ブレス【知って得する! 鳶用語辞典】
Posted in 足場・鳶用語集

ブレス【知って得する! 鳶用語辞典】

【用語名】 ブレス ぶれす 【使用用途など】  筋交いとも称される支柱から支柱に斜めに取り付ける斜材。ブレスという名称の由来は支える、補強するという意味の英単語「brace」から来ている。  ブレスは足場の耐震性を高め揺れを防ぐ役割を持ち、これを入れることで足場の安定度は大きく向上する。建築基準法で、全ての建築物や足場において一定の割合でブレスを使用することが義務付けられていることからも、ブレスの重要性がわかるだろう。  ちなみに、最近では取り付けることで手摺りとブレス両方の性質を持つ先行手摺という資材も存在する。 【市場価格】 一本あたり4000円~5000円(種類によって変動)

相模テック 小倉直登
Posted in 相模テック 小倉直登, 職人インタビュー

第2回 昔とは違う、鳶の上下関係。

趣味のビッグスクーターや家族と過ごす時間などが、この仕事に対する小倉さんのモチベーションになっている。さらに、一緒に仕事をする仲間たちの存在も、ツラい仕事を乗り切るには欠かせないもののようだ。 同社の平均年齢は25〜26歳。そこから考えると親方になって8年が経ち、32歳という年齢の小倉さんは先輩として彼らを見守る立場になる。若い後輩たちをどんな風に見つめているのだろうか。 「普段のやりとりとかは、そうですね、何かのクラブ活動という感じでしょうか。人間関係でギスギスすることもないし、和気あいあい、という言葉がピッタリです」 もちろん、慣れ合うだけの仲良しクラブではない。「昔ほどではないにせよ、きちんとした上下関係はあります」という。その上で、仕事上で後輩に伝える言葉も選びながら仕事をしているそうだ。 「例えば『何やってんだバカヤロー!』ではなく、なぜこうしたほうがいいのかなど、わかりやすく説明するとか、そういうことです」 そんな先輩としての立ち振る舞いを、小倉さんが自然とやれるようになったのは、やはり職歴11年の経験からのようだ。 「図面を見てどんな足場にするのか、当時は先輩のやり方を『見て覚える』というのが当たり前でした。自分も頑張って覚えましたが、今の若い人を見ていると、それがなかなか難しいようで。じゃあどうするかと考えたら、やはり教えられることは教えようと思ったのです」 また自身が若いときに先輩に可愛がってもらった経験も、今の彼の姿勢に影響を与えているようだ。 「仕事はキツかったんですけど、とにかく一生懸命頑張っていました。すると先輩である親方がちゃんと見ていてくれて『こいつは頑張っているから』と会社に給料を上げてやってくれと、言ってくれたことがあったんです」 頑張ればその姿を誰かが見ていてくれて、認めてくれる。そんな体験が小倉さんの、後輩を見つめる目に宿っている。若くて和気あいあい。でも上下関係にはメリハリをきちんとつけ、上に立つものは下のものをよく見てあげなければならない。若い集団の中で先輩として働く小倉さんは、そんな役割も仕事のモチベーションになっているように感じられた。

相模テック 小倉直登さん
Posted in 相模テック 小倉直登, 職人インタビュー

第1回 家族を守るために、鳶であり続ける 。

水商売も経験したことがあるという小倉さんが、なぜ鳶を続けているのか。他の仕事にはないこの仕事の魅力とは? まだ10カ月になったばかりという愛娘がかわいくて仕方がないという小倉さんに聞いた。 「若いウチはいろいろやってみようと思っていましたから」という小倉さんは、型枠大工もやったし、水商売の世界で働いたこともあったそう。その後はまた型枠大工や鳶の派遣の仕事を経験。そこで誘われて現在の会社へ入社した。いくつかの仕事を体験した彼にとって、鳶はどんな仕事として映るのだろうか。 「この仕事は日曜日がきちんと休めるなど、メリハリがあります。水商売の時は曜日感覚がなかったし、昼夜逆転の生活で、一日寝て終わってしまった、なんてこともありました」 鳶になってからは、例え休みの日でも朝は必ず7時には起きて、家族と遊びに行くなどオンオフともに充実させるよう心がけている。特にプライベートの時間をきちんと取れることは、今の小倉さんにとってはとても大切なことだ。 「娘がまだ10カ月なのですが、最近は家に帰るとハイハイして来て『パパ』と呼んでくれるようになって」 そんなふうに、愛娘とのやりとりを破顔で説明してくれる小倉さんの様子からも、毎日夜になれば家に帰れること、休日は家族と過ごせることがいかに大切なことなのか、よく伝わる。もちろん鳶の仕事はきつい。 「毎年夏になると辞めたくなります(笑)。そう思いながら、がむしゃらに働いているうちにいつも夏が終わってしまう感じ」 それでも、型枠大工ではなく鳶をやり続けているのは、やはり給料の良さが大きいようだ。 「ビックスクーターに乗っているんですけど、結構いじっていて。バイク雑誌にも何度か載ったことがあるんですよ」 周りはクルマにお金をかける人が多いそうだが、自分はバイクなんです、と小倉さん。さらにこうも続ける。 「それと、やっぱり家族ですね。家族ができてからは、目標も変わりましたから」 大切な家族を養っていくんだという気持ちが、ツラい夏を乗り越えさせている。今年も夏が間もなくやってくるが、仕事中に愛娘の顔を思い出せば、小倉さんのギアはグッと切り替わるに違いない。

鳶職人とマイナンバー
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鳶職人とマイナンバー

テレビや巷で耳にする【マイナンバー制度】。俺達には関係ない!と思うかもしれませんが、鳶職人はもちろんすべての日本国民に関わる大事な制度なのです!でも現場で日々忙しい鳶職人の方々にとっては調べるのも面倒くさい…今回はそんなマイナンバー制度について判りやすく記載してみました。 鳶職人の皆さん、マイナンバーのこと、調べていますか? 現場が忙しくてなかなか難しいですよね。 そこで今回はざっくり簡単にマイナンバーについて大まかな説明をしてみます。 ●そもそもマイナンバーって何? 日本国内在住の全ての人に与えられる12桁の番号のことです。個人だけでなく法人にも13桁の番号が与えられます。(なお、個人事業主には法人番号は与えられません。業務で求められたら個人の番号をお答えください。) ●何がどうなるの? いろんな行政サービスをこの番号で受けられるようになります。 ・年金やハローワークといった社会保障関係 ・確定申告などの税務関係 といったあたりがちょっと調べると出てくる説明なのですが・・・、 「鳶の俺たちにどう関係するんだ?」とお思いですよね。 鳶職の皆さんにどう関係するかをズバリ解説します ●毎日の現場にて 頭を悩ます安全書類。氏名年齢生年月日、住所に社会保険関係の番号など、記入項目が多岐に渡ってめんどうですよね。マイナンバーが導入されると、上記項目に加えてマイナンバーも記入必須項目になってくると鳶人編集部では予想しています。 ですので元請さんに聞かれたらすぐに答えられるように、自分の番号をしっかり把握しておきましょう。 ●個人事業主とマイナンバー 皆さんは個人事業主ですか?それとも社員でしょうか。 社員(=誰かに雇用されている人)は今回のマイナンバー、あまり関係ないです。 行政サービスがちょっと便利になるなー、ぐらいに思っておいて間違いないです。 では個人事業主の鳶職の皆さんはどうでしょうか? 今回大きく変わるのはここだと鳶人編集部は考えています。 つまり、マイナンバー導入により「個人事業主である皆さんの所得を税務署がワンタッチで把握できるようになる」のではないか?ということです。 ●マイナンバー導入で個人事業主の所得は丸裸に? 今まで元請さんが「資料せん」というものを作成して提出することで個人事業主である鳶職の皆さんの所得を税務署は把握していました。 でもこの資料せん、個人名・住所・電話番号・支払額が載っているだけだったので税務署は実態把握をするのがとても難しかったんです。 いろんな会社から仕事を請け負っているAさん、●×社から200万円、▲□社から150万円・・・というような場合、Aさんが年間総額いくらの収入があったかは税務署が手集計しないとわからなかったんですね。 でもこれからマイナンバーを資料せんに記入することになったら、番号をパソコンに打ち込めばAさんがどの会社から年間いくらの収入だったかをワンタッチで把握できるようになるわけです。 ●つまり、どういうこと? 収入を簡単に追跡できるということは・・・そう、税務署は確定申告の照合が簡単にできるようになります。 今までは「本当は年間800万円の収入だったけど、300万円で申告しておくか」としていても税務署に指摘されることは殆どありませんでした。追跡調査は膨大な手間がかかるのである意味お目こぼしされていたんですね。 でもこれからはマイナンバーで調べれば嘘がすぐバレるわけです。 ●資料せんにマイナンバー記入が必須になった時、抜け道は? ありません。確定申告をしなければすぐにわかるでしょうし、過少申告もバレることでしょう。そもそも脱税はダメですからね。 でも節税はできます。これからは元請さん主催の節税セミナーなどが行われることが多くなるのではないでしょうか。ぜひ元請けさんにも聞いてみてください。 ●資料せんにマイナンバー記入は必須になる? これは現時点では不明ですが、マイナンバーの導入目的の一つが「公平公正な社会の実現」である以上、不正の温床になっている個人事業主の所得把握の為にいずれ行われるようになると当編集部は考えています。 ●マイナンバー導入までのスケジュール 1まず、10月から住民票のあるところに書留で通知が来ます。 ポイントは書留という点です。郵便局員さんから手渡しで受け取らないと手に入りません。 …

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新人鳶職人や鳶職人志望者向け「ワカトビ」
Posted in ワカトビたち

新連載!新人鳶職人や鳶職人志望者向け「ワカトビ」のコーナー爆誕!

鳶人が送る、新人鳶職人や鳶職人志望者向け「ワカトビ」のコーナー連載が遂にスタートです! 暑い日が続いていますが、そろそろ秋が見えて来ようとしています。 春と同様、秋も新しい門出を迎えるシーズンとも言えます。 (北米やカナダの方では、秋口が入学卒業、就職とった門出のシーズンとされている地域もあります) 鳶職人に少しでも興味がある方や今は別に興味ないけどたまたまこのページを覗いている方には、もしこれから鳶職人になる上での心構えや何かのきっかけになってくれることを願っております。 そしてもう鳶職人の世界で翔いている方は、昔の頃の記憶を思い出してノスタルジーを感じながら、今回の新連載をご一読していただければと思っております! 〜鳶職人になったきっかけ!のよくある動機〜 そもそも、鳶職人になろうかな!?と思っても、そう思うための動機って必要ですよね。 何にしてもきっかけってありますよね。 例えば… 「憧れのミュージシャンがいたからギターをはじめた!」 「幼少の頃にプロ野球を観戦して憧れを抱いて野球部に入った!」 「消防士の親父がカッコ良くて消防士になった!」 等々… 鳶職人になったきっかけでよくある動機や事例を見て行きましょう! コレを読んで、鳶職人への意識スイッチが入って鳶職人に興味を持った!なんていう方がいてくれるととても嬉しく思います。 もう鳶職人の世界で活躍中の方は「懐かしいなあ〜オレの場合はこうだったなあ…」と思いを馳せていただきたいと思います。笑 ■先輩の紹介でこの世界に興味を持った! 硬派でストイックなこの世界。 たまたま学生時代の先輩や、同級生のお兄ちゃんが鳶職人になっていて、その繋がりで鳶職人の世界に足を踏み入れたというパターン。 小さい頃は一緒に外で遊んだりゲームをしたり、よく遊んでくれる近所のお兄ちゃんだったけど、自分が中学〜高校生位になったときに作業着を来てカッコ良い車に乗っているのを見て、ひしひしと憧れを抱くというパターンもあるそう。 「あれ!?ちょっと前まで一緒にドラクエとかポケモンやってたのに、いつの間にか男らしくて逞しい出で立ちで作業してるしカッコ良い車乗ってる…!」 みたいな経験はわりと有りがちかもしれませんね。 ■「がんばったらがんばった分だけ稼げる!」という話をなんとなく聞いていた! 昔から鳶職人という世界は、「がんばったらがんばった分だけ稼げる!」という話があります。 実際に、鳶人の中でも連載しているインタビュー記事においても、この世界に飛び込む前からそういったイメージがあって、鳶職人の道を歩むことを決意したというパターンも多いようです。 当然ながら生きていくにはお金が必要ですし、当然贅沢をするためにはもっとお金が必要ですから、「稼げる」という話で鳶職人の世界に興味を抱くのは至極自然なことと言えますよね。 ■元々から建設業界に従事していたけど、鳶職人に興味が出てきた! 元々建設現場作業に従事をしていて、鳶職人の世界に興味を持ったという方もいらっしゃるよう。 上記にも記載したように、「がんばった分だけ稼げる!」というのを業界の横のつながりから耳にして門を叩くというパターンのようです。 建設業界の中で働く中で様々な軋轢に揉まれて少しジャンルの近い鳶職人の世界に興味を持ったり、建設業界の中で興味の対象が鳶職人の世界に傾いたりするというパターン。 この手のタイプの方は、ある程度業界のイロハが解っている方が多いかもしれません。 …と、言うわけで今回は鳶職人を志すときの動機についてをまとめてみました! これからの新連載の序章といったところでしょうか。定期的にビギナー向けの記事を投稿していきますのでお楽しみに! 既に鳶職人として従事されている方や親方の方は、「初心忘るべからず」という言葉を心に刻むためにも、読んでいっていただきたいと思います! それでは今回はこの辺で☆

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昇降階段【知って得する! 鳶用語辞典】

【用語名】 昇降階段 しょうこうかいだん 【解説】 昇降設備。 足場内を昇り降りする為に設置される設備。 労働安全衛生規則では、高さ(または深さ)が1.5mを超えるところで作業を行うときは、安全に昇降する設備を設けなければならないとされており、昇降設備の設置は仮設足場において必須といえる。 「昇降設備」には他にも梯子やハッチ式アンチ等が存在するが、基本的には手に資材や工具を持ったまま昇降が可能な階段が設置されることになる。 くさび緊結式足場において階段を設置した通路には、2層ごとに踊り場を設ける施工方法が標準となっている。これは踏み外し時の転落を防止するだけではなく、狭い足場内に資材の仮置きスペースを確保する意図もあるのだ。 【市場価格(昇降階段の場合)】 一基あたり14000~40000円(材質、長さにより変動)

川西興業 山川和雄
Posted in 川西興業 山川和雄, 職人インタビュー

第2回 小方ではわからなかった、人を使う難しさ。

若いうちにしっかり稼いでおけ」。社長から言われがむしゃらに働いてきた山川さん。最近は別の夢が生まれた。親方として人を動かし、いずれは一国一城の主として多くの職人を束ねていこうとしている。 くさび緊結式足場を扱う川西興業に入って4年。山川さんは社長から言われた言葉を今でも覚えている。 「鳶になったら若いうちに稼いでおけ」 年齢を重ねたらだんだん体が動かなくなるのはもちろんだが、そこには若いうちから多くの経験をしろという社長の思いもこもっているはず。 「だから今はなるべく現場に出る機会を作っています。一方、最近は稼げる鳶になるためには息抜きも必要だなと感じるようになってきました」 山川さんの心境の変化。本人は気付いていないようだったが、そこには会社内での立場が変わってきたことが関係していた。これまで、山川さんは小方として親方と一緒に現場に向かい足場を組んできた。今でも社内では小方の立場だが、少しずつ下を動かし現場を仕切る機会が増えてきた。5月24日に開催された鳶-1グランプリでも、足場を仕切ったのは山川さんだ。 「自分が下のときは気付かなかったけれど、人を動かすようになって感じるのは大変な現場が続くとみんな知らないうちに気持ちが落ちちゃっていること。そんなときは仕事終わりでみんなを誘って飲みに行ったりします。すると辛かったことも忘れて翌日から頑張れる。結果的に自分を含め、みんなが稼げる鳶になれるんじゃないかと思って」 がむしゃらにやるばかりでなく、仕事を忘れる時間も作る。メリハリが人を育てることを経験から学んだ。きっと川西興業の社長も山川さんを含む若い鳶に同じことをやっていたのだろう。目標とする鳶を聞いたところ、山川さんは迷わず「(川西興業の)社長」と答える。 「うちの社長は本当にすごいです。4年前に社長の下についてから、本当にいろんなことを学べたし自分の人生でプラスになることが多かったと感じます。社長は動き、早さ、人の使い方…どれをとっても凄いと感じます。とくに人の使い方は、常にみんなが現場で動いていられるように持っていくのが本当に上手いんです。動かし方が悪いと現場で誰も楽できない。休めないから結果的に効率が悪くなっていくんですよね。社長にはそれがない」 もちろん山川さんはまだ社長のように人を動かすことはできない。でも現場に入るときに「ここは何時くらいまでに仕上げられる」と考え、その通りに終わると達成感がある。現場で“時間”を意識するようになったのはここ2年ほどだ。 親方になるのはまだ…と謙遜するが、山川さんが現場を任される日は遠くないはず。川西興業の社長もそれを期待していることだろう。最後に山川さんに鳶としての夢を訪ねた。 「やっぱり鳶になった以上、自分が社長になってみたいですね。今は21歳。あと4年かけていろんなことを吸収して、25歳までに実現したいです」 若き鳶の大きな夢に期待したい。

川西興業 山川和雄
Posted in 川西興業 山川和雄, 職人インタビュー

第1回 すぐ辞めるやつは根性がなかっただけ

自分の技術を武器に稼ぐ職人に憧れ、鳶の世界に飛び込んだ。好きで始めた仕事。辛いことがあってもすぐ辞めるわけにはいかない。そんな山川さんの意気込みを聞いた。 “鳶”と一言で言っても、仕事の内容により鉄骨鳶や重量鳶、橋梁鳶などいろいろな呼び方がある。また仮設足場を組み上げる足場鳶でも、使う資材はそれぞれ。川西興業の山川さんは、中学卒業後、枠組足場を扱う会社に入った。 「最初は右も左もわからず鳶になったけれど、仕事をしているうちに枠よりくさびのほうが稼げるっていう話が聞こえてくるようになって。同じ時間だけ仕事をするなら多く稼げた方がいいじゃないですか。会社を変わるのに迷いはなかったです」 工法や資材にはそれぞれメリットがある。枠組足場は高層建築向き。一方でくさび緊結式足場は足場設置の自由度が高いのと同時に納期短縮やコスト削減ができるというメリットがある。山川さんが鳶になった頃は景気低迷で世の中が暗く沈んでいたとき。くさび緊結式足場は時代のニーズにマッチしたのだろう。 「同じ鳶とはいえ、くさびに変わったときは大変でした。重い資材をたくさん担ぐから肩が痛くて。材料を上げるのも辛い。最初の1週間は痛みとの闘いでした。ただ不思議なもので仕事をしているときは痛みを忘れちゃうんですよね。痛いとか言ってられないくらいだったのかもしれないけれど(笑)」 職人に大切なものは?と尋ねたら「根性」と即答。鳶への憧れ、給料に惹かれ、仕事がないから…さまざまな理由で会社に入ってきたが、あっという間にいなくなる人を何人も見てきた。山川さんが体の痛みと闘った1週間。まずはそこを乗り切ることが最低条件?と聞いても「なんとも言えない。根性があるかどうかってだけです」と。山川さんには根性があったんだねと言ったら、「自分は先輩が怖かったので(辞めたいと)言えなかった」とおどける。 「今でも辛いと思うことはたくさんありますよ。人手が足りなくて現場に2人で行かなきゃいけないときなんかは上に行くと材料が届かなかったり。必然的に上げる回数も多くなりますしね。でもそこで文句を言っても仕方ない。辛いならその分、早く現場を終わらせることを考えたほうがいいかなって」 小学校時代の作文。山川さんは「大人になったら職人になる」と書いた。外で黙々と働く姿を見てカッコいいと思ったからだという。幼い頃の夢を叶え、山川さんは次のステップへと向かっている。

鳶職人にとっての永遠のテーマ「高所」について
Posted in 鳶職人アンケート&大調査

鳶人アンケート結果第2弾!鳶職人にとっての永遠のテーマ「高所」についての結果発表〜後編〜

昨日発表した鳶職人の「高所」に関するアンケート結果第2段!鳶と高所の関係は切っても切れないもの。前編は高所の恐怖心についてスポットを当てましたが、後編は恐怖心をどのように克服したかについてです! 前回のレポートの続きとなります!後編では恐怖心の克服についてと、安全認識についてが中心です。 さてさて、今回はどんな結果が飛び出すのでしょうか…? どうやってみんなが高所を克服しているか、向き合っているかの結果発表です。 それでは参りましょう! ■恐怖を克服した!という方の理由は!? (オープン回答です) ——— なんかいつのまにか怖くなくなってた 低いところから慣れていった 少しずつ克服した 高い所にいっぱい登ったから自然に慣れた 慣れた 気合で乗り切る 毎日の作業でなれた ——— こちらはほとんどの方が日々の業務で恐怖に慣れたというニュアンスの回答でした。自然とコレが一番の現実的な克服方法ですよね。 1名の方だけ、「気合いで乗り切る!」という潔い回答をいただきました。 ■何があったの…!?怖くなかったが、怖くなったという方々の回答 (オープン回答です) ——— 落ちそうになったことがあるから 年齢かな 揺れたりして落ちそうになるから がむしゃらじゃなくてもしものことを考えるようになった ——— 高所から落ちて怪我をしてしまったとか怖い思いをした等、トラウマのような経験をされて恐怖心が芽生えてしまったという回答が一番多い結果でした。 年齢かな…という答えもありました。若い頃は怖いもの知らずだったけど…ということでしょうか。それもわからなくないような気がします。 少しずつ予想され得るリスク等に敏感になってしまっているということですね。 それはある意味では大きな成長であるとも言えます。 ■安全第一!高所に上がる時に意識していることは? (オープン回答です) ——— 常に危機感を忘れない 早さを求めず無理な作業をしないようにして急がないようにしてます。 360度すべて考えはじめたらキリがない 高い所にいると、なるべく思わない 慣れたとは思わないいかなる時でも考えながら作業する 怖くないとおもうこと 仕事に集中して、下を見ない …

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鳶職人にとっての永遠のテーマ「高所」について
Posted in コラム, 鳶職人アンケート&大調査

鳶人アンケート結果第2弾!鳶職人にとっての永遠のテーマ「高所」についての結果発表〜前編〜

今回はアンケート結果第2段!今回も鳶職人の皆様に協力していただいた「高所」に関するアンケート結果を発表致します!鳶と高所の関係は切っても切れないもの。高所について鳶職人の皆様はどのようにお考えでしょうか! 「高所」…鳶職人にとっての永遠のテーマ…。 鳶職人の「鳶」と名前がついているものの、人間は翼を持たない哺乳類…。 特に海外の方々は日本を観光で訪れた際、高所で作業をしている鳶職人の姿を見て現代の忍者だと思うこともあるそう。 その姿に大きく感動するそうなのですが、そう思われてしまうところも辛いところではあります。笑 憶測は様々、キリがないですがどのような答えが飛び出すのでしょうか…! それでは見て行きましょう! ■最初は「高所は怖いですか?」という質問!結果は…!?(100人回答) ——— ・怖い 43票 ・怖くない 30票 ・怖かったが克服した 21票 ・怖くなかったが怖くなった 4票 ・その他 2票 ——— 高所は怖いという方が多かった! ふむ。結果は「怖い」という意見が最も多く全体の40%ほど。 怖くないという方も30%。克服した!という方も多いですね。 「怖くなかったが怖くなった…」という方もチラホラ。トラウマ的なことがあったのかもしれませんね。 中には【気の持ちよう】といった「心頭滅却すれば火もまた涼し」…無念無想の境地的のような回答もいただきました。ある意味こういった高いメンタリティを保つための自己暗示法は大事ですね。 鳶職人の世界に限らず、時に大きな危険が伴うプロスポーツの世界においても大きな成果を出す人はこういった心のケアを怠らないと言われています。 それでは鳶の私たちが高所に怖さを覚える“ワケ”とは一体・・・ ■「怖い」と回答した方のその理由について。 (こちらはオープン回答です) ——— ・高い所が苦手だから ・落ちた時のことを考えると怖い ・理由もなにも、怖いものは怖い ・恐怖心を持っていないと危険余地が疎かになりそう」 ・慣れが一番ダメだと思う ・一回落ちそうになったから ・その他 ——— 【高い所が苦手】【落ちた時のことを考えると怖い】 という方はやはり多かったです。 …

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支柱
Posted in 足場・鳶用語集

支柱【知って得する! 鳶用語辞典】

【用語名】 支柱 しちゅう 【使用用途など】  こぶ(コマ、ポケットとも)という緊結部が一定間隔ごとについている鋼管。このこぶと水平材や斜材の緊結部をくさびにより緊結することで、くさび緊結式足場は組み上がっていく。  支柱には長さの異なる幾つかの種類が存在し、これらを組み合わせることでどんな高さの建物にも対応できるようになっている。  その独特の形状から運搬が難しい支柱だが、中でもサブ(サブロク)と呼ばれる種類の支柱は全長3.6mと長く、取扱いは非常に困難だ。サブの運搬、受け渡し作業は、新人鳶にとって最初の関門となるだろう。 【市場価格】 一本あたり3000~10000円(長さによって変動)

平尾化建 岩間貴史
Posted in 岩間工業 岩間貴文, 職人インタビュー

親方に求められる資質とは

鳶の親方には現場を仕切る能力が必要なことは理解できる。ただ、それだけでは務まらないのも親方なのである。 今から7年前、先輩の紹介で鳶に就いた平尾化建の岩間さん。年齢は24歳。鳶としてはやや遅めのスタートだった。 鳶について何も知らなかったが、当時は仕事を辞めたばかり。仕事があるなら、と軽い気持ちだったという。その後、鳶に必要な「玉掛け」「足場(足場の組立て等作業主任者)」「フォークリフト」「クレーン(小型)」といった資格・免許を相次いで取得。現在では親方を務めている。 「鳶を始める前はいろいろアルバイトをしていましたが、どれも長くは続きませんでした。この仕事も夏の暑いなかで作業をするたび、『もう辞めようかな』と頭によぎります。よく続いてますよね(笑)」 足場を組み立てる現場は、その規模が大きくなるほど係わる鳶や職人の人数も大きさに比例して多くなる。足場の組み立てを仕切る親方には、下につく鳶への指示だけでなく、建設作業員や職人などとの調整能力が求められる。これが一筋縄ではいかないケースも少なくない。 「足場を組み終わった段階で現場監督に確認を取るのですが、足場で作業をする職人からもっとこうして欲しいと要求が監督にくるケースがあります。場数をこなした監督であれば現場のことを考えて職人を説得してくれますが、まれに組み直しを要求されることがあるんですよ。こちらとしては注文に沿って組み上げてるんですけどね…」 簡単にいえば現場監督の力量ひとつで負担が大きくかかってしまうのだが、そういうケースがあるからこそ「またお願いしますね」と言われたときの喜びはひとしおなのだと岩間さんは笑顔で語った。 「まずは足場をキレイに速く組むことが重要。親方になってからはお客様のニーズにいかに応じられるか、要はサービス精神が鳶には重要だと感じるようになりました。ニーズに応じられないと、次がない世界なんですよ」 顧客に対しての“思いやり”を持つことが一人前の鳶の証であり、そうなるのが目標だと話す岩間さん。 将来の目標は独立して社長になるのではなく、親方として、またひとりの鳶として会社を大きくすることだと続けた彼を見て、鳶ならではの含蓄に溢れていると強く感じた。 インタビュー後半へ続く・・・

信和 八鍬大輔
Posted in 信和 八鍬大輔, 職人インタビュー

第2回 厳しい条件下で仕事をする時こそモチベーションが大切

いろんな土地へ行くのが好き、毎日違う足場を組むのが楽しいという八鍬さん。そんな彼が考える「一人前の鳶」とはどんな姿なのか。また家族との時間を大切にするため上京したというが、休日は家族とどう過ごしているのか、聞いてみた。 戸建の仕事が多い八鍬さんの会社。毎回異なる足場を組むため、いつも新鮮な気持ちで仕事を楽しめる。しかし、そんな八鍬さんも年に1〜2棟、必ず苦労する現場があるという。 「場所は毎回違うのですが、ある工場系の現場ですね。特殊な構造をしているものばかりなので、まず仕様を考えるのが大変ですし『ここはこうして欲しい』という細かい要望もあります。さらにトラックが2台しか入らないとか、トラックは午前中しか置けないとか、そういう制約もあったりしますね」 できないことが多いほど燃える人はいるが、八鍬さんもきっとその一人だろう。「毎年悩むんですよね」などというその顔はとても明るい。そんな彼に、一人前の鳶とは?と聞いてみた。 「その日1日の流れが見える人だと思います。今日はここまで、明日はここからと全体の流れを読み、だから資材はこれをこれくらい、何人必要で、彼らの役割は……というのが見えるようになると、一人前と呼べるのかなと思います」 それを、先ほどのように数多い制約の中で、考えなければならないこともある。そうなると、やはり八鍬さんのように、逆境(と思えるようなもの)をむしろ楽しんでやろうという気持ちが大切になってくるのだろう。 さらに、そうした仕事に対峙した際は、モチベーションも大切な要素になるだろう。八鍬さんの場合は、給料はもちろんだが、家族がいること大きいという。 「子どもは上が4年生の息子、あとは1年生の娘と、年長組の娘がいます。息子はサッカーに夢中で休日は練習に出かけるためなかなか一緒に遊べませんが、娘2人とは時々ふらっとショッピングセンターに一緒に買い物へ出かけたりします」 家族のために仕事を選び、上京した八鍬さん。鳶として、家長として、充実した日々を送っているようだ。

筋肉をつけるための正しい食生活
Posted in THE 鳶~鳶のすべて

【連載コラム第6回】忘れちゃいけない!筋肉をつけるための正しい食生活~その1

ここまで様々な筋トレ方法について解説してきましたが、読んでいただけましたか? まだの人はぜひそちらも読んでみてくださいね! さて、みなさんの中には「普段から筋トレしているのになかなか筋肉がつかない……」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。もしかしたら、それは“正しい食生活”ができていないからかもしれません。 これから紹介するのは効率よく筋肉をつけるための正しい食生活です。 ◆筋肉をつけるため必要な栄養を取る まず大事なのは、筋肉をつけるのに必要な栄養を取ることです。ここでは、その中で大切な5つの栄養素を紹介します。 ① タンパク質 何と言ってもタンパク質は筋肉の材料そのものですから、一番大切です!肉や魚、卵や豆などに含まれています。中でも鶏肉は最強!積極的に食べるようにしましょう。 ② 炭水化物 太るからと言って控えられがちな炭水化物ですが、取らないではいられません。白米や果物に含まれる炭水化物は運動のエネルギーになるのですが、これが不足すると体は筋肉のタンパク質を分解してエネルギーとして利用してしまいます。これでは、筋肉がつきませんね。ただ取りすぎると太ってしまうので、一食にお茶碗一杯のご飯など、適度に取るようにしましょう。 ③ 脂質 これも太るからと避けられがちですが、実は重要です。エネルギーとして使われたり、他の栄養素を運んでくれたりします。炭水化物と同じで取り過ぎるとやはり太るので、適度に取るようにしましょう。 ④ ビタミン 炭水化物や脂質をエネルギーに変えたり、トレーニングで傷ついた筋肉の修復を手伝ってくれたりします。野菜や果物だけでなく豚肉や魚にも含まれています。 ⑤ ミネラル カルシウムやナトリウムなどいろいろな種類があり、海藻や魚に多く含まれています。筋肉の働きを調整するとても大事な栄養素なので、欠かさずとるようにしましょう ◆まとめ 筋肉をつけるのに必要な栄養素は ・タンパク質 ・炭水化物 ・脂質 ・ビタミン ・ミネラル の5つです。これらの栄養素を1日のうちに必ず取るように気をつければ、筋肉のつき方がきっと変わります! 次回は筋肉をつけるための食事のとり方を紹介します。お楽しみに!

そういえばなんで俺たちは鳶なの?
Posted in THE 鳶~鳶のすべて

そういえばなんで俺たちは鳶なの?

高い所にいるから鳶なの?鷲や鷹じゃない理由ってなんだろう?その秘密の鍵はなんと江戸時代にありました。 ■職人としての鳶の名が出回り始めたのは江戸時代? 由来は諸説あるようですが、歴史の中で「鳶」という言葉が流行りだしたのは江戸時代と言われています。 当時の鳶職人は棟上げ仕事と同時に、有事の際には消防活動も先陣を切って行っていたと伝わっています。いわゆる「火消し」ですね。 ※江戸時代の鳶職人は建築を知るプロフェッショナルとして昼に晩に大活躍したと言う。絵の中で彼らが持つ長い棒の様なものが「鳶口」。 そんな彼らにとってなくてはならない道具が「鳶口」だったと言います。物を引っ掛けたり、引っ張ったり、時には壊したり…現代では仕事の様子も変わり、鳶口が必要となる場面はあまりないので私たちには馴染みは薄いかもしれませんね。 ※江戸時代に使われていた「鳶口」。先の形が「鳶のくちばし」に似ていることからこの名がついたと言われる。 ■鳶と言われる様になった由来は? 鳶口を持つ職業人だったから 棟上げの時、火事の時、梁や屋根の上をひょいひょい飛び回っていたから などの理由から「鳶の者」と呼ばれる様になったと伝えられています。 ※歌川豊国の「櫓のお七」。背景には屋根に上がった鳶衆らしき姿が描かれている。 ■鳶は今も昔もモテ職業? 現代の建築現場では花形と言われる事もある鳶職人ですが、江戸時代も相当モテモテ職業だった様です。大工・左官・鳶は「華の三職」なんて呼ばれ方もされていたみたいです。 そんな由来を胸に秘めつつ、我々も今の現場を生きる「現代鳶」として(モテ職業であるためにも!?)誇り高く格好良くありたいですね。 ※現場が君の活躍を待っている! 合わせて知っておきたい足場の歴史についてはこちらの記事でも紹介しています。https://tobi-jin.jp/knowledge/99.html

Posted in 足場・鳶用語集

架け/バラし【知って得する! 鳶用語辞典】

【用語名】 架け/バラし かけ/ばらし 【解説】  それぞれ足場架設工事における組み立てと解体、撤去作業を指す言葉。一つにまとめて「架払(かけばらし、かけばらい)」と表記されることもある。架けとバラしの両工程が終わって初めて足場架設工事は完了する。  架けでは職長が如何に事業者や現場統率者の要望をクリアしながら、小方を指揮し足場を組んでいくかが作業のカギになる。対してバラしは人工数、工期共に架けよりも少なめに設定されている場合が多く、限られた人数と時間で如何に効率良く足場を解体していくかが重要だ。  余談だが、バラし作業は一人一人の担う役割が多く、作業スピードも架けに比べ速いという側面もある。新人の頃の筆者はそのスピードと忙しさについていけず、しどろもどろになったものだった。

信和 八鍬大輔
Posted in 信和 八鍬大輔, 職人インタビュー

第1回 鳶の仕事は頭を使う。そこがおもしろさ 。

ある思いを秘めて東北から上京してきた八鍬(やくわ)さん。こちらでもさまざまな仕事を経験し、現在の会社に勤めることになったというが、東京での仕事はどんな感じだろう。 「もともと東北のほうで5年ほど鳶をしていたのですが、子どもが3人になって東京に出てきました。以前は長いと1年間とか現場に張り付くことになって、家になかなか帰れなかったんです。子どもが3人いると、やはり家が恋しいですからね」 八鍬さんは上京の理由をそう語る。東京に来てからは土木関係の仕事や他の会社で鳶などいろいろやったのち、現在の会社に落ち着いたそうだ。 「この会社では、たまに1〜2週間家に帰れないこともありますが、たいていは毎日家から通っています」 家族との時間を優先するために上京し、会社選びをした八鍬さんだけに、かわいい子どもたちの顔を毎日見られる今の仕事にとても満足しているようだ。 さらに、戸建を中心に足場を組む現在の会社に入って、仕事自体が楽しくなったようだ 「もちろん給料がよいこともありますが、戸建が中心だと、現場がいつも違う土地だということが個人的に気に入っているところです。いろんなところへ行けるのが、楽しみなんですよ」 とはいえ、現場が変われば足場の組み方も変わる。つまり、毎日のように組み方が異なるのだが、それは苦にならないのだろうか。 「確かに毎回違うカタチの家ですから、組む足場も毎日違います。だからいろいろと考えないといけない。でも、それも楽しいんですよね」 作業期間の長い現場では毎日足場の組み方を考えるようなことはない。楽ではあるが、退屈でもあった。ただ逆に東京に出てきてからは家や土地の制限といった現場の状況ではなく、人足の問題で苦心したこともあったという。 「普通なら6〜7人で組みたい足場なのに、3〜4人しかいないことがありました。そこでどんな機械を使えば補えるかなど、対応策を考えて組みました」 考えること。工夫すること。体を使って働くイメージの強い鳶だが、頭も同じようにフル回転させなくてはならない。それこそが鳶の醍醐味。上京したことで家族との時間を大切にできるようになっただけでなく、仕事も面白く感じられるようになった八鍬さんだ。

相模テック 五十嵐文哉
Posted in 相模テック 五十嵐文哉, 職人インタビュー

第2回 後輩から慕われる親方を目指して。

好きなクルマや大切な家族のために、きつくてもそれに見合った給料がもらえるこの仕事で汗を流している五十嵐さん。しかし、五十嵐さんを支えているのは、それだけではなかった。 五十嵐さんは現在28歳。今の会社に入ったきっかけは、昔からの友だちだった同社の社長に誘われたからだという。 「社長だけでなく、この会社には他にも友だちがたくさんいるんです」 この仕事に就く理由の一つに「友だちから誘われて」と答える鳶は多い。五十嵐さんの場合もまさにそれで、しかも同社には彼の昔からの友だちも数多く入社しているようだ。 しかも同社は「平均年齢が多分25〜26歳」というほど若い。だから仕事を離れた時の彼らの会話は、終始笑い声が絶えず、端から見るとまるでクラブ活動の延長のようにも感じられる。 みんな若くて、しかも昔からの友だちが多いと、きっとちょっとした会話や仕草で、仕事のきつさを和らげやすくなるのではないだろうか。例えば、クルマが入らなくて離れた場所まで部材を担いで運ぶ時でも、仲間同士で冗談を言い合いながら、という具合に。 さらに、休日でも一緒に遊びに行くほど彼らは仲が良いそうだ。 「休みの日は、会社の仲間とよくバーベキューをやったり、スノボーに出かけたりしています。そういうのもこの仕事のモチベーションですね」 休みの日は思い切り遊んで、オンオフのメリハリをつけると、やはり仕事に張り合いが出てくる。しかも仕事以外の場でも仲間と家族ぐるみで付き合うことで、お互いの意思疎通が自然とできるようになり、仕事を効率よく進められるのかもしれない。 実際、5月24日に行われた鳶-1グランプリでは、参加した6社中一番早く課題を組み上げた。五十嵐さんを含め、同社の鳶ただ仕事中に冗談を言い合う仲良しクラブ、などではないのだ。 そんな仲間を親方としてまとめる五十嵐さんの今の目標は「後輩たちの目標になるような親方になること」だという。 「みんなから尊敬されるような親方になりたいですね。そう思うと、後輩たちからの目が気になって、だからこそきちんとひとつ一つ丁寧に、安全に仕事をするよう心がけるようになりました」 尊敬される親方になるという目標。それが、仲間と仕事をする安心感や楽しさ以外の、五十嵐さんのもう一つのモチベーションになっているようだ。

若手鳶のための寝坊しない方法
Posted in コラム, ワカトビたち

若手鳶のための寝坊しない方法

これで寝坊とおさらば!知って得する寝起きのメカニズム 「起きたら出発時間だった、、、」 ダッシュで着替えて顔を洗わず出発すればギリギリ現場に間に合うはず。寝癖はメットかぶれば分からないし・・・なんて経験ありませんか?それでも集合現場に遅れてしまってなんとなく気まずくなっちゃうことってありますよね。 今回は何故人は寝坊してしまうのか・・・ 「寝坊に効くかもしれない!?」知っ得情報をお届け致します! まず1つ目の鍵は夜の「光」 私たちの体内では夜9時くらいになると「眠くなる成分」が分泌されるのですが、実はこの「眠くなる成分」は「光」にとても弱いのです。 思い返してみてください。なかなか寝付けない時って、直前まで明かりを浴びていませんでしたか?スマホとかパソコンとかコンビニとか。起きてる時間が長ければ長いだけ光を浴びる事になり、結果眠りが浅くなってしまうのです。 しかしここで朗報です! この強烈な「光」を避けるために誰でも出来る簡単な方法があるんです。 それはずばり! 早く寝る。   「それが出来たら苦労しないよ~」なんて声が聞こえてきそうですが。夜更かしして翌朝、遅刻してしまう可能性を高めるよりは! 想像してみてください。 余裕をもって現場に到着する颯爽とした自分の姿を!ほら、先輩とのコミュニケーションも足場もなんだかうまくいきそうな気がしてきましたよ! 「それでも朝弱いんだよなぁ」という方もいるかもしれません。 眠気がとれない朝の時間。どうしたものか・・・ 感の鋭いあなたは既にピンときたかもしれませんね。 そうです。「眠くなる成分」は「光」に弱い! だから朝は光を浴びるのが有効です! しかも太陽光という抜群の光を浴びる事ができるのです。 問題がなければカーテンを少しあけておくなどして外の明かりが入ってくるように、してみてるのも良いかもしれません。 え?他にも原因があるんじゃないか?って? そうですね。とっておきの話しがありますのでそれは次回お話しましょう! 今日の所はひとまずおやすみなさい! ===================== 今回のポイントは3つ! ・早く眠る。 ・眠る前には強い光を浴びない。 ・朝日を浴びる =====================

真夏を乗り切れ!鳶人アンケート結果発表!
Posted in コラム, 鳶職人アンケート&大調査

真夏を乗り切れ!鳶人アンケート結果発表!

夏本番!鳶にとっては大変つらい時期がやってきました。今回は100名近くの鳶職人の皆様に協力してもらった「真夏を乗り切るアンケート」の結果をお知らせ致します。これを読んでチームみんなで夏対策をしよう! ■まず始めに「真夏の現場でつらいこと」の発表です!なんとなく予想のつく1位は!? 「暑さ」64票(100人回答中) 当然といえば当然な結果かもしれません。また、「暑さ」に伴う「体力消耗がきつい」や「熱くなった資材でやけどをしてしまう」「直射日光半端ない」「汗がやばい」という回答も多くみられました。いや、ホントに夏の現場はきついですよね。 ■続いてそんな過酷な環境のもと、鳶の現場にあったら嬉しいものの発表です。 「冷えたドリンク」68票(100人回答中:複数回答可) 続けてクーラーボックス、冷えタオル、日陰(雲が太陽を遮る瞬間が待ち遠しいです)、空調服、中には理解ある上司や「短くてもこまめに小休止時間を設定してくれる職長さん大好き」など、切実なコメントが多数寄せられました。士気を下げずに効率よく現場を回して行くにはどうしたら良いか。チーム全体の課題ですね。 ■それではこの真夏の暑さを乗り切るために取っている方法は? 「こまめな水分補給」44票(100人回答:複数回答可) 「こまめな塩分補給」19票 「こまめな休憩をとる」19票 「こまめに」というのがポイントですね。塩飴や塩とドリンクを同時に取っている方も多い様です。 毎日梅干しを食べる、スタミナのあるものを食べる、深酒をしないなど、 梅干しはクエン酸も豊富ですから疲労回復にも役立ちそうですね。何はともあれ現場では、汗で失う塩分と水分の定期的な補給が鍵です。差し入れに冷えたドリンクと塩飴なんて最高ですね! 後、意外に多かったのが「気合い」。確かに。。 ■現場以外での過ごし方も重要 「水分と塩分の補給」以外に多かったのが「深酒をやめる」「しっかり睡眠をとって早寝早起きする」「スタミナのある食事をとる」などプライベートな時間での体調管理をいつも以上に気を使うと答えられた方も多くみられました。 ■ポジティブなコメントも! また夏の現場は「体力がついた」「痩せた」「ビールが旨い」などポジティブな回答もちらほら。 鳶人では今後も真夏の応援情報記事を掲載していきます!確かな体調管理と栄養補給で熱い夏を乗り切りましょう! 熱中症対策特集1「実は危険!?意外な“あの飲み物”」 https://tobi-jin.jp/knowledge/622.html 熱中症対策特集2「熱中症になりにくい身体を作る誰もが知っている“あの飲み物”」 https://tobi-jin.jp/knowledge/634.html

ジャッキ
Posted in 足場・鳶用語集

ジャッキ【知って得する! 鳶用語辞典】

【用語名】 ジャッキ じゃっき  【解説】 【使用用途など】  足場の最下部に使用して上下の高さを調節する資材。ジャッキベースというプラスチックや鉄の敷板を下に敷いて使う場合が多い。  通常の足場に用いるジャッキの他にも、屋根等勾配のある場所で使用する接地部分が可動性の自在ジャッキ、建物側に足場が倒れるのを防ぐ壁ジャッキ(壁あてジャッキ)が存在する。これらは皆、活躍の場は違えど足場を支える「足」の役割を担う、という点で共通しており、ジャッキは仮設足場の安定性を高めるうえで不可欠の存在だといえる。 【市場価格】 一本あたり2400~2900円(種類によって変動)  

筋トレの極意は““体幹””にあり
Posted in THE 鳶~鳶のすべて

【連載コラム第5回】超重要!筋トレの極意は““体幹””にあり!!~実践編その2~

さて、今回は前回に続き体幹トレーニング実践編、最終回です! ここまでの連載記事をまだ読んでいない人も、読んだ人もぜひおさらいしてから読んでみてくださいね。 今回も具体的なトレーニング方法を2つ、紹介します。 準備はいいですか?? 体幹トレーニング③ 腰回りを鍛える!「シングルレッグ」 この「シングルレッグ」はお尻や腰回りを鍛えるトレーニングです。 重いものを持ったり、姿勢を支えたりするのに大切な筋肉を鍛えることができます。 手順は ①仰向けの状態で体の横に腕をつけ、手のひらを床につける。 ②膝を立て、肩から膝までがまっすぐになるように腰を浮かす。 ③そのまま片足を上げ、ひざを伸ばす。 ④そのまま10秒キープ。これを左右2セットずつ。 姿勢は写真を参考にしてください。 ◆ポイント 肩のあたりから片足までがまっすぐのままキープするようにしましょう。 つらいと思っても腰をさげてしまわないように。 体幹トレーニング④ 腹筋・背筋・お尻を全体的に鍛える!「ダイアゴナル」 体幹トレーニングとしてはこのトレーニングが一番有名かもしれません。 「体幹」の名の通り、体の軸となる胴体だけでなく、太ももから肩甲骨近くの筋肉まで鍛えることが出来ます。 手順は ①四つん這いの状態から、片方の腕とその逆の足(右腕と左足、左腕と右足)を、指先から足までがまっすぐになるように上げる。 ②そのまま10秒キープ。 ③それを左右1セットずつあわせて2セット。 ◆注意 腕はしっかり耳の高さまであげましょう。また、顔が前を向いているとうまく姿勢が保てないので、下を向いて行いましょう。 ◆終わりに 前回と合わせて4つのトレーニング法を紹介しました。 どうでしょう、体幹トレーニングは一見地味に見えますし、実際とても地味です。 筋肉が盛り上がるわけではないし単純にアンチをたくさん持てるようになるわけでもありません。でもこのトレーニングを続けると確実にどっしりと地面に根を張ったように体を動かせるようになるはずです。 ふらつかず疲れにくくなるだけでなく、間接を根本的に支えてくれるので故障も減りますし、結果的にたくさんの資材を運べる体に生まれ変わるはずです。 この太い体幹こそが新人とベテランの違いです。ぜひ意識的なトレーニングで手に入れてみてください! 以上で体幹トレーニングについての連載は終わります。 ぜひ実践してみて、鳶職人のプロを目指しましょう!

鳶職人とメディア
Posted in バラエティ

【鳶職人に聞いてみた!第1弾】鳶職人とメディア

【鳶職人に聞いてみた!第1弾】鳶職人とメディア 今回は、4月に鳶職人のみなさんに行ったアンケート結果についてまとめます。 アンケートに答えていただいた人もそうでない人も、他の鳶職人さんたちはどうしているのか、どう思っているかについて自分とくらべながら考えてみてください! 第1回目の今回は、鳶職人のみなさんが使っているメディアについてです。 みなさんはどんな手段で情報を集めていますか? それでは、アンケートの結果を見てみましょう。 テレビを見ているという方が一番多く、次に多いのがスマホを使っている方という結果になりました。 たしかに、休憩時間にテレビ番組の話題が出ることも多い印象がありますよね。 面白い番組や人気番組の話題をチェックしておくと会話が弾むかもしれませんよ? 外出先や現場でもネットが使えるのは便利ですよね。Twitterで友人が何をしているのか見たり、Youtubeで動画を見たりと、用途はさまざまです。 今スマホでこの記事を見ている人も多いのではないでしょうか? ところで、そのスマホでいつでも気軽にみられるこの“鳶人”ですが、鳶職人の方々には、いったいどれだけ知られているのでしょうか?このことについてもアンケートで聞いてみました! 残念ながらこのサイトはまだ鳶職のみなさんにはあまり知られていないようです…(笑) 鳶職人に役立つ様々な情報を発信していくので、ぜひ周りの鳶職人の方々に紹介してください! 皆さんの応援によって、この“鳶人”は支えられています! 次回は、「鳶職人をしていてよかったこと・つらかった事」についてのアンケートです。お楽しみに!

アンチ
Posted in 足場・鳶用語集

アンチ【知って得する! 鳶用語辞典】

【用語名】 アンチ あんち  【解説】 【使用用途など】  作業床。足場板、踏板などとも言う。  足場内の作業用ステージ、通路等あらゆる床部分にはもれなくこのアンチが敷かれている。長さや横幅によって種類が分かれており、これらを組み合わせることで様々な足場に対応可能となっている。  現在足場で使われているアンチは幅40cmの通称「ヨンマル」タイプが主流で、足場全体のうちのほとんどにヨンマルが敷かれている。しかし、平成27年7月より施行された安衛則改定において、新たに床面の隙間への規定が設けられたことで、今後はより大きな幅50cmの「ゴーマル」タイプが普及し出すのではと言われている。 「アンチ」という名称はアンチスリップメタルという製品名が由来。(ちなみに筆者は最初、安全地帯、略して安地(あんち)から来ているものだと勝手に思い込んでいた。) 【市場価格】 一枚あたり4000~13000円(種類によって変動)

相模テック 五十嵐文哉
Posted in 相模テック 五十嵐文哉, 職人インタビュー

第1回 稼ぐためにはどんなきつさにも耐えられる

五十嵐さんが初めてこの仕事を経験したのは16歳の時。その後親の仕事を手伝うために一度離れたが、しばらくして再びこの仕事に就いた。そんな五十嵐さんに、この仕事の魅力について聞いた。 親方になって5〜6年になるという五十嵐さん。今でも「鳶はきつい仕事」だという。 「雨の日や冬の日は、体が動きにくいからきつく感じますね。また現場までクルマが入れないことがあると部材を担いで運ぶのですが、途中に階段があったりすると、これもきつい(笑)」 また肉体的なつらさだけでなく、親方としての責任感ゆえのつらさもあるようだ。 「きついなと感じている時は、どうも寝言で、仕事仲間の名前や部材の名前を言っているようなんです。とくに1日に2現場こなす必要があったり、初めての現場だったりすると、よく言うらしいです(笑)。親方になって6年ほどになりますが、やはり今でも現場に行く度にプレッシャーを感じているんでしょうね」 そう言いながらも、このインタビュー中の五十嵐さんは、終始日焼けした顔にまぶしいほどの白い歯を見せ、笑顔で質問に答えてくれていた。それはまるで「きついのは当たり前、それがどうした!」と言わんばかりの笑顔だ。 「きつい仕事ということは、その分給料の数字にも反映されるということなんだと思っています。私と同じくらいの歳のサラリーマンをやっている人よりは、間違いなく稼いでいると思いますよ」 それを裏付けるかのように、メルセデス・ベンツのSクラスを同社の専門チューニング部門であるAMGがハイパフォーマンスカーに仕上げたS63というクルマに乗っている。 「このクルマを手に入れるために、つい頑張っちゃっいました(笑)」 また、その前はキャデラックの高級SUV、エスカレードだ。20代ではそうは持てないクルマを稼いだお金で次々と手に入れている。きついからこそ、高い給料がもらえる。それがこの仕事のやりがいの大きな要因になっているようだ。 さらに、3歳になる息子さんの存在も、仕事のきつさを笑い飛ばせる理由の一つになっているようだ。鳶-1グランプリが開かれたこの日も、息子さんは五十嵐さんの応援に駆けつけてくれていた。 親の仕事を手伝うために一度は鳶の仕事から離れたこともあったが、他の仕事を経験してもやはりこの仕事に戻った。肉体的に、また親方としての責任感にこれからも「きつい仕事だ」と感じることはありそうだが、好きなクルマに、そして大切な家族のために、今後も自らを奮い立たせて前に進んでいくようだ。

川西興業 栗田裕也さん
Posted in 川西興業 栗田裕也, 職人インタビュー

第2回 鳶になって3年。新たに芽生えた目標

どんな仕事でも3年も続ければ周りから“若手扱い”はされなくなる。これは本人が一番実感することだ。栗田さんも鳶として次のステージを目指し奮闘していた。 川西興業の鳶になって3年。土木関連の仕事から鳶になったこともあり当初は「金を稼ぎたい」という思いが強かった。しかし最近栗田さんには別の欲が生まれてきている。それは一人前の鳶として、社長から認められたいというもの。 「最初のころはとにかくよく社長から怒られていました。とくに足場を組む先で植木を壊してしまうなどの物損をしてしまったときは、こっぴどく怒られましたね。でも怒られるときは絶対自分にふがいなさがあるもの。言い返すことなんかできません」 今、栗田さんは休日返上で現場に出ることもある。「人より多く金を稼ぎたいですからね」と笑うが、同時に少しでも多くの現場を経験したいという思いもあるのだろう。社長から認められる。その先には“親方として自分が現場を仕切る”という目標もある。現場に出ないときもついいろいろな家を目で追っては、自分ならどういう足場を組むかなどを想像する。 「社長や親方たちを見ていると、ただただ『すごい…』という言葉しか出てきません。どこがすごい?と聞かれても『全部』としかいいようがない。とにかく何でもできて、人を思い通りに動かし、きれいな足場をくみ上げていく。僕なんか足元にも及ばないです」 目標とする理想の鳶職像があって、自分は今どのくらいの位置にいる? そんな質問をぶつけてみたところ、100点満点で2点がいいところだと答えた栗田さん。もちろんかなり謙遜しているはずだが、それでも本人には到底理想にはたどり着けていないという口惜しさがあるのだろう。そして栗田さんはこう続けた。 「あと2年。この間に実力をつけて、社長から一人前になったと認められるようになりたいです。そのためにはやらなきゃいけないこと、できるようにならなきゃいけないことがたくさんある。高いところが苦手なんて甘えたことも言っていられないですね(苦笑)。足場を組むとき、今はまだ中間までしか担当していませんが、早く上まで上がれるようにならないと」 鳶の世界は実力主義。後輩でも実力があれば自分を追い抜かしていくかもしれない。そんな悔しさを味わうのはごめんだという気迫が伝わってくる。“3年”という仕事をする上でひとつの節目となる時期が過ぎ、栗田さんには新たな欲が芽生えてきた。「いつかは親方になり、人を使って現場を切り盛りする」という目標を叶えるうえでも正念場になるだろう。でも今の熱い思いがあれば、きっと“その時”はやってくるはずだ。

川西興業 栗田裕也
Posted in 川西興業 栗田裕也, 職人インタビュー

第1回 「高いところが苦手…」なことの重要性

高所をさっそうと駆ける“現場の花形”鳶職。どれだけ高い場所でも平気な人たちが仕事に就くと思われがちだが、実はそうでもない。怖いと思うこともこの仕事には大切なことだという。 何もないまっさらな場所や立ち並ぶビルの壁を這うように足場を組み上げてゆく鳶職。くさび緊結式足場の高さは一般住宅でも10m近く、マンション改修工事などでは数十mの高さになることもざらだ。 高いところをひょいひょいと飛ぶように渡ってゆく姿に憧れ鳶職を志す人も多いと思うが、一方で鳶の社長や親方からはこんな言葉を聞くことも多い。 「高いところでも怖がらない鳶は逆に危ない」 過度な自信、恐怖心のなさは気の緩みに繋がり、思わぬ事故を引き起こしかねないという。 「もともとは土木関連の仕事をしていましたが、給料のよさに惹かれて鳶職になりました。でも土木と違い鳶は高い場所で仕事をしますよね。自分は高いところが苦手なんです…。転職するとき、果たして僕のような男に仕事が務まるか不安でした」 川西興業の鳶職、栗田さんは鳶になった経緯をこのように話す。事実、鳶になりたての頃は現場に出るたびに「こんな場所、無理だ。僕にはできない」と思い続けていた。恐怖心に押しつぶされそうになる栗田さんを支えてくれたのは仲間だった。 「川西興業には友達から誘われて入りました。僕が現場でビビっているとき、友達が『大丈夫だ!』と言ってくれたのは支えになりましたし、一人じゃないと思えたことで恐怖でしかなかった現場もだんだん楽しいと思えるようになりました」 そんな栗田さんも鳶になって3年。新人扱いはとうに終わり、中堅として後輩とともに現場へと向かっている。しかし、高さに関してだけは新人の頃と変わらず苦手。「今でも高いところには極力いかないようにしています」と冗談ぽく笑う。 「僕が経験した現場は最高でも4層。それでも下から見るのと上に上がるのではまったく違いました。だからこそ安全対策はきちんと行うようにしています」 最初に「恐怖心のない鳶は危ない」と言う言葉を紹介した。裏を返せば、怖いと思うことで安全対策をしっかり行うようになる。威勢のいい鳶という仕事だが、現在はどの現場でも安全確保が徹底されている時代。親綱をしっかり張り、安全帯を確実につける。基本を徹底することで、忙しい現場も円滑に回っていくのだろう。

Posted in 工事現場の基礎知識, 資格

木造建築物の組立て等作業主任者技能講習

【資格名】 木造建築物の組立て等作業主任者技能講習 もくぞうけんちくぶつのくみたてとうさぎょうしゅにんしゃぎのうこうしゅう 【資格の概要】 軒の高さが5m以上の木造建築物の構造部材の組み立てまたはこれに伴う屋根下地もしくは外壁下地の取り付け作業では、技能講習を終了した者を作業主任者として選任しなければならないと労働安全衛生法で定められている。作業主任者になるための技能講習だ。 【受講資格】 木造建築物の組立などの実務経験が3年以上 21歳以上 ※学歴等により変わってくる 【講習内容】 木造建築物の構造部材の組立て、屋根下地の取付け等に関する知識 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 作業者に対する教育等に関する知識 関係法令 修了試験  【資格取得でできる仕事】   木造建築において責任者として従事可能

Posted in アートビルダー 坂野智忠, 職人インタビュー

第1回 高所で作業している姿に憧れこの世界に!

すべての職種において、人それぞれで目指す方向が違うのはあたりまえ。自らが目標にする鳶像は「信頼、そして尊敬される鳶」だと話す坂野さんの仕事ぶりをお伝えしよう。 「16歳のとき、同じ年の友だちに足場鳶にならないかと誘われたのが、この仕事に入るきっかけでした」 誘われたとき、とくに躊躇せず鳶の世界に足を踏み入れたという坂野さん。根底には鳶に対する憧れがあったのだという。 「高いところで作業している姿がかっこいいと以前から思っていました。とはいえ、自分からその世界に入る勇気はなく、友だちから誘われていないとやってなかったでしょうね」 ただあたりまえかもしれないが、実際に仕事に就いた後は思っていたより辛いことが多かった。 「この仕事をやっている誰もがそうだと思うのですが、暑い夏場の作業は辛いですよ。動けて1時間が限度。体力を消耗する雨の日や雪が降る冬場の寒さも当然辛いのですが、冬は動けば身体が温まるので自分はまだ大丈夫なのかもしれません」 また鳶という仕事は天候だけでなく、仕事柄、集合時間は朝早いことに加え、撤収作業も夜遅くなることが珍しくない。イメージしてきたより辛いことが多かったが、坂野さんは今年で鳶歴8年目を迎える。ここまで続けられたのは、鳶という仕事のやりがいや楽しいことが数多くあったからだ。 「現場で足場を組むことは当然疲れますが、すべて組み上がったときは大きな達成感があります。『自分たちはやったんだ!』と感じるなど、やりがいのある仕事ですね。あと、大きな現場で作業するときは多くの仲間と一緒に作業ができるので楽しいですよ。仕事が終わった後、気の合う仲間と食事にいくこともありますしね」 組み上がったときの達成感は何物にも代えがたいと話す坂野さんだが、自らが満足する足場とはどういう状態なのだろうか。 「何よりも真っ直ぐ組めて、1800(mmの支柱)でちゃんとまとめて組めたときは綺麗だな、上手くいったなと感じます。もちろん、いつも上手く組めるわけではなく妥協点があったなとか、もっとこうしておけばよかったと振り返ることも多いですよ」 16歳から鳶になった坂野さんは、23歳で親方になった。次回は作業をうまくこなすだけでなく、若い鳶との付き合い方が大事になる親方という仕事の難しさや、目指す鳶になるための心得を聞いていく。

Posted in 信和 石関寛之, 職人インタビュー

第2回「50歳過ぎまで鳶をやりたい」そのための秘訣とは?

鳶に惚れ込み、辛い現場でも親方として段取りよく人を動かす。そんな石関さんが今心がけていることはどんなことか。そしてモチベーションは何かを聞いてみた。 図面を見て部材の数を出し、頭の中でもいいから一人で組み立てられるようになれば一人前の鳶、という石関さん。親方になって10年、数々の現場で多くの鳶を動かしてきた石関さんは、普段どんなことを心がけているのだろうか。 「僕らの後に現場に入る相手に合わせて、使いやすい足場を組むことですね。例えば使う人の背が高いか低いかによっても、組む足場は違うと思います」 背の高い人と低い人では、それぞれ仕事のしやすい足場がある。言われてみればなるほどと思うが、そうなると普段から多くの職人の仕事ぶりを見て、何をどうすれば使いやすくなるのか常に観察する必要がある。 「ですから、やはりそこは場数が必要です」 親方を10年やってもまだまだ考えるべきことがある。鳶は奥の深い仕事だ。 「50歳過ぎまで現場に出たいんですけどね。体がもつかな(笑)」 これは鳶という仕事に魅力を感じているからこその思いかもしれないが、石関さんにはもう一つ、理由があった。それは2年ほど前にマイホームを購入したことだ。 「子どもが3人いて、上から小学校6年生、4年生、保育園の年長組。30歳を過ぎると、ローンを組めるのも残り30年くらいじゃないですか。子ども3人で賃貸では狭くなったし、思い切って購入しました」 ローンの返済、さらに子どもたちのこれからの教育費を考えると、「家族のために、この仕事をずっと続けたい」という気持ちが仕事の大きなモチベーションになっているようだ。となると、休日は子どもたちと遊ぶのが楽しみなのではないか、尋ねてみた。 「最近は子どもたちが習い事を始めたりした関係で、休日はいつも一緒に遊ばなくなりました。最近は休日くらいゆっくり家で寝転んでテレビを見たかったので、ちょうどよかった(笑)」 子どもが小さい頃は、あっちへ連れていけこっちに行こうと大変だった、と笑う石関さん。テレビを見ながらゆっくりできる休日があるというのは、50歳過ぎまで鳶を続けるために必要なことかもしれない。 それに、子どもと一緒に遊ぶことが家を買った目的ではない。自分の買った家に、毎日家族の笑顔があふれていること。そのために石関さんは今日も働いている。