事

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小型移動式クレーン運転技能講習【建築の資格】

【資格名】 小型移動式クレーン運転技能講習 【資格の概要】 吊り上げ荷重5トン未満の移動式クレーンを運転するための資格。保有資格や従事経験により受講時間が変わってくる。 【受講資格】 満18歳以上 【講習内容】 <学科> 移動式クレーンに関する知識 原動機及び電気に関する知識 移動式クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 関係法令 終了試験 <実技> 移動式クレーンの運転 運転のための合図 終了試験 【資格取得でできる仕事】 荷台に載せた荷物を積み下ろしするためのクレーンがついたトラック(トラッククレーン)は多くの仕事で使われている。トラッククレーンを使った作業をするうえで必須

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重量鳶【現場に関わる職人たち】

【職種】 重量鳶 【仕事内容】 その名の通り、建設現場や工場などの建物内部で数十トンに達する重量物の設置などを行う。 またクレーンなど大型機械の運搬、設置、解体などを行うのも重量鳶の仕事。土木現場で橋梁の主桁架設を行ったりもする。 専門性の高い仕事で、大きな機械を扱うが作業にはミリ単位の精度が求められる。玉掛けはもちろん、移動式クレーン、タワークレーン、天井クレーンなどさまざまなクレーンを操作するための資格が必要になる。 プラント、空調給排水設備、電気設備工事を担ったりもする。

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土のう袋【知って得する!鳶用語辞典】

【使用用途など】 土砂を詰め水や土砂の移動を妨ぐ土のう。その土砂を詰める袋となるのが土のう袋だ。かつては麻製の袋が一般的であったが、現在ではポリエチレン製の布製が主流となっている。 土木工事全般で活躍する資材だが、足場工事現場では台風や大雨などで足場が流れてしまう危険性がある場合、土のうを積み重ねて対策する。 なお現在は袋に土砂を詰めず給水により膨張させるタイプが登場した。このタイプは使い終わった後に乾燥させれば繰り返し使用できるというメリットが。   【市場価格】 500円~(形状や枚数により異なる)

Posted in 職人インタビュー, 川島工業 中村拓斗

第3回 10代の若手鳶が目指す姿は?

社長や親方にしごかれつつも可愛がられている中村さん。まだまだできることは少ないかもしれないが、いつか現場を背負って前線に立つ日が来るだろう。中村さんが目指す理想の仕事とは? 一人前の鳶を目指し、親方のもとで修行を続ける中村さん。今はまだ年齢的に資格を取れないが、これからドンドン資格を取って早く一人前の鳶になりたいと考えている。   「最初に玉掛けを取り、次は足場作業主任者を。まずはそこを目指したい」   まだ10代で将来の姿は想像しにくいかもしれない。それでもいつかは独立したいなど、仕事をする上での目標を持っているのだろうか。   「うーん…まだ想像できないです。ただ少なくとも今の段階で独立は考えていないです。自分で独り立ちするよりも世話になっている社長や親方と一緒に会社を大きくしていきたいと考えています。目標という意味では、早く一人前になって現場を任されるようになりたいですね。できれば20歳になったきに一人前の鳶になっていたい。そのためにも大きな現場をどんどん経験してみたいです」 大きな現場は使う資材の量が文字通り桁違いになる。組み方が少しでもずれると最後まで組みあがらない。計算を間違うことなく自分の力でくみ上げられるようになるまでは辞めたくても辞められない。怒られても耐えられるのはそんなこともあるのかなと笑う。   「今まで意識したこともなかったけれど、鳶になってから街を歩いているとついいろいろな足場を見ちゃうんですよね。すごくきれいだなって驚くこともあれば、もっとうまく組めるはずなのに…と感じる足場を目にすることもあります。自分もほかの鳶が見て『これはすごい!』と思ってもらえるような足場を組みたいですね。図面通りに組むのが前提ですが、俺は1800㎜を上手に使いながら、なるべく1200㎜や600㎜に頼らないで組んでいくのが好きです」 中学時代の仲間は半分くらいが進学し、残りは就職した。職業は塗装工から鉄筋工までさまざま。「自分は足場鳶以外の仕事を知らないから…」と言うが、最近は他職種に就いた仲間と仕事の話をするのも面白くなってきた。今はまだ実感がないだろうが、いつかこのような会話が中村さんの足場を組む時の姿勢に役立つときが来るだろう。足場を使う職人たちがどんな足場だと仕事がしやすいか、自然にわかるようになるはずだから。

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ダクト工【現場に関わる職人たち】

【仕事内容】 ビルなどの天井や壁の裏に貼り巡らされる空調、排気、排煙などのためのダクトを製作し、現場で取り付ける。図面を見ながらダクトを取りつける作業は現場により内容が異なるので、現場での判断力や他の職人とのコミュニケーション能力も重要になる奥が深い仕事。 【現場に入るタイミング】 工事初期段階から

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車両系建設機械運転技能講習【建築の資格】

【資格名】 車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込・掘削用) しゃりょうけいけんせつきかいうんてんぎのうこうしゅう   【資格の概要】 機体重量3トン以上を含めた精緻・運搬・積込・掘削用の車両系建設機械を運転・操作するための資格。保有資格や従事経験により受講時間が変わってくる。   【受講資格】 満18歳以上   【講習内容】 <学科> 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識 運転に必要な一般的事項に関する知識 関係法令 終了試験 <実技> 走行の操作 作業のための装置の操作 終了試験   【資格取得でできる仕事】 ブルトーザーやパワーショベルなどの建設機械の運転

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橋梁鳶【現場に関わる職人たち】

【職種】 橋梁鳶 【仕事内容】 高速道路の高架や橋、鉄塔、ダムなどの土木工事現場に従事する鳶。 ビルなどの建設に比べて現場環境が特殊で工事規模が大きくなる。また特殊な構造をした建造物を手掛けるため、専門技術が必要に。それゆえ、橋梁特殊工とも呼ばれる。 仕事内容は足場設置から鉄骨建て方、橋げたの架設まで多岐に渡る。また送電線の鉄塔などの設置を担うこともある。 現場が全国にまたがり、山間部に入ることもあるため、一度現場に入ると長期の出張になることも多い。 【現場に入るタイミング】 基礎工事から

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親綱【知って得する!鳶用語辞典】

【道具名】 親綱(おやづな)  【使用用途など】 足場工事現場で作業員が安全帯をかけるために設置されるロープを親綱という。親綱は支柱や手摺りに掛けられる。ただし、クレーンなど揚重機のブームを吊るワイヤー(親ワイヤー)のことも親綱と呼ぶことがある。 親綱は足場を組み上げる鳶職はもちろん、鳶職が組み上げた足場で作業するあらゆる職人たちの命を守るロープだ。 基本的に親綱は昇降用と定位置作業用とでわけられているが、製品によっては兼用のものも販売されている。 【市場価格】 10000~25000円(10m)

Posted in 職人インタビュー, 川島工業 中村拓斗

第2回 歳の離れた親方や社長から学ぶこと

まだ10代である中村さんにとって、現場で働く鳶の多くは人生の大先輩だ。怒られながらも必死に食らいつく中村さんは、彼らから仕事以外のことも学んでいる。 鳶職として働き始めてまもなく丸2年になる中村さん。現在所属する川島工業はふたつ目の会社になる。   「俺はまだ半人前だから、親方である大森さんと一緒に現場を回っています。親方と2人の時は俺が下から資材を渡すことが多いんですが、3人以上の現場になると親方が一番下について先輩は一番上、俺が真ん中という形になることが多いです。こうすると途中で資材の流れが止まることがない。親方が自分の仕事をしながら全体を見て流れをコントロールしているのでしょうね。敵わないなと思います」 一緒に働く中村さんにとって親方はとうてい追いつけない存在。ベテランだから当たり前かもしれないが、足場を組むのもバラすのも早い仕事ぶりを見ると、凄いなと感じる。中村さんは最初足場に上がるのが怖かったし、今でも怖いと感じることもある。とくにバラすときは狭い場所でだんだん周りに支えがなくなるため、足場が揺れるたびに怖いと感じる。   「仲間を束ねている社長はとても面倒見のいい人だなって思っています。俺が今の会社に移った頃、本当に金がなかったんですよ。働いても給料をもらえるのは翌月。そんなとき、社長の奥さんが毎朝弁当を作ってくれたり、社長が夜飯を食わしてくれたり。俺のような若手の大変さもちゃんと見てくれたことは本当に感謝しています。辞めたいと思うことがあってもそのときのことを思い出すと義理を感じてここで続けようと思えるんです。そしてやっぱ辞めなくてよかったって」   少し照れながら中村さんは話すが、もちろん食事を奢ってもらったことに感謝しているだけではない。まだ10代。世間のことだって多くを知っているわけではない中村さんにとって、川島工業の川島社長は親代わりの存在でもあるに違いない。人との関係が気薄になったと言われることが多い現代でも、鳶の世界には人情が残っている。   「前に親方と俺ともう一人、3人だけで4000㎡くらいある現場に入ったんですよ。足場を組むだけで1カ月くらいかかったんですが、いつまでたっても終わりが見えなくて『いつまでかかるんだよ…』という思いが沸き上がってすごく辛かったんです。でも親方は黙って仕事をしていて、しかも動きがすごく早くて。この人、すげえって思いました」   今でも仕事を辞めたいと思うことはしょっちゅうある。でも会社に戻り親方や社長と話をするともう少し頑張ろうと思うそうだ。  

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サッシ取り付け職人【現場に関わる職人たち】

【仕事内容】 建設現場でサッシやドアを取りつける職人。サッシ工とも言う。現場によってはクレーンの玉掛けやアーク溶接が必要になることも。取りつけ時にゆがみが出ると引き渡し後に不具合が出る。そのためミリ単位での精度が求められる。 【現場に入るタイミング】 外装の仕上げ時

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玉掛け技能講習【建築の資格】

【資格の概要】 玉掛けとはクレーンにワイヤーなどを用いて鉄骨などの荷物をかける作業のこと。吊り上げ荷重1トン以上のクレーン、移動式クレーンで玉掛け作業は、玉掛け技能講習を修了しないと従事できない。基本的に講習は3日間。   【受講資格】 満18歳以上(職歴は不問)   【講習内容】 <学科> クレーンなどに関する知識 玉掛け方法 玉掛けに必要な力学知識 関連する法令 終了試験 <実技> クレーンなどの運転のための合図 クレーンなどの玉掛け   【資格取得でできる仕事】 クレーンを使う現場での玉掛け作業

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番線【知って得する!鳶用語辞典】

【用語】番線 【使用用途など】 足場工事現場で必要な資材をシノなどで結束する鉄線が番線だ。 名前は鉄線の太さを番号で表したことに由来する。数字が大きくなるほど鉄線は細くなる。 番線は写真のように一本の長い鉄線を持ちやすく丸めたもの、一定の長さに切って箱詰めされたものなどがある。 番線で足場を正しく結束するためには、資材の向きや形状、種類によって締め方を変えるなど、作業自体はけして簡単ではない。番線の締め付けが悪いと足場が出来あがった後に緩んでしまい、他の職人の作業に影響を及ぼすだけでなく足場が崩れるなどの事故が起きかねない。 番線の扱いは、経験が必要な作業だ。 【市場価格】 2000~4500円

Posted in 職人インタビュー, 川島工業 中村拓斗

第1回 鳶だった兄に憧れ、この世界に

中学を卒業しすぐにこの世界に飛び込んだ若い鳶。建設現場での荒波にもまれながら必死に仕事をこなす中で、少しずつ一人前に近づいてゆく姿を3回に渡りお届けしよう 中学卒業後の進路を考えるとき、中村さんは高校には進学せず自分で稼ぐ道を選んだ。どんな仕事に就くか。悩んだときふと頭に浮かんだのが鳶職だった。 「中学のときとかに建設現場の前を通ると怖そうな人が働いているなって感じで見ていたんですけれどね(笑)。でも兄ちゃんが鳶をやっていて、カッコいいなとも思っていて。俺も鳶になれば兄ちゃんと一緒に仕事ができるかな。そう考えてこの世界に入りました」 動機なんて案外そんなものかもしれない。しかしいざ働いてみると待っていたのは過酷な世界。仕事に慣れておらず力もなかったから、ひたすら資材を運ぶ作業は容赦なく身体を痛めつける。しばらくは筋肉痛が引かず、ベッドから起き上がる力すらなかったという。 「冗談抜きで死ぬかと思いましたよ。しかもこの世界は朝が早いじゃないですか。学校に行っていた頃は早いといっても今ほどじゃないし、遅刻しても軽く怒られるくらい。でも仕事で寝坊したら現場が動かないから容赦なく怒られます。勉強が嫌いだったし中学時代は働いたほうがましって思っていたけれど、仕事を初めてすぐに働くって大変なことだと思ったのを覚えています」 中村さんが鳶になりたての頃、兄から忠告されたことがある。「気候や天候の影響を受けながら一日中外で働くこの仕事。夏をなめるな」。しかし中村さんは軽く聞き流していた。 「今まで夏だって仲間と外で遊んでいたし、熱中症なんてなったことがなかったから平気だよって思っていたんですよね。でも夏に現場で働いてみると本当にきつくて…。熱中症まではいかなかったけれど、鼻血が出てきたこともありました。そのときに思ったのは、上の人が言うことは、やっぱり何かあるからなんだなってことでした」 今でも現場で怒られることはしょっちゅうある。上下関係が厳しい世界なのではむかうことはないが、自分が悪いわけじゃないのに怒られているときは正直腹が立つ。でも後から考えると、前に怒られた理由がわかることが多い。そんなとき、やっぱり先輩たちには敵わないと感じるそうだ。 「怒られてばかりと言っても、いつも嫌な思いをしているわけじゃないですよ。大変な仕事だけれど俺たちが作った足場の上で他の職人さんが仕事をしているのを見ると、俺の仕事も役に立っているのかなって嬉しくなります」 現在、中村さんは親元を離れ友人と2人で暮らしている。自分が働くことで金を稼ぎいでみると、実家にいたときは甘えていたんだなと感じるそうだ。本人に自覚があるかはわからないが、中村さんは金を稼ぐことの大変さを感じながら少しずつ大人になっているのだろう。  

Posted in 工事現場の基礎知識, 資格

フォークリフト運転技能講習【建築の資格】

【資格の概要】 最大積載荷量1トン以上のフォークリフトを運転(公道走行を除く)するために必要な資格。保有資格や従事経験により受講時間が変わってくる。 【受講資格】 満18歳以上 【講習内容】 <学科> 走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 荷役に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識 運転に必要な力学に関する知識 関係法令 終了試験 <実技> 走行の操作 荷役の操作 終了試験 【資格取得でできる仕事】 フォークリフトを使った業務。工場や倉庫はもちろん、足場などの資材搬入現場などでも活躍できる。

Posted in THE 鳶~鳶のすべて

鳶が足場を組み上げるまで

鳶が足場を組む作業工程を関係者以外が完成まで追うことは難しい。鳶に興味がある人のために、足場設置の流れを解説しよう! 建設現場において、当たり前のように組み上がっている足場。 クサビ式足場は (1)作業前の工程 (2)第 1 層目の組立工程 (3)第 2 層目以降の組立工程 と大きく 3 つの工程で組み上げられる。 ■作業前の工程 足場作業に入る前にまず決めないといけないのが作業主任者、いわゆる“職長”だ。職長は技能講習修了者の中から指名され、作業現場の組立図や写真、また実際に現場へ行き敷地や地盤、障害物があるか、建物の特徴などを確認。そのうえで足場を組む鳶の手配を行い作業の分担を決める。

Posted in 鳶と道具

腰道具(腰ベルトタイプ)

【用語】腰道具(腰ベルトタイプ) 【使用用途など】 ハーネスタイプ(命綱付きベルト)とは違い腰に巻くベルトタイプの腰道具。道具を身につけるだけでなく安全帯と呼ばれる保護具を装着し、支柱や手すりに引っかけておくことで鳶職人が高所からの転落などの災害を防ぐ役割も。 写真には、右からハンマーとハンマー差し、ラチェットとシノ差し、スケール、ボルトクリッパー、そして安全帯が腰道具に装着されている。 足場での作業で道具が取りやすく、かつ何かあっても道具が落ちないように腰道具の受け口を加工している鳶職人も少なくない。 【市場価格】 1 万 5000 円前後(腰ベルトのみ)

Posted in 職人インタビュー, 川島工業 大森靖隆

第3回 親方が考える、鳶で上を目指せる人間とは?

鳶の世界へと飛び込んだなら、上を目指すのが男としての生き様。しかし親方には誰でも慣れるものではない。親方になるためにはどのような素質が必要なのか? 足場鳶の収入はキャリアや立場によって違ってくる。この仕事は“上”を目指すことで、収入も上がっていく世界なのだ。 しかし、親方や独立するには“ただ”仕事をこなしていけばなれるものではない。親方になるためにはどうすればいいのだろうか。 「私が親方になったのは24歳のときでした。親方になるためには先輩から指名されるケースがあるようですが、私の場合はトラックを購入し自らが鳶を手配して現場に行くようになったことがきっかけでした」 親方とは読んで字のごとく、子(若い職人)を見るだけでなく、現場での段取りを自らが行う立場である。当然、足場現場での責任を負う立場であるためプレッシャーがかかるのは当然だが、一番苦労しているのは鳶の確保だと大森さんは話す。 「若い職人を確保することに苦労しています。せっかく入っても続かない子が多いし…」 若いと遊びに夢中になり、寝坊したため集合現場に来ることができず、またそのことをきっかけに翌日以降も顔を出せなくなる、という悪循環に陥る若手が多いのだ。 しかし、そんななかでも“上”を目指す若手はいるという。 「基本的に根性さえあればできる仕事ですが、そんななかでも、こいつは伸びると思う子はいます。例えば現場で周りを見る目や視点が違うとか。わかりやすく言うと、作業工程をちゃんとイメージできていて、足場をどう組むかが頭でちゃんと理解できているということでしょうか」 親方を目指すためには、現場で自分になにが求められるかを正しく理解し、作業をするにあたっての段取りをイメージすることが重要となるようだ。 「また、この仕事で“上”を目指すなら先輩や後輩とはもちろん、施工主などとうまくコミュニケーションを築くことが重要になります。もちろん仕事を始めてからでも憶えることができますので、仕事を通してコミュニケーション能力を磨いていくなど、親方になるにはどうすればいいかを考えながら仕事をしていくことが重要です」

Posted in 工事現場の基礎知識, 職人

内装工【現場に関わる職人たち】

【職種】 内装工 【仕事内容】 個人宅からビル工事まで、内装の仕上げ工事を担当する職人。クロス、床、間仕切りなど、あらゆる業務を担当する多能工、それぞれの作業に特化した職人までさまざま。扱う材料が多く、新しい素材も日々開発されるので、豊富な知識が必要。 【現場に入るタイミング】 内装工事時

Posted in 工事現場の基礎知識, 資格

クレーン運転士【建築の資格】

【資格の概要】 高層ビル建設で使われるタワークレーンなど、固定式のクレーンを運転できる国家資格。 この免許を取得すれば吊り上げ荷重や運転方式の制限なく運転できる。 【受験資格】 満 18 歳以上 【試験科目】 <学科> クレーンに関する知識 原動機及び電気に関する知識 クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 関係法令 <実技> 床上運転式クレーンの運転 床上運転式クレーンの運転のための合図 【資格取得でできる仕事】 建設現場でのクレーンオペレーターとしてタワークレーンを運転できる。移動式クレーン の運転には、移動式クレーン運転士の免許が必要。

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(電動)インパクトドライバー【知って得する! 鳶用語辞典】

【用語】(電動)インパクトドライバー 【使用用途など】 モーターを回転させることでねじを締める用途は同じだが、一定の負荷が掛かると空回りしてそれ以上締め込みをしなくなる機構のついた電動ドライバドリルとは違い、電動インパクトドライバーはドリル軸を回転方向に叩きながら、どんどん締めこんでゆく。 足場の組み立てや解体では金属素材を硬く締め上げるため、ドライバドリルではなくインパクトドライバーが重宝される。また、高い場所での作業も多いのでコードレスタイプが必須。 足場の組立や解体で活躍する電動インパクトドライバーとは、モーターを回転させその衝撃でねじを回す道具である。 【市場価格】 8000~50000円

Posted in 職人インタビュー, 川島工業 大森靖隆

第2回 10年以上、鳶を続けてきた理由 鳶職人インタビュー

これまで辞めたいと思ったことは何度もあるとう大森さん。しかし12年も続けてきたのは、やっぱり鳶の仕事が好きだから。どんな人が鳶に向いているか、親方としての意見を伺った 友達からの紹介で足場鳶になり、キャリア12年を誇る大森さんだが、ここまで足場鳶を続けてきたことで辛い経験は数多くあった。 「入った当初は人が少なかったためか、現場が終わってからの作業が長いことに驚きました。資材の積みおろしが終わると夜10時くらいになっていたことも珍しくなかったです」 仕事がスタートするのはだいたい8時半なので、資材とともに現場へ向かうには事務所に6時半には集合する。夜10時の解散は若かったとはいえ辛さを感じるのは当然だ。しかも現場はその日によって違い、時には作業を行うのが大変な箇所もある。 「以前、千葉県にある石油タンクで足場を組んだのですが、あまりに施設のスケールが大きくて仕事の終わりが見えなかったことがありました(苦笑)」 ただ、辛いだけの仕事だと10年以上も続くはずはない。この仕事ならではの楽しさややりがいも当然ある。 「完成した足場を見て、綺麗に組み上がったときこの仕事のやりがいを感じますよ。足場を綺麗に組み上げることは決して難しいことではないのですが、そんなように感じるのはこの仕事が自分に合っているからなのかもしれませんね」 そんな大森さんに、これから足場鳶を目指す人にこの仕事のメリットを語ってもらった。 「そうですねえ、若くても稼げるということがひとつ。それとふざけているわけではないのですが、筋トレ好きな人にはお勧めできますね(笑)。とにかく体を使う仕事なので経験を積めば自分の身体が変わっていくことがわかります。25歳くらいがピークですけどね」 「あと、若い職人が多いので友達が作りやすいと思いますよ。コミュニケーションをとれない人でも安心して入ってこれる仕事であることは間違いありません」 「それと高所恐怖症でこの仕事をあきらめる必要はありません。私もどちらかといえばそうですし(苦笑)。毎日、足場に乗るようになるとなれますし、なにより足場は一段づつ組んでいくので、一気に高いところへ登ることはないため問題ないはずです」